

お歳暮はもともとの意は文字通り歳の暮だったそうだが、今では転意して一年の終りに、その年お世話になった方に感謝をこめて贈り物をする習慣を指すようになった。年金生活に入ってすでに四分の一世紀、社会との接触は薄くなり、お歳暮を贈ったり、頂く数も少なくなってきたが、それでも、この時期になるとデパートなどからオンライン.システムで買えるお歳暮のカタログが贈られてきて、お歳暮の季節感を感じる。
宅急便など便利なものがなかった戦前昭和の時代には、お歳暮はわざわざ贈り先まで届けに行ったものだ。僕の子供の頃の記憶の中にも母親に連れられて地下鉄で日本橋の三越本店まで行き、お歳暮の品を選んで知り合いの家に届けて回った想い出がある。戦前、デパートは高級品を扱うシンボル的存在であった。デパート独特の化粧品売り場からくるあの芳匂は今でも忘れられない。加齢と共にデパートへ行く機会も少なくなった僕ら夫婦にとっては、何より便利で有り難い贈り物だ。