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1995年の阪神淡路大震災がきっかけとなり自動書記で突如絵を描き始める 絵の仕事は26年目 ブログ光のチャレンジは11年

『ドレスよりハウス』

2013-05-26 | 本の紹介
「家を建てて一人前!」というのが富山県人の考え方なのだそうだ。
この本『ドレスよりハウス』(マガジンハウス)の著者、室井 滋 さんも富山の人。
彼女は名エッセイストとしてもよく知られているが、本業は俳優。
この本はそんな彼女の「家造り体験エッセイ」である。

私はあちこちで見つけて読んだ彼女のエッセイが好きで注目していたが、こんなふうに本としてまとまったものを読んだのは初めて。
「家」の話になるとすっかり目の色が変わる私なので、思わず「一気読み」してしまった。

特に興味深かったのは、「風水」の話。

「ドレス」もおしゃれも止めて節約し、必死になってお金を貯めた彼女がやっと見つけて購入した土地が、何と三角形だったのだ!
しかもそこは三方が道路という角地になっていて、このような「辻」というのも、風水的にあまり縁起が良く無いというのだ。

一時はすっかり落ち込んだ彼女だが、何とか気を取り直し、何かいい方法は無いかといろいろ模索。
そんな中で出会ったさる有名建築家からは敷地に「お地蔵様」を置くことを薦められる。
が、結局これはどうしても彼女がその気になれず、採用は却下。

このあたりも、私なら相手に気を遣ってその言う通りにしてしまいそうになると思うのだが、彼女はもの凄く悩んだ末にやっぱりどうしても自分の気持ちに合わないとなると、丁重にお断りする勇気を持っていて、そういうところに私はとても感心した。


また、最初に「家が欲しい!」と思い立ってからも、彼女は決して姑息な手段は取らない。
人の紹介でローンを貸してくれそうな銀行を見つけ、そこで自分という人間を信用してもらうためにはどうしたらいいかと考え、人のアドバイスをよく聴き、まずそこにまとまったお金を預け、その後も収入がある度に定期的に預金し続けるという感じで、しごくまっとうな、「まともな手段」で、土地を買うお金を貯めるところから始めるのだ。

しかもようやくお金が貯まった頃に、たまたま実家のお墓が傾き、どうしても彼女がそのお墓を建て直す必要が出来た時には、思い切ってそのために使うというところもあって、決してケチケチ貯める一方だけでは無いところもいい。


どんなことにおいても、そんなふうに「人として当たり前のこと」を、当たり前に取り組み、何か問題が出て来たらそれに真っ正面から取り組んでいく、そんな彼女の姿勢が好きだ。

「宝くじが当たったら家を買おう♪」などと、ただ、ぼぉ~と甘い考えで期待して待っているのでは無い。
「どうしたらその夢を実現出来るのか」ということを、本当に真剣に考え抜き、良い智恵が浮かばない時には人の助けとかアイデアを借りて乗り越え、そして、何よりも本人自身がせっせと資料を集め、よく勉強し、もの凄く「努力」する!!!

そういうところが心地好くて、本を読んでいると、まるで彼女と一緒に頑張ってしまうというか、家を建てるという夢に向かって共に手をたずさえて進んで行っているような、つい手に力のこもるような気持ちになってしまう。


「あぁ!なんて大変、だけど楽しい・・・」と、帯文にもあるように、何度もの危機的状況を乗り越えていく彼女のそのバイタリティと、どこか素朴さを残した「田舎の人」そのままのような彼女のキャラクターが、この話をさらに面白くさせていて、愉快でユニークだ。
それにもまして、私が一番いいなと思うところは、彼女の「素直さ」だ。
ほんとうにこういう人が身近かにいたら、誰でもつい応援してあげたくなるのでは?と思う。


突然話は横道に逸れるが、例えば私の人生は(自分で思うには)「地雷」だらけの平原を、何かに追われて(捕まらないように!?)走り続けているような、そんな感じがする。
それでも無事に生きていられるのは、私の体にはセンサーが付いていて、自動的にそのような「地雷」を避けることの出来るシステムになっているからだと思う。

だから、人から見ると私がとても飄々として?自由自在に(あちこち引っ越したりして)のびのび走り廻って楽しそうに生きているふうに見えるかもしれない?が、私自身は決して心底安らいだ気持ちになることは少ない。
「いつどこで何が起こるかわからない」といつも思っていて、突然爆発が起きて世界が終わってしまわないかとずっとハラハラ緊張のし通しなのだ、、。
そんな私がいつも願っているのは私自身の「心の平安」、そして世界の平和である。


「地雷」なんて自分の創り出した「幻想」だと悟って、この世界は「安全で安心出来るところ」なのだと、深く安らぐことが出来るのであれば、どんなに素晴らしいだろう!
そしてそんな「安らげる家」♡ がもしあれば、どんなに幸せで落ち着けることだろう。
私はそんな自分の「居場所」を今なお求め続けている気がする、、。
(決して大袈裟でも、完璧主義でも無く!)

