安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ジョー・ロック INNER SPACE

2015-03-22 07:35:55 | ヴァイブ、オルガン他

長野県飯田市に実家のある友人から、同地にある喫茶店で豆も販売している「カフェ・トロピコ」の中深煎りブレンドの粉をいただきました。『コーヒーは焙煎を行ってから約2~3週間も経過すると「腐り」ます。』と説明書にあって、ハンドピック、焙煎、新鮮さを大事にしているようです。いただいた珈琲の粉を用いて飲んでみましたが、美味しい。飯田市近辺ばかりでなく、県内でもいい方に入ると思われる味でした。滋味溢れる演奏が収録されています。

JOE LOCKE (ジョー・ロック)
INNER SPACE (SteepleChase  1995年録音)

   

ジョー・ロックは、1959年カリフォルニア生まれのヴィヴラフォン奏者です。多数のアルバムがあり、2014年にも来日をしているので、お聴きになった方もいると思います。革新的なことはやりませんが、充分にスイングし、繊細さも併せ持っていて、ミルト・ジャクソンやボビー・ハッチャーソンの後継者といっていいのではないでしょうか。ジャケットが強面ですが、内容は優しげなアルバムです。

メンバーは、ジョー・ロック(vib)、マーク・ソスキン(p)、ハーヴィー・シュワルツ(b)、ティム・ホーナー(ds)。1990年代前期におけるジョー・ロックのレギュラー的なコンボによる録音なので、演奏機会の多かった曲が選ばれているようです。マーク・ソスキン(p)は、1978~90年の長きに渡り、ソニー・ロリンズ(ts)のサイドメンとして活動していました。リーダー作は多くありませんが、サイドメンとしての吹き込みは多数あります。

曲は、ピアニストの作ったものが多いのが特徴です。ジョン・ルイス作「Django」(ジャンゴ)、アンドリュー・ヒル作「Tripping」、フランク・キンブロー作「Sanibel Island」、デニ—・ザイトリン作「Quiet Now」、チック・コリア作「Inner Space」、そして、スタンダードの「Fly Me To The Moon」と「Skylark」、ハービー・シュワルツ作「Truce」の全8曲。MJQが演奏した「Django」が注目されますが、ヴァイブ奏者のアルバムに、A・ヒルやD・ザイトリンの曲が選曲されているのが意外性があって面白い。

ジョー・ロック(vib)は適度にソウルフル、かつ、端正で爽やかななプレイをしています。「Django」のテーマ部の弓弾きのベースが絡む幻想的な音色、そして、ロックのソロもこの曲のムードに相応しく、MJQ以外の優れた「ジャンゴ」として印象に残ります。また、A・ヒル作の「Tripping」は、哀愁味のあるテーマと、ロックの細かな音を使った雄弁なソロがかっこいい。

【カフェ・トロピコ】

住所:長野県飯田市上郷飯沼1795-7
電話:0265-21-5201
 

         


仙台、一関旅行 (後篇)

2015-03-20 22:15:56 | お出かけ・その他

二日目は、午前中に仙台市内を散策しました。仙台駅から青葉通りを歩き、途中で右折して広瀬川にかかる橋(仲の瀬橋)を渡り、途中で左折し、仙台城跡に向かうことにしました。

   

青葉通り。冬なので葉はありませんが、木々が多く植わっています。

   

仲の瀬橋から見た広瀬川。 

仙台城脇櫓から本丸跡まで700メートルくらいですが、歩いてみると結構な距離と傾斜でした。仙台城本丸跡からは、市内が一望できるので、カメラを構えている人が多かった。

   

仙台城の本丸石垣。左端に歩道が整備されていて、歩きやすいです。

   

仙台市街地。

伊達正宗の像があり、それをバックに記念写真を撮る人が多いようです。片隅には、土井晩翠の像と、作詞した「荒城の月」の歌詞を彫りこんだ歌碑が設置されていて、しばらくの間、その歌詞とメロディーが頭の中で流れました。

   

   

ホテルに戻るのに、再び徒歩ではたいへんなので、市内の観光スポットを循環している「るーぷる仙台」バスに乗りました。土日は、15分間隔の運行なので、乗り降りするのに便利です。

午後からは、岩手県一関市へ。まずは、駅からタクシーで、ジャズ喫茶「ROYCE」へ。電話を入れてあったので、マスターが出迎えてくれました。

   

壁や床がコンクリートでできたリスニングルームで、タンノイのスピーカーから出てくる音に耳を傾けました。アンプは真空管のものを使っています。タンノイはクラシックにむいているなどと言われますが、低音もよく出ていました。訪問する人は、オーディオが好きな方が多いようで、全国からみえるそうです。

