「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

               日本人の立小便

2011-11-10 06:16:40 | Weblog
鹿児島県長島町の男性職員が町民の農業研修の途次、町所有のバスから降りて熊本県湯奈本の中古車販売店の敷地で立小便したとして、店主から警察に訴えられた。警察ではこれが軽犯罪にあたるかどうか調べているそうだが、人前での立小便は、僕が知る限りあまり世界には類をみない、みっともない行為だ。

戦前は男の立小便は日常的にみられた風景だったが、一方においては取締りも厳しかったようだ。亡くなった母が僕によくしていた話だが、川崎大師に参拝したあと、僕が尿意を訴えたため、困った母親が大通りから少し入った横丁で、小便をさせたところ、お巡りさんに見つかり大目玉をくらったそうだ。僕も覚えているが戦前の東京の裏通り塀には神社の鳥居を模した絵が描いてあった。昔の人は神社の前では頭をさげていたほど信心深かった。

大東亜戦争中、日本軍の兵隊さんたちは現地の人たちの目には”がさつ”に映ったようだ。今でも僕がよく旅するインドネシアの当時を知っているお年寄は僕に笑いながら、兵隊が立小便していたことと、酒をのむと大騒ぎしていたことをいう。インドネシア人は人前では立小便しない。またイスラム教徒が多いから飲酒して大騒ぎする習慣がないから”がさつ”に映ったのだろう。

さすがに今の日本では男が立小便する姿は減った。しかし、昔にはなかった路上での立ち食いや公共交通機関での飲食が日常的だ。シンガポールでは電車内で飲食すれば罰金刑に処せられる。僕ら戦前生まれの年寄りにとって、若者が電車内で人前をまったく気にしないで、口をもぐもぐさせていると、お行儀が悪いと叱りとばしたくなるが、じっと抑えている。