「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

         大久保の火災と貧困老人の悲劇

2011-11-07 08:04:23 | Weblog
東京都営地下鉄の「東新宿」駅に近い大久保1丁目の古い2階建のアパートの火災で住居人4人が焼死体で発見され、二人が重傷だという。このアパートには22世帯23人が住んでいたが、新宿区の調べでは、そのうち17世帯17人が生活保護を受けていた。犠牲者の大半が70歳で、怪我をした人の中には80歳の高齢者もいた。都会で生活する貧しい老人たちの悲劇を浮彫りにしたような事故である。

アパートは築30年も経っており、部屋は4畳半だけトイレは共同だという。これでは入居人はなかなか集まらないため、不動産屋は募集に当たって、物件情報として”福祉可”(生活保護者でもOK)という記載をしていたという。都会では一人住まいの高齢者はなかなか部屋がみつからない。まして生活保護者では、こういったアパートではないと住めない。

数年前、群馬県の無許可の老人ホームで火災が起き、入居者16人のうち10人が焼死した。犠牲者の大半は東京墨田区の福祉事務所の斡旋で、このホームで生活していた老人だった。大久保の火事の犠牲者の身元は、まだ確認されていないようだが、亡くなったお年よりは群馬の老人ホームの犠牲者の言ってみれば、予備軍みたいな方々だ。

厚労働省のつい最近の発表では、全国の生活保護受給者の数は205万をこえ、戦後の記録であった昭和27年の204万人を突破、新記録だそうである。16年前の平成7年には88万人だったのだから、いかに急激な増加だかが判る。政治はTPPをめぐって迷走しているが、早くどこかで歯止めをしないと、日本丸は沈没してしまう。