呉子曰く、
古来、国家を治めようとするものは、必ず第一に臣下を教育し、人民との結びつきを強化した。
団結がなければ戦うことはできない。その団結を乱す不和に、4つの場合があることを心すべきである。
それは、
国の不和、
軍の不和、
部隊の不和、
戦闘における不和の4つである。
国に団結がなければ、軍を進めるべきではない。
軍に団結がなければ、部隊を進めるべきではない。
部隊に団結がなければ、戦いを挑むべきではない。
戦闘に当たって団結がなければ、決戦に出るべきではない。
したがって、道理をわきまえた君主は人民を動員する前に、まずその団結をはかり、それからはじめて戦争を決行する。
また、
開戦の決断は、自分だけの思いつきによってはならない。
マキャベリ曰く、
弱体な国家は、常に優柔不断である。そして決断に手間取ることは、これまた常に有害である。
このことについては、私自身確信を持って言える。国家活動において、物事を曖昧にしておいたことが、フィレンツェ共和国にとっていかに有害であったかは、私自身が体験したことであったからだ。
決断力に欠ける人々が、いかに真面目に協議しようとも、そこから出てくる結論は、常に曖昧で、それ故に常に役立たないものである。また、優柔不断さに劣らず、長時間の討議の末の遅すぎる結論も、同じく有害であることに変わりは無い。
それが、例えば、誰かを援助しようというものであっても、決定の時期を逸したというだけで、相手を助けられないどころか、こちらの害になって返ってかくるものだからだ。
多くの事は、はじめのうちは内容も曖昧で不明確なものなので、これらをはじめから明確な言葉で表す事は難しい。だが、一旦決定しさえすれば、言葉など後から生まれてくるものであることも忘れてはならない。
これらの事は、君主制であろうと共和制であろうと、すべての指導者が心しておくべきことである。