   

   

後方に、レコードやCD、書籍のある書斎があります。手前のプレイヤーでレコードをかけていました。

続いて向かったのは、世嬉の一酒造です。売店やレストランなどがあって、敷地内は公園のようで、いい雰囲気でした。お酒を試飲させてもらい、お土産に、純米酒を一本買い求め、近くのジャズ喫茶「Basie」に向かいました。Basieのことは別記事に書きます。

   

   

一ノ関駅に戻りましたが、帰りの新幹線まで少し時間があり、小腹も空いたので、芽吹き屋一ノ関駅店に入りました。抹茶とずんだ餅、くるみ餅のセットを頼みましたが、餡がみずみずしく、餅も適度に柔らかく、最高のスイーツでした。一関には、もち文化があるそうなのですが、旅の最後に思いがけずその一端に触れることができました。

   

   


アンドレア・モティス LIVE AT JAMBOREE

2015-03-18 23:36:16 | ヴォーカル(A~D)

殺人など深刻な事件はないけれど、身近に起こる謎を扱ったミステリーが増えているようです。実績のある女性作家、近藤史恵さんの「タルト・タタンの夢」や「ヴァン・ショーをあなたに」(創元推理文庫)も、そこに加えられそうです。下町のフレンチレストラン「ビストロ・パ・マル」を主な舞台とし、そこのシェフが、お客さんの謎を、注文した料理や料理器具などから解いていきます。プロットとともに、料理の描き方や登場人物のキャラクターが魅力的なので、なかなか面白い。女性の歌手兼マルチ・プレイヤー。

ANDREA MOTIS (アンドレア・モティス)
LIVE AT JAMBOREE (SWIT 2013年録音)

   

アンドレア・モティスは、1995年スペイン生まれのヴォーカリスト兼トランペット、アルト・サックス奏者です。マドリッド音楽院で教鞭をとる、ジョアン・チャモロ(b, bs)に見出されて、彼のコンボの一員としてフューチャーされ、既に4枚のCDをリリースしています。この5月には、チャモロ(b)やスコット・ハミルトン(ts)と来日します。

メンバーは、アンドレア・モティス(vo,tp,as)、ジョアン・チャモロ(b)、スコット・ハミルトン(ts)、イグナシ・テラザ(p,org)、ジョセップ・トレーヴァー(g)、エスティーヴ・ピィ・ヴェンチューラ(ds)。今回来日するメンバーと同じ顔触れです。バルセロナのクラブにおけるライブ録音ですが、スペインのミュージシャンが日本に紹介されることはそうないだけに、そのあたりにも興味が湧きます。このアルバムは、CDの他にDVDが付いていて、映像も見ることができます。

曲は、ほぼスタンダードです。「Exactly Like You」、「Medeitacao」、「I Fall in Love Too Easily」、「Sun Showers」、「Someday My Prince Will Come」(いつか王子様が)、「Moody's Mood For Love」、「Chega de Saudade」(想いあふれて)、「Summertime」、「Lullaby of Birdland」(バートランドの子守唄)、「Corcovado」、「All Too Soon」、「My Baby Just Cares Fro Me」の12曲。「Chega de Sudade」は、モラエス作詞、A.C.ジョビン作曲のボサノヴァの名曲です。

モダン・スイング系のリラックスした歌、演奏が楽しめます。アンドレア・モティス(vo)の歌は、声量はそれほどありませんが、曲にそって丁寧に歌い、彼女のトランペットは、まろやか系でちょっとチェット・ベイカーを想いおこします。スコット・ハミルトン(ts)が存在感を示しています。可憐なモティスのヴォーカルが聴ける「Exactly Like You」や「I Fall In Love Too Easily」、ピアノのクラシカルなイントロから一転してスインギーな「Lullaby of Birdland」、ボッサの「Chega de Sudade」など、ジャズクラブにいるような気分に浸りました。

【ヴァン・ショーをあなたに(近藤史恵著、創元推理文庫)】

      


COUNT (宮城県仙台市)

2015-03-16 22:22:50 | ジャズ喫茶

仙台市内で、純粋なジャズ喫茶として営業を続けているところは、「Count」(カウント)だけになっているようです。一番町の北の端の三越百貨店の方から、Countへ向けて道を歩いたのですが、空き地や新しい建物が増えていて、前回寄った10年ほど前と比べて、付近の街並みは相当変化していました。入口にある看板を見つけた時には、ほっとしました。

   

