東カリマンタンの大河の一つ、マハカム川の河口から60㌔ほどの人口70万人の港町である。川には白いイルカが飛び交い町の各地にイルカの像が建ちシンボルだ。先の戦争末期、昭和20年6月、バリックパパンに逆上陸した連合軍は100㌔ほど奥地のサマリンダへ敗走する日本軍との間で激しい戦闘となった。バリックパパンからサマリンダまでの密林の中の道は”死のサマリンダ街道”と当時呼ばれたが、幸いサマリンダ市内には戦火は及ばなかった。
サマリンダの50㌔ほどマハカム上流に4-5世紀、この地に栄えたクタイ王国の都、テンガロンの遺跡がある。今ではサマリンダから観光船に乘って名物のロブスターを楽しめるが、戦争末期には遺跡周辺も戦場となり、マハカム川の流域のジャングルの地に戦後、戦友会が建てた慰霊碑が忘れられたように残されている。(参照)カリマンタンの慰霊碑については「大東亜戦争とインドネシア」(朱鳥社2002年加藤裕)