撮り旅・ヨーロッパ

ハンガリーを拠点にカメラ片手に古い教会を主に写真撮影の旅を楽しみ、そこで拾った生活、文化情報を紹介します。

国8沿線(1)ケルメンドとトーリェ修道院教会

2019-09-17 16:04:18 | 海外生活

1.序

  ハンガリーの国道の番号構成は単純なロジックで成り立っており、それを頭に入れておく

 ことに依って、かなりの方向音痴は解消される。

 首都ブダペシュトの中心から放射線状に、一級国道(番号が一桁の国道)が周りの各国境まで

 伸びている。 番号の付け方は国道1号線を基準に時計回りに順に、2,3,4....8号線で

 一周する。 二桁の番号は準一級国道として、一級国道の間に入る形で番号が付けられている。

 三桁の番号の国道は一級国道と準一級国道同士を蜘蛛の巣のように横で結んでいる二級国道。

 高速道路は一級国道に沿うように走っており、一級国道の番号の前にMという文字(モータ

 ウェイという意味)が付けられている。

 但し、国道8号線(国8)のみブダペシュトが始点でなく、セーケシフェヒールヴァール 

  (Székesfehérvár) が始点でオーストリア国境まで伸びており、Mの付いた高速道路はない。

  小生の住むバラトン湖から西欧に向かうルートの一つとして、国道8号線はよく使うルート

 で沿線界隈の興味深い所を、これまでに既に紹介してきたものと重複するかも知れないが、

 沿線(街道)という切り口で訪ねてみたい。 貼付した画像は特記以外、Sep. 12 2019に撮影

 

2.沿線の街

 2-1. ケルメンド (Körmend) の中心部

  Vas 郡に所属する人口約12,000人の町で、国8沿線では3番目に大きい(Székesfehérvár 

 と Veszprém に次ぐ)町である。 ハンガリーの貴族バッチャーニ (Batthyány) 家が所有

 した宮殿(城)の周りに使用人、小作人が集まって出来た町である。

  自由広場 (Szabadság tér) に佇む1848年の独立運動の指導者コシュートの像と市庁舎

 

 桜に囲まれた第一次世界大戦の戦没者慰霊碑                Mar. 28 2019

 

 ● バッチャーニ・ミュージアム (Dr. László Batthány-Strattman Museum)

 正面の宮殿と門は、13~14世紀に建てられていた城の上に17世紀に建て替えられた。

 所有者は Edmund BatthányüStrattman (1826-1914) & Dr. László 親子 (1870-1931)

 

 2-2. ケルメンドの教会

 ● 聖エリザベート教区教会 (Szent Erzsébet Plébánia templom)

  オリジナルは 1244年に既に建てられており、1490年にはゴシック様式で、1731年には

 バッチャーニ家によってバロック様式で再建された。 以後3回の大改修があり1980年に

 改修したものが現在の姿である。

  

 

 ● ルーテル教会 (Körmendi Evangélikus templom)

    建立時期不明

 

3.沿線にある古城と教会

 国8は昔流で云えば街道であるので沿線には古城が多く、城と云えば当然ながら教会も多い。

<ロケーション>

 

 3-1. シュメグ城 (Sümeg vár)

  国8から国道84号線にちょっと入った所にある。

  詳細は 2017/04/27 投稿の「バラトンそぞろ歩き 古城(3)」を参照

 

 3-2. ショムロー城 (Somló vár)

  国8から城のある山は見える

  詳細は 2019/04/27 投稿の「バラトンそぞろ歩き 古城(8)」を参照

 

 3-3. テュリエ (Türje) の聖母マリア修道院教会 (Boldogasszony templom)

   アルパード時代の1230年以前にローマネスク様式の単身廊の教会と北側に修道院が繋がる

 形で建てられた。 農場施設(穀倉など)も備えた複合体であったが 1547年に焼失した後は

 ヴェスプレームの要塞として使われていたが、18世紀にバロック様式で南側にも修道院を追加、

 1921年には教会タワーとファサードが再建された。

 現在は北側修道院が老人ホームに使われている以外は廃墟になっている。実は11年前に一度

 立ち寄っているが、その廃墟化が一層進んでいるのに心を痛めている。

 教会は2021年を目指して再建計画が立てられているが ......

   

  

 

  教会北側修道院(現在は老人ホーム)からの教会側壁

 

  教会南側の修道院は廃墟になっている。

 

 祭壇のフレスコ画は 1761~1763年の作品

  

 

  身廊の南壁面、注目点はロマネスク様式特有のヴォールト構造の柱と石造天井。

 老人ホームの隣なりの閉鎖されている聖具室から撮らせて頂いたので、北側壁面にある

 「聖ラディスラウスの伝説」を描いたフレスコ画(一番の宝物)は見ることが出来なかった。

  

 

 祭壇天井部を飾るフレスコ画(いずれも貴重な宝物に違いない)

 

   これにて「国8沿線(1)ケルメンドとテュリエ修道院教会」は、お終いです。

   本ブログへのご参加、ありがとうございました。

 

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (shoko)
2019-09-18 21:20:57
どれも立派な建物ですね。廃墟化が進んでいるそうですがじっと見ていると物語を読んでいるような気になります。古い建物は過去の悲しみや喜びの、なんというか影? みたいなものを感じます。残しておきたいですね。簡単に壊さないでほしい。
いい写真をありがとうございました。
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Unknown (Balaton620)
2019-09-19 01:33:55
ハンガリーには廃墟化している城や教会が非常に多くあります。 それはハンガリーの長い歴史の中で負け戦ばかりであったこと、復元する財政的な余裕がなく打ち捨てられるせいだと思います。 日本ならばすぐに商業ベースに乗せて観光地化するのになぁと思うことがよくあります。
ハンガリーは第一次世界大戦以降、負け組続きです。 負け組には歴史が残り難いのですね、なんとか古い遺産と歴史を残して欲しいものです。 まあ、個人的には立派な歴史と大きく綺麗な建造物でなく消えかけの物の方が好きなんですが、この施設も再建計画はあるようですが、どうなることやら、老人ホームはどうなるのか、あちらを立てれば、こちらが立たずで成り行きを心配しています。 コメントありがとうございました。
balaton620
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