「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

           有料老人ホームでの心穏やかな日々

2012-12-01 07:07:54 | Weblog
早や師走である。このところ”喪中につき新年のご挨拶失礼させて貰います”といった喪状が毎日のように届く。若かった頃は遺族の方から自分の年老いたご両親の逝去に対する欠礼が多かったが、最近は逆にご本人の逝去を、そのご遺族から知らせて頂くものが多くなってきた。やはり自分自身が高齢になってきた証拠である。

昨日もご夫婦で有料老人ホームに入居されているSさんから次のような喪状が届いた。喪状というと、大体は印刷屋さんのサンプルにそった通り一遍のものが多いが、残されたご夫人からの文面があまりに心こもったものなので紹介させて頂く。「4月の終わりに夫が満93歳を前に永眠しました。この3年余、緑に囲まれたホームで暖かいスタッフの方々にお世話になりながら、ゆったりと心穏やかな日々を過ごしておりました。これまでの皆様のご厚情に御礼申し上げます」

Sさんご夫妻の有料老人ホームは閑静な武蔵野の一角にある。施設のHPによると、200人も入居できる本格的な施設だが、ご夫妻はこの夫婦だけのの居室に住まわれていた。ゲスのやっかみをかねて使用料を調べてみると、居室の賃貸料、管理費、食事代で計、一人最低235,000円が必要だ。これに部屋の電気、水道料金、テレビ代などは別料金である。これでは、やはり限られた恵まれた人たちしか入居できない。

超高齢化時代である。僕の周囲にも80歳代はおろか90歳代でも夫婦元気で生活されている方もいる。しかし、90歳代になるとやはり、夫婦どちらかが老化から介護が必要になってくる。国の高齢化政策は、介護によって自宅で最期を迎えることのようだが、残念がら一部の恵まれた人を除けば、自宅の構造がが高齢者向けにはできていない。すべての老人が”心穏やかな”日々を送れるのは残念ながら、今のところ夢である。