高齢者の認知症が増加の傾向にあり、国の推計だと2030年には235万人と、10人に1人の高齢者がが認知症になるという。このため、厚労省では対策の一環として、認知症の老人を早期に発見して在宅ケアを行い、長期入院を避ける案を検討中だという。認知症は早く見つければ抑制できると、聞いているが、問題は在宅ケアだ。僕の周囲をみると、ほとんどの老人が一人住まいか、夫婦だけの”核家族”である。なにか現実を無視した案のように思われる。
認知症老人の介護問題を最初に世に問いかけた有吉佐和子の「恍惚の人」が出版されたのは1972年、あれからすでに40年の歳月が流れたが、改めてこの本を読んでみると、日本の社会があの時代とは変わってきたのに驚いた。「恍惚の人」の時代には3世代が一軒の家で生活していた。主人公の嫁は認知症の舅の面倒を見ながら働いていた。家の離れに住む「恍惚の人」の面倒を見に、近所の老女や若いカップルも登場してくる。
ところが今はどうだろうか。大部分の家庭は”核家族”で、都会では3世代が一軒の家で住む家庭などほとんどない。「恍惚の人」では嫁は一生懸命看護に当たっているが、亭主はいっこうに無頓着で手を貸そうとはしない。これも今の時代ではありえない。現在は認知症の老人がいるかどうかでさえ、近所付き合いがないから判らない。
厚労省案は看護師や保健師などの専門チームを作り、高齢者宅を訪問して患者の早期発見をし、在宅ケアを行うという。しかし”核家族”の下ではでは、誰がどうしてケアをするのか。「恍惚の人」の時代ではそれも可能だったかもしれないが。どうも厚労省案は長期入院防止にによって老人医療費を抑制することに狙いがあるみたいだ。
認知症老人の介護問題を最初に世に問いかけた有吉佐和子の「恍惚の人」が出版されたのは1972年、あれからすでに40年の歳月が流れたが、改めてこの本を読んでみると、日本の社会があの時代とは変わってきたのに驚いた。「恍惚の人」の時代には3世代が一軒の家で生活していた。主人公の嫁は認知症の舅の面倒を見ながら働いていた。家の離れに住む「恍惚の人」の面倒を見に、近所の老女や若いカップルも登場してくる。
ところが今はどうだろうか。大部分の家庭は”核家族”で、都会では3世代が一軒の家で住む家庭などほとんどない。「恍惚の人」では嫁は一生懸命看護に当たっているが、亭主はいっこうに無頓着で手を貸そうとはしない。これも今の時代ではありえない。現在は認知症の老人がいるかどうかでさえ、近所付き合いがないから判らない。
厚労省案は看護師や保健師などの専門チームを作り、高齢者宅を訪問して患者の早期発見をし、在宅ケアを行うという。しかし”核家族”の下ではでは、誰がどうしてケアをするのか。「恍惚の人」の時代ではそれも可能だったかもしれないが。どうも厚労省案は長期入院防止にによって老人医療費を抑制することに狙いがあるみたいだ。
40年前”恍惚の人”が書かれた時代は、今のように超高齢ではなかったし「認知症」という言葉さえありませんでした。家庭制度も崩壊していなかった野で”恍惚の人”で済んだのだと思います。知り合いの福島の老人施設を訪れたら、ほとんどが認知症の方々でした。しかし、恵まれたこの施設も、国の指導で”終の棲家”にしてはいけないという指導で、一定の期間がくると帰宅させられるようです。都会では、もっと厳しい状況下にあります。数千万も払って高級老人ホームに入れるのは本当に恵まれた限られた人たちです。
抜本的な対策を講じなければ、この問題は解決しません。社会構造が変わってきています。