見ないフリ

一時的な対応策にしかならない現実逃避をずっとするブログ

シャイニング

2018-10-07 | 本と漫画と映画とテレビ
名作映画は、人類にとって最高の総合芸術である

―淀川長治


映画『レディ・プレイヤー1』のDVDを借りて観たら、
もうめちゃくちゃおもしろくて、
なぜ、公開時に映画館へ行かなかったのかと悔やむ日々。
バカバカ自分。バカ過ぎる……。3D、いや4Dで観たかった。


ついでに、こちらも観たくなるわけで。



『シャイニング』(1980年製作)

監督:スタンリー・キューブリック
原作:スティーヴン・キング
出演:ジャック・ニコルソン、シェリー・デュヴァル ほか

コロラド州のロッキー山上にあるオーバールック・ホテルに、冬期の管理人として訪れた主人公とその家族が、ホテルの意思に飲み込まれていくホラー作品。


おしゃれでびっくり。

ジャック・ニコルソンのあのシーンはもはや伝説だし、
洋画劇場などのテレビ放映をチラ見した記憶はあるけれど、
ちゃんと観るのは初めてで。

退屈なホラー映画かと思っていたら、
いやいや、おしゃれー。

オープニングから、映像・音楽・文字すべてがオシャン。

冒頭の音楽は、ちょっと前の『タモリ倶楽部』で
チューバ奏者が弾きたい曲の第2位に選ばれていなかったかい?
あれの編曲バージョン?

鏡の使い方も、
ホテルの壁紙、絨毯、家具、風呂、トイレ、
黒人コックさんちの寝室もダイニングもいちいちおしゃれ。

しかも、ホテルの洒落た内装が
物語の不気味さを倍増させているっていう。


主人公の息子が三輪車でホテルを駆け回るシーンがこれまたおしゃれ。
絨毯とフローリングを交互に走る音と
三輪車のうしろ姿がおしゃれ怖い。

90年代のドラマ『あなただけ見えない』の不気味な三輪車の少女は
これをモチーフにしてたのかなぁ? とかどうでもいいことが頭に浮かぶ。

あとラストの写真は、
大貫妙子の『メトロポリタン美術館』が浮かびます。


ちなみに、『シャイニング』はステディカム(持ち歩けて手振れしないカメラ。ハンディカムとの違いは知らん)でほぼ全編を撮影した初めての映画なんだとかで、DVDの副音声にその開発&撮影担当者(ギャレット・ブラウン)の解説が付いている。
これがまたなかなか興味深くてよいのです。

「このシーンを撮った時は疲れていたからちょっと画面が揺れているね」とか
「ステディカムは重い上に監督は何テイクも撮るので、最終的には専用の車いすを作ってそれに乗って撮った」とか
「撮影期間が長引いて、ここのシーンから別のカメラマンに変わってるけど気づかないよね」とか
「主人公のイカレた原稿は全て担当スタッフが手でタイプしてた」とかいろいろ。

とにかく、キューブリックは相当なこだわりマンで、撮影も予定期間をはるかに超えたため、おかげでステディカムを完璧に扱えるようになったと語っていた。

病的にこだわる監督と、それに応える技術屋さんがいるからこそ、映画はどんどん進歩していくのだなぁと改めて思う。


そんな『シャイニング』を観たあとに、
また『レディ・プレイヤー1』を観て
そのオマージュっぷりと技術の進化と
スピルバーグの仕事の速さに感嘆するっていう。贅沢~。


そうそう、おしゃれ狂いの『シャイニング』の中でも、
主人公の妻(ウェンディ)の装いは大注目。

もし、ウェンディがSNSをしていたら絶対フォローすると思う。
写真に映えるファッション、場所、出来事、すべてがそろっている。
(実際は撮っているヒマがない上に、着ぐるみ紳士たちは写真に写らなそう…)

1980 ウェンディ's コレクション(A/W)