薔薇貫入釉 本間友幸の陶記

陶芸家 本間友幸が生み出す陶器=薔薇貫入釉の世界
  

心のオアシス

2006-07-28 00:16:01 | 穴窯
ある取材の時
「本間さんは一年のうち、どの位陶芸をしているんですか?」
と聞かれました。
ん~解らないです。
362日位です。

窯を買った頃からいつの間にか、毎日陶芸をしていました。
しかし年始の1月1日だけは作業をしないと決めています。
でも一度だけ作業しちゃいましたが・・。

今でも作業をしない日はないに等しいです。
しかし窯を買った頃のワクワクした気持ちは今は薄いですね。
昔は陶芸が趣味。今は仕事ですから。

しかし、そのワクワクさを取り戻してくれる行事があります。
それは「穴窯」。
いわゆる薪の窯で焼く焼き締め作品です。
戸隠にある穴窯で焼いています。

焼き締め作家さんには申し訳ないですが、
本間の穴窯は完全に趣味の陶芸です。
失敗しても成功しても楽しいですし、
なにより訳がわからんのが楽しいです。

解らない事を推測して考える。
これがたまらんです。
穴窯は昔の本間を取り戻してくれる、心のオアシスです。

2006-07-25 00:10:45 | 薔薇貫入釉
美しさには二通りあるそうです。
一つは「心が作品に引き込まれる美しさ」
もう一つは「作品から出る力が心を奪う美しさ」

薔薇貫入は引き込まれる美しさです。
硝子のように透き通り、薔薇模様の「美しさ」「繊細さ」と
触れば壊れてしまいそうな、「はかなさ」。

実際は高温で焼かれている為、通常の陶器より丈夫です。
カビませんし水漏れもしません。

本間の陶器の特徴は色彩です。色が勝負だと思っています。

アップ写真

2006-07-24 00:20:17 | 薔薇貫入釉
この陶歴は最新のものです。しかしかなり省略されています。
理由は全てを載せると、紙が巻物になってしまうからです。

近日、可能な限り過去の個展と入選作品を掲載する予定です。

このブログは本間のプロフィール欄に、一切情報を載せてありません。
唯一男って位ですかね。
コメントも受け付けていません。

作品が本間友幸です。ブログには個展情報を掲載しますので、是非会場で
お会いしましょう。
なお、良く言われる事は
「色んな作家さんを見てきたが、本間さんほど作品と本人にギャップがある
方はいない。」
・・・だそうです。そうですかね???

写真は一昨日の六角鉢のアップです。薔薇模様わかりますか?
写真では難しいですね。

角が鋭角な作品

2006-07-22 09:41:13 | 薔薇貫入釉
久々の薔薇貫入釉。

この作品の形はロクロで引いた大鉢を、後日刃物で六角形に切り、焼いた作品です。

薔薇貫入釉の難しいところの一つは、器の先端に薔薇貫入釉を綺麗に発色させる事。
どうしても釉薬が流れたり、剥離、または本体のヒビなど失敗の連続でした。

この薔薇貫入釉の色は限定でだした「オレンジ薔薇貫入釉」を更に改良した
淡いサーモンピンクの薔薇貫入釉です。

東京ドームで行われている「テーブルウェアフェスティバル」の入選作品です。

定番

2006-07-19 07:52:52 | 青瓷
昨日と同じく青瓷の片口。

こちらは白土で、両面に青瓷釉がかかっています。

前日の片口は、鉄分を含んだ赤土に内側のみ、ニュージーランド産の白い土を塗って(かけて)あります。
これにより白はより白く、水色はより水色になります。
粘土の鉄分がところどころ吹きだし、陶器らしさ、土らしさを強調しています。

この形は一般的には「片口(かたくち)」といいます。ですが個展の時は、「サラダボウル」とプライスカードに書いて展示しています。
何にでも使える多様性のあるサラダボウルです。

サラダボウルの色は変えてきましが、初個展から作ってきた形です。


海は何故青い?

2006-07-18 00:26:29 | 青瓷
青磁には様々な種類があります。
材料の違いでは粘土の違いもあります。

青磁または青瓷。
この違いは青磁は磁器、青瓷は陶器。
写真の器は陶器の青瓷です。

青磁または青瓷の色には「水色」「緑」「黄色」など様々な色合いがあります。
個人的には水色が一番難しいと思っています。

青磁または青瓷の全ての色は鉄の発色です。
水色は僅かな鉄分で発色します。この器は釉薬からの鉄分で水色に発色しています。
もう少し鉄を入れると緑に発色します。

実際はこんなに単純ではなく、緑はできても水色はなかなか出てくれません。

写真を見ると器の底のみ水色に見えます。
これは釉薬が焼成中に流れ、底にたまり釉薬が厚い層になっており、釉薬の細かい気泡が光を乱反射させ、釉薬が溜まったところが、より水色が強く見えるのです。

これは海が青く見える原理と同じです。


梅花皮のでる場所

2006-07-16 23:09:37 | 梅花皮
同じく黒梅花皮。

釉薬の縮れ具合が違うのは粘土が違うからです。

粘土の表面が荒いほど梅花皮は出ます。

通常、井戸茶碗は高台とその回りをカンナで削ってある為、表面が荒れています。よって高台にのみ梅花皮が出ています。

梅花皮は貫入の応用です。

2006-07-16 00:14:55 | 梅花皮
通常梅花皮は白色系の長石釉です。

この写真の作品は、黒色の長石釉と全面に梅花皮が出ています。

梅花皮を器にだす事は難しい技法です。

この作品は梅花皮が外側にのみ出るようにしたので、大変でした・・。

梅花皮(かいらぎ)

2006-07-15 10:21:47 | 梅花皮
梅花皮とは「釉薬が 粒状に縮れた状態」

名前の由来は、刀の鞘に用いられる鮫皮の一種を、本来梅花皮と呼び、粒状の表面が似ているところからの呼び名のようです。

やはり梅花皮も土と釉薬の収縮の差からうまれます。

抹茶茶碗の中では井戸茶碗は大変格調高いものですが、井戸茶碗の約束事の一つが、この梅花皮なのです。

粉引とは

2006-07-13 00:54:03 | 粉引
粉引とは、鉄分を含む粘土で成形し、その後白い粘土の泥粧を表面にかける技法及び作品の事です。

そのはじまりは・・
白い器を生産したかったが、その地域では白い粘土がわずかしか取れず、表面に白い粘土の泥粧をかけ「白い器」を作った、とされてます。

この技法で作られた器は、より土らしさが表れた作品になります。
おそらく陶器で最も人気のある作品の一つでしょう。

本間も薔薇貫入作品以前から粉引をしています。

私の目指す粉引は、焼く事により土の中から表れる赤い色(窯変)を土から引き出す事です。