こんなことを書くと読者は「わぁ、何て大変そう!」と思われるかもしれないが、大丈夫!
どこかでそれを「選択している」自分を知っているから、、。
そして、別の選択をすることもまた出来るのだから。


こういう私とは全く対照的な「真実な生き方」をしているのが、この室井 滋 さんだと思う。
彼女は決して「幻想」に負けたりはしない。その幻想の奥にある「真実」をしっかりと見つけていく。

例えば彼女は自分の行く道を自分で決めて、その道のどこに「地雷」が埋もれていようとも、その道を避けることをしない。
自分の行きたい道をただまっすぐに歩き、そこで「地雷」を見つけたなら、黙々とそれを取り除き、またその道の続きを今までと同じように淡々と歩いて行く人だと思う。

「地雷」を避けようとして本来の自分の行きたい道では無い、別の道を行くのでは決して無い。
回り道をするわけでもない。寄り道もしない。ひたすら自分の道を歩くだけ。
そしてもしもそこに「地雷」があれば、それを掘り出して爆発しないように処理するだけ。
だからとても慎重に歩く。少しずつ、少しずつ、ほんとうに地道に、、。


と、いうわけで、話を元に戻すと、「風水」の問題にも彼女はまっすぐに取り組み、建築士とも相談して、三角の土地の尖ったところには植木を植えたり、縁起のいい庭石を置いたり、花壇を造ったり、、また新築した家の屋根には(厄よけアイテムとして)何と「シーサー」 を飾るのだ。

……………………………………………………………………

そして遂に家は無事完成!(1994年のことで、その頃彼女はまだ30代だったのです!!)
郷里の親戚や友人たち、仕事仲間もたくさん招き、シーサーの守りのおかげか?その後さらに仕事も順調に行き、その家を新居として彼女はパートナーと共にとても幸せに暮らしたことはもちろんである。

けれども「家というのは建ててみなければわからない」こともたくさんある。
その家でも全く何一つ問題が無かったわけでは無い。
ちゃんと一流の人に設計を頼み、きちんと寸法も測っていたにも関わらず、キッチン&リビングから和室への出入り口で必ず頭を打ってしまうのである。

なぜなら、「ステップフロア」形式の間取りを採用して、茶室のにじり口のように、そこの部分を少し小さく造っていたためで、それは狭い家をうまく使いこなす設計ゆえだったのだが、毎回そういうふうでは困ってしまう。

それでも彼女たちはめげない。家に文句を言ったり、嘆いたりもしない。
「何かよい工夫は無いか」と考え、いつも頭を打つところに「打っても痛くないように」クッションを取り付けたのだった!

そんなふうにして、何か問題が起きても彼女はいつでも「ではどうしたらいいか」ということのみを考え、工夫し、前向きに乗り越えて行く。

そして後日、と言っても家が建ってから3年後ぐらいに、彼女は対談で「風水」で人気のプロのDr.コパ氏に会う。
その時に彼女の建てた家のことについて、彼に鑑定してもらったところ、「とても好い気が流れている」と言ってもらって、大喜びするのだが、さて、三角のその敷地についての「風水」は!?

彼の言った思いがけない一言。
それは・・・・・本人だけでなく、読者の私ももちろん全く予想もしていないことだった!!!


「ネタばれ」してはいけないので、これ以上書けないけれど、どうしてもこの結果が気になる人は、この本の「あとがき」を(書店の立ち読みで)こっそり読んで見てください♪
きっと肩から力が脱けて、思わず笑ってずっこけることでしょう!

そして、「こんなことがあるから、だから人生って面白いのよね☆」って、生きる元気が出るに違いありません。


「風水」おそるべし! たかが「風水」、されど「風水」である。
それにしっかり振り回された彼女だが、最後に発見したのは、それに負けない、囚われ過ぎない素敵な生き方だった。

どんな問題にだって、必ず「解決」の糸口はある筈という彼女の強い信念。その勇気。
そして数々の難題を乗り越えて行くその彼女のたゆまぬ「努力」こそがそれを打ち破り、幸せな生活へと彼女自身を(自然に)よい方向へと導いて行ったのだと私は思う。
依存的な「待てば海路の日和」とか、スピリチュアルな祈りの力だけでは、とうてい家は建たなかった筈だ。

助けとなってくれた多くの人々との出会いだって、そのような彼女だからこそ、人は協力してくれたに違い無い。
人の助言に素直に従いつつも、自分の気持ちも純粋に伝え、人に頼っても「甘え」では無い彼女の生き方のすがすがしさに、私は教えられるところが沢山あった。

あれこれ余計なことには頭を使わず、夢の実現に向けて何が必要なのか、、と、「ともかく自分の目的と目標にまっすぐに向かっていく、とてもシンプルな生き方」にも魅かれた。


おしまいにもっとも印象に残った彼女の家に関する独白をご紹介します。

どう?家って不思議でしょ?
家が変われば生活が変わる。人生も変わる。
家という生きものが導いていこうとするからね。
ボンヤリしてたら家のエネルギーに負かされちゃうよ。

・・・自分が選んでここに来、自分が選んで家という形ができたけど、生まれた家にも新しい命が宿りひとり歩きを始めてる。
命の存在を見つめて、お互いに理解し合い、愛情を注いだり、もらったりしなくっちゃね。

偶然☆ なんかじゃない。
私は幸せになるためにここにやって来たのだ・・・と。



★ 東北の被災地の人たちや、原発の放射能被害などで全国に避難されて暮らされている人たちの上にも、どうか一日も早く「安心して落ち着ける家」や希望通りの「居場所」が授かりますように♪と、心から願っています。




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