死者のためのレクイエム
ヴェルディは当時、本当に亡くなった一人の人に対して
この曲を書きました。
この1曲をとおして
嘆き悲しむ様子や生前生きていた頃を思い出す様子
祈りの様子など様々な状態を窺い知ることが出来ます。
それらを可能な限りヴェルディの当時の想いのそのままに
再現することが自分達の使命だと思っていました。
初日の舞台を聴きに来てくれた友人がポツリと言った。
「死んでるのに起きてしまいそう」
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その言葉を聞いて
「生きかえって欲しい」「生きかえらせたい」
それこそがヴェルディが一番やりたかったことだったのかもしれないと
気が付いた。
「大切な人が亡くなる」
そんな場面になったら想うこと・感じることは多くあると思うけど
この曲を通して一番それが言いたかったのかもしれないと。
最初にこの曲を聞いた時、自分も素直にそう感じた記憶が確かにある。
「こんなのを演奏されたらおちおち死んではいられないな」って。
譜面を見、歌詞を見、意味を考えたりしているうちに
『直感』や『音の肌触り』といった
そんな人間の一番大切な部分を遠ざけていたような気がして・・・
ただ「そうね」と答えた。
今はまたこの曲に巡りあえますようにと祈ります。