「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

”もう幾つ寝ると..”戦前昭和の歳末風景

2020-12-28 07:54:27 | 2012・1・1

今年も押し迫りあと4日の数え日となった。数え日とは古さい表現だが僕ら昭和初め生まれにとっては”もう幾つ寝るとお正月、お正月には凧あげて駒をまわして遊びましょう”(童謡お正月)を想いだし懐かしい。もう80年近くも昔のことになった。

今日28日は近くの目黒不動尊の”おさめ”の縁日である。わが家では江戸時代から、この日には一年無事終えられたことに感謝して参詣することにしている。今年は年初からコロナ禍に災いされ、必ずしも良い年ではなかったが、一家大病もせず暮らせたことに感謝して老妻が娘と一緒に参詣してくれる。

戦前の東京では山の手でも隣近所が集まって合同で餅つきをして楽しんだが、29日は「九」の「苦」からくる縁起をを担いで餅つきはしなかった。新年のお飾りも大晦日の31日には”一夜飾りは縁起が悪い”と飾らなかった。おせち料理はどこの家庭でも自宅で作ったもので、主婦が練炭七輪を幾つも使って一日料理していた。

歳末大売出しのくじ引き風景もわが街から消えた。あの威勢の良い一等大当たりのかけ声が今でも耳に残っている。戦後も昭和30年代までは一等商品は桐タンスであった。歳末風景としてわが町から戦後完全に姿を消したのは救世軍の慈善鍋とあの歌”信ずるものはただ信ぜよ”だ。今でも活動されているのだろうか。