「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

関敬六との一期一会 

2006-08-26 06:08:22 | Weblog
あのトラさんこと渥美清の朋友だった関敬六が他界した。浅草をこよなく
愛した浅草の古き良き時代の最後の芸人の一人だった。芸能界にはうとく
知人もいない僕だが、一度だけ関敬六と会い話したことがある。昭和30年秋、
僕が”かけ出し記者”で上野・浅草方面のサツまわり(警察担当)をして
いたころだ。フランス座の楽屋で彼から話を聞いた。関敬六の履歴によると、
当時彼はまだ下積時代である。僕の記憶では彼はストリップの司会をして
いたが、派手な職業に似あわわず、律儀な人だなーとの印象を受けた。以来
半世紀以上、僕は彼に会っていなかった。

一期一会という言葉がある。茶の湯の心得で「茶会に臨む際は、その機会を
一生に一度のものとし、主客ともに誠意をつくせ」という意味だそうだ。
人の一生には数多くの人との出会いがある。1年365日、人生50年とし1日1人
に会ったとしても18万2,500人の人との出会いがある。この出会いの中でいま
何百人、何千人の人の記憶があるだろうかー。いわんや一期一会となるとなる
とー。

最近逝去された作家の吉村昭とも昭和53年、札幌でお会いした。子供の
大學の父兄会の会長をされていたころである。一言お話しただけで作風その
ままの誠実さがうかがわれた。やはり一期一会の精神であった。むかし取材で
力道山とも一度だけ話をしたことがあったが、その応対には誠実さがにじみ出て
いた。これも一期一会である。(敬称は省略)合掌


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