ずっと奥の正面に仙台三越の看板が見えます。あちら側から歩いてきました。

通路を進んで、入口の扉を開けると、トランペットの輝かしい音色が聴こえてきました。フレディ・ハバードの「Reddy For Freddie」がかかっていました。アルテックの大きなスピーカーから、中音を中心として音が出ていました。

   

   

ソファに落ち着き、珈琲を注文して、あたりを見回すと、客席の配置やカウンター、壁にかけてある写真も見憶えがあり、昔からあるものです。照明はやや暗めで、出てくる音に集中できる、ジャズ喫茶ならではの店内です。

   

   

     

Countは、オープンが1971年5月21日のようです。以前と異なり、新しくなったと思ったのは、トイレです。壁には落書きもありましたが、昔のような過激な書き込みは全く見当たりませんでした。

      

次にかかったのは、ローランド・ハナ(p)の「Impressions」というアルバムで、これがなかなかよく、CDかLPを買うつもりです。Countでは、豊富なライブラリーの中から、知らないものや珍しいものが聴けます。このようなお店がある仙台市のジャズファンは幸せです。

   

   

今回、1時間くらいの訪問中、お客様は5~6人だったので、経営はたいへんだと思いますが、ぜひ長く続けてほしいお店です。「また来ます」と、マスターに言ってお店を後にしました。

【Count】

住所:宮城県仙台市青葉区一番町4丁目5−42
電話: 022-263-0238
営業:13:00~24:00  水曜定休 


渡辺貞夫 I'M OLD FASHIONED

2015-03-15 09:28:02 | アルト・サックス

北陸新幹線長野~金沢間が昨日開業しました。長野駅に隣接する商業ビルの「MIDORI」も増床オープンしたので、行ってみたのですが、和菓子店の「いとうや」(本店:長野県飯田市)が出店しているのを見つけました。 2年間飯田市に単身赴任していた際に、同店の「きんつば」をはじめとした和菓子をお土産などに使っていました。長野市で手に入るのは嬉しく、さっそく買い求めました。日本人ミュージシャンの作品です。

渡辺貞夫 (SADAO WATANABE)
I'M OLD FASHIONED (EAST WIND 1976年録音) 

   

その昔、長野県松本市民会館で渡辺貞夫グループのライブを聴いたことがあります。フュージョンをやっていた頃で、そういった類の演奏が多く、元気も感じられない残念な公演でした。曲の傾向が僕の好みにあっていなかったこともあり、そのような印象を強くしたのでしょう。リズムにグレイト・ジャズ・トリオを迎えたこのアルバムでは、その時とは別人のような演奏を聴くことができます。

メンバーは、渡辺貞夫(as, fl)、ハンク・ジョーンズ(p)、ロン・カーター(b)、トニー・ウィリアムス(ds)。リズム陣の「The Great Jazz Trio」は、まだ、トリオとしての録音は行われておらず、このアルバムが彼らの初めての録音です。トニー・ウィリアムスは、マイルス・グループで名を挙げたのですが、ここでも奔放で、シンバルの連打などスリルのある演奏をしていて、ドラムスに焦点をあてて聴いても面白いです。

曲は、スタンダード、有名ジャズオリジナルと渡辺貞夫の自作品です。チャーリー・パーカー作「Confirmation」、ビリー・ストレイホーンの「3:10 Blues」と「Chelsea Bridge」、スタンダードの「I Concentrate On You」、「I'm Old Fashioned」、渡辺貞夫作の「Gary」、「Episode」、「One For From The T.V.Theme "Juhyou"」の全8曲。ゲイリー・マクファーランドを偲んで作曲された渡辺作「Gary」は、マル・ウォルドロンの「Left Alone」を想わせる曲想で印象に残ります。

渡辺貞夫はもちろん、リズム陣の3人がバップに回帰したアルバム。1曲目の「Confirmation」から、アップテンポで胸のすくような演奏が楽しめます。テンポの遅い「Gary」や「Chelsea Bridge」では、渡辺貞夫(as)が抒情的な吹奏を行い、ハンク・ジョーンズ(p)も美しいタッチでソロをとります。「I'm Old Fashioned」におけるソロやバッキングをはじめ各曲における、トニー・ウィリアムス(ds)のプレイは痛快といってよく、主役の座を奪ってしまったような気さえします。 

【長野駅と商業ビルMIDORI内「いとうや」】

   

手前の横断歩道橋(ペデストリアン・デッキ)から撮りました。

   

駅中央コンコース

   

MIDORI内のお土産ストリートに出店した「いとうや」

MIDORIお店案内「いとうや」

いとうや(本店)ホームページ