撮り旅・ヨーロッパ

ハンガリーを拠点にカメラ片手に古い教会を主に写真撮影の旅を楽しみ、そこで拾った生活、文化情報を紹介します。

ドナウ河岸歩き(9)ハンガリー大平原

2018-10-20 03:01:05 | 海外生活

 ドナウ河はブダペストを過ぎるとマジャールプスタ(大平原)の中を真っ直ぐ南下する。

他のドナウ沿岸の国々は、国境として端を掠めるように流れるが、国土の真ん中を、それも首都を

突っ切るのはハンガリーだけである。 だからドナウ河からの影響も非常に強く、川と共に生きて

来た「ドナウ魂」を最も持っている国とも云われている

 

1.ラーツケヴェ (Ráckeve)

 ドナウ河の中で最も大きな中州(島)のチェペル半島 (Csepel sziget) で、再び大きく二手に

 分かれて川は流れる。 中州の中の東側にあるドナウ河の歴史にとって見逃せない町が人口

 約8,000人の「ラーツケヴェ」である。

 1-1. ドナウ河支流に架かるアールパード橋 (Árpád hid)                 Feb. 23 2008

 

 1-2.  メイン通り .... 手前が裁判所、尖塔が改革派教会、向こうがローマカトリック教会

  

 

 改革派教会;1913年に奉献された。 ローマカトリック教会;1791~1799年に建立。

    

 

 ローマカトリック教会の内部

 

 1-3.  セルビア正教会 (Ortodox Szerb Templom)   ....裁判所の裏手にある

 1487年に建てられ、今もハンガリー国内のセルビア系住民の心の古里であり続ける。

 その昔、多くのセルビア系住民は「ラーツケヴェ」を目指してドナウ河を北上してきた。

 町は16世紀~1872年まで歴代のハンガリー国王より都市権を認められ栄えていた。

 正教会としては、非常に珍しいゴシック建築であるが、内部は18世紀中期のイコンが

 目を見張るほどに飾られている。 残念ながら写真撮影は禁止である。

 

  鐘楼は18世紀に追加された。

 

 1-4. サヴォヤイ城館 (Savoyai-Kestélyt)

 街の北外れにあるオーストリアの軍人オイゲン公(フランス貴族)の別邸であった。

 数十年前までは国際会議場、迎賓館、ホテルなどに用いられていたが、今では??? 

 

<ロケーション>

  

 

2.ドナウの渡しから近代的な橋梁へ

 ドナウ河もブダペストを過ぎると、つい数年前まではちょっと大きな街には

 カーフェリーが、人の輸送だけなら、いわゆる「船頭付きの渡し」があった。

 小生が初めて利用した1998年には、まだ運行しており、実に牧歌的であった。

 2-1. 閉鎖した Dunaujváros のフェリー乗り場        Oct. 12 2018

  用済みのフェリーが接岸放置

 

 2-2. 近代的な自動車専用橋梁 

  ペンテレ橋 (Pentele hid)  2007年7月に開通した。         Oct. 12 2018

 

<ロケーション>

  

 

3.カロチャ (Kalocsa)

 カロチャと云えば、刺繍の町として広く知られているがドナウ河の(ハンガリー)の歴史

 として重要な地域であったことはあまり知られていない。 それは穿った見方をすれば、

 あまり触れたくない屈辱の歴史であったかも知れない。 またドナウ河を辿って進出する

 オスマン帝国にとっては、どうしても手に入れたい町であったと推定できる。

 3-1. 大聖堂 (Főszékeseghaz) と大司教座宮殿 (Éeseki palota)

                                                                          Oct. 12 2018

  

  

 上の大聖堂は、1735~1754年にバロック様式で再建されたものであるが、1686年までは

 オスマン帝国のモスクとして、その前の1135~1529年まではハンガリーの大司教座であった。

 オスマン帝国が撤退する時にすべて焼き払って去った為、どのような姿であったか記録がない。

  

 大聖堂の横にある大司教座の宮殿

 キリスト教を国教とした際に、国内に4箇所*あった大司教座の1つがここであった。

 オスマン帝国の支配下では、ここが1602年まで要塞として使われており、街は1686年に

 オスマン帝国が撤退するまで、完全なトルコ人街となってしまった。

 現在の宮殿は1775年に再建されたものであるが、第二次世界大戦で大きな損傷を受け、

 現在も修復中である。

  *他の3箇所は、Esztergom, Veszprém, Trnava (スロヴァキア)

 

3-2. 聖イシュトヴァン教会 (カロチャのその他の教会)

  1860年にイエズス会の教会として建立。

   

 

 3-3. カロチャ刺繍

 刺繍にはあまり興味がなかったので、長い間 Kalocsa 刺繍はハンガリー北東部の

 Borsod-Abaúj-Zemplén 県にある karcsa(カルチャ)の事だと誤解していた。

 ● Karcsa にあるカルヴァン派教会(12世紀の建立).... お薦めの教会  

    詳細は本ブログ2013-03-30投稿に取りあげています。                        Aug. 19 2008

   

 

  教会内に展示販売されていた刺繍

 

 参考ながら下記のようにハンガリーには十種を超える刺繍が各地に存在することより

 ドナウ河が刺繍のデザイン等にもたらした影響はなかったような気がする。

 

   これにて「ドナウ河岸歩き(9)ハンガリーの大平原」は、お終いです。

 

「ハンガリーでのんびり」       http://motsukahu.web.fc2.com

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