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「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

コンビニとおでんと老人の想い出

2013-11-06 07:15:32 | Weblog
首都圏もやっと秋が深まり朝晩は肌寒くなってきた。この時節になるとおでんが恋しくなる。かっては私鉄沿線のわが町にも、何軒かおでんの具を売る専門店があったが、今は一軒もなくスーパーで一袋にはいった材料を買って家に帰って煮るか、コンビニで出来上がったものを買ってきて食べるしかない。とくに最近の若者はおでんといえばスーパーというほど人気が出ているらしい。

ネットで大手スーパー三店の人気おでん材料ベスト5が紹介されていた。いずれも一位は味が浸みた大根で、卵が二位だった店が二軒、あとは順位は違うが、牛筋、厚揚げ、白滝、こんにゃくといった材料である。戦前昭和から40年代初め頃までは、おでんといえば屋台が中心だった。子供の頃鈴をチンチンならしながら車を引っ張っておでん屋さんがやってきた。子供は夜食というよりおやつとして買ったものだが、一つ買うと、おまけに親指の爪ほどのコンニャクをくれた。

コンビニ三店のベスト5に入っていた牛筋は、関東の人間には馴染がない。関西でいう関東だき(おでん)では牛筋が好まれるが、関東では筋といえば、筋蒲鉾の一種で白身のサカナのすり身に軟骨をなえりあわせたものである。渋谷にプロレスの力道山のジムがあったころだから昭和30年代の終り、現在のモアイ像からJR南口にかけて夜通し屋台が出ていた。そのうちの一軒は独立漫画集団(独漫)の隠れたたまりで、仙人の小島功さんも時々顔を見せていた。あの屋台の煮詰まった筋の味が忘れられない。本格的な高度成長が始まる前のおでんの味であった。