戦中、日独伊三国同盟下、少年時代だった筆者世代はヒットラーのドイツ、ムッソリーニのイタリアにおかしな親しみを感じる。ローマはその首都で人口290万人の大都市だ。「ローマは一日にしてならず」「すべての道はローマに通ず」などなど永遠の都である。とくに筆者世代にとっては1956年封切られたハリウッド映画「ローマの休日」(グレゴリ-.ペック、オードリー.ヘップバーン主演)の名場面もあって一度は訪れたかった。
願いかなって1998年秋、定年後の旧婚旅行で老妻と二人だけで訪れた。カトリックの大本山、バチカン宮殿近くのホテルに宿をとり、案内書片手の観光だったが、何とか無事に古代ローマのコロシアム闘技場跡、カラカラ浴場跡等の世界遺産をを見物、「ローマの休日」の石畳に老妻と腰を掛けたが、トレビノの泉はなぜか、その日は水が枯れていた。夜食には予約して高価な五つ星のレストランで食事したが、昼食に場末の街頭で食べたピザの方が記憶に残っている。旅とはそんなものだ。