安い映画観賞券が手に入ったので、久しぶりに映画館で映画を観る
ことになりました。山田洋次監督の『小さいおうち』。
あれぇ~、このタイトルどこかで見たことがあった。そうだ
絵本の『小さいおうち』だぁ~。我が家にもあります。
親が愛読し、子どもから孫へと・・・・・。大好きな絵本です。
さて、お話は、ある女性が亡くなってしまったことの話から始まりました。
昭和初期から戦況が厳しくなっていく時代と現代が
交互にでてきます。山形から東京に奉公に出てきたタキが、当時を思い出して
回想録を書いています。回想録から時代は、当時に・・・・・・・・。
赤い三角屋根の小さいおうち、そこがタキが奉公していた平井家でした。
奥様の時子さんには優しくしてもらっていたのですが、
その時子さんの秘められた恋愛に気づくのでした。
タキも、その男性に好意をもっていたんですね。でも、奥様のことを思って
タキは、ある行動に・・・・・・。(それは、映画の終盤でわかるのですが)
タキは、晩年までそのことを悔やんでいたので。時代が時代だから
お世話になった方のことを思って考えたのでしょうね。
でも、一時期の奥様の淡い恋愛、一途になるのにも無理はないと
思います。奥様は、楽しい時間をすごされたのだから、それはそれで
よかったのかもしれない。ドロドロした不倫ではなくて、
相手をお慕いするような純粋な恋心。こういう恋愛も理解できます。
生活の中でウキウキすることって必要ですよ。今は、右を向いても左を向いても
探せるけれど、当時は、なかなかない。夫に仕え、子育てをしっかりして
家事においてはパーフェクトを求められましたね。
ふと、自由に話ができる相手がいたら、おしゃべりもしたくなると思います。
時子さんを演じたのは、松たか子さん。女中のタキさんの若いころは、
黒木華さん。これが、役柄にピッタリ。素朴で真面目に奉公しているのが
すごく自然に感じました。年老いたタキさんは、倍賞千恵子さん。
彼女も存在感がありました。場面が、当時と現代と目まぐるしく変わるので
見る方も切り替えていかなければなりません。
戦後生まれの私ですが、日常生活での描写も興味深かったです。
着物洗い張りのようすや当時のアイロンがけのようす、蓄音機など時代を感じさせてくれました。
話は飛び飛びですみません。
東京大空襲で平井家のご夫婦は、亡くなってしまうのですが、
ご夫婦のお子さんは、亡くなっておられなかったのです。
それと淡い恋愛の相手の男性も出征して生きて帰ってこられたのです。
本人は、没後だったので、登場しなかったのですが
彼の絵画展があって、赤い三角屋根の家の絵もありました。
亡くなってからの遺作展だったようです。
まだ、映画を観た直後なので、それぞれの生き方に対する思いが
変わってくると思います。原作を読んだら、また考えるでしょうね。