夕刻の備忘録 さんより転載です。
週末の天気が荒れるとの予報があった。
これ以上の災害が出ないことを祈るばかりである。
風水害が起きて近隣の小学校に一時避難が始まると、必ずそこにマスコミが現れる。そして必ずこう聞くのである。「早く家に帰りたくはありませんか?」と。
避難生活が数日にも及べば、日常的な問題が色々と出て来て、疲労も増え、イライラも募ってくる。しかし、彼等は避難直後の人々に対しても、こう訊ねるのである。自宅に帰りたくない人間など居ないだろう。それを見越して、印象操作に励むのである。
そして、お年寄り達が「早く自宅に帰りたいと話されています」という「事実」を報道するのだ。さらに酷い手合いになると、避難されている方々は「口々に早く帰りたい、風呂に入りたい、もう我慢の限界だ」と語りました、と不安を煽るのである。
この手の報道が、「昼過ぎ避難の夕方」には既に繰り返されるのが定番である。半日も過ぎていない中で、「風呂に入りたい、ゆっくりと眠りたい」との「証言を確保」して、勇躍テレビ局に戻るのである。
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問責決議が可決された。
頭の中が真っ白の防衛相と、疑惑で真っ黒の国交相である。
問責とは大臣の資質を問うものである。そして、それが可決されたということは、少なくとも参議院は「院の意志」として、彼等を大臣として認めないと決議したということである。従って、彼等が答弁する審議に応じないのは当然のことである。
そして、自民党の審議拒否が始まった。
そう、「始まった」のである。
し かし、マスコミは即時に「自民党の審議拒否が続いています」と報じる。その足で民主党に出向いて、「早く審議を再開したいですか」と訊ねるのである。答え て曰く「早く審議を再開したい」「早く国会を正常化したい」「委員会でゆっくり居眠りがしたい」「早くお風呂に……」との「証言」を引き出すのである。
そ して、念押しの為に街頭に出る。自民党の審議拒否が「続いています」が、どのように感じられますかとインタビューをする。委員会の一つ二つが潰れ、延期さ れたレベルの状況でも、国費の無駄遣いであるとか、国会議員の職場放棄であるとか、既に半月ほども審議拒否が続いているかの如き勢いで報道するのである。
聞かれた人は何も分からない。
分からない人を捜して聞くのだから、分からないのは当然である。
そして「それはいけませんね」と言わせる。
「早く正常化して欲しいですね」と言わせる。
「国会が異常事態ですが……」と問い掛ければ、「早く正常化を」と答えるのは当り前の話である。そのインタビューを受けて、タレントに自民党批判をさせるのである。
無 知無能の大臣の為に、国民の生命が危険に曝されたことなど全く報じない。証拠もあり、本人も認めた公職選挙法違反のことなど全く報じない。外務委員会な ど、委員長を務める「頭真っ白大臣の飼い主」の横暴で、数ヶ月も開けなかったのである。これは異常事態ではないのか、職場放棄ではないのか、税金の無駄遣 いではないのか。
これがマスコミの手口である。
これに見事に引っ掛かる人々が、国民の半数近く居る。
その結果起きた悲劇が「政権交代」である。
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民主党が野党の時、丁度この反対をやっていた。「審議拒否は当然だ、政府は即時大臣を罷免すべきだ」と五月蠅い限りであった。
財務大臣が体調を崩したまま記者会見をやった。日本の恥だ、辞めるまでは審議拒否だと声を張り上げていた。そして、辞任を確約した後も、「法案の成立まで後数日の有余を」と願い出た大臣に対して、今直ぐ辞めないなら審議拒否だと大騒ぎしていた。
彼の獅子奮迅の働きにより、世界の金融界は救われた。リーマンショックの衝撃が少しでも和らぐように、懸命の努力を重ねていた。エコカー減税やエコポイントといった政策のオマケで、この二年余りの日本経済は辛うじて命脈を保ってきたのである。
彼・中川昭一に対して、民主党がした悪辣非道を決して忘れない。
マスコミは中川の業績を一切報道しなかった。
そして今もなお、報道していない。
あの日に帰りたい。
そう思う日がある。
若かりし頃の出会いに対して。
また、出会わなかった不運に対して。
もう少し頑張れば、もう少し寛容であれば。
様々な思いが過ぎって、しばし佇むことがある。
誰にもある、何時でも起きる「小さな回顧」である。
しかし、そんな個人的な思いとは全くの別次元で、不可能とは知りながらも、何としてでも戻りたい日がある。自分の小さな人生など投げ捨ててでも戻りたい日がある。
出来ることなら2009年のあの夏に戻りたい。
そして、もうひと踏ん張りしたい。
もう一枚でもいいからポスティングに汗を流したい。
そう思わない日は一日もなかった。そして、その思いと同時に、「政権交代詐欺の共同正犯たるマスコミ」に対する怒りが鎮まったことは一日もなかった。
この週末、自民党の審議拒否を批判する「マスコミ人士の顔ぶれ」をしっかりと脳裏に刻んで頂きたい。因果関係の「原因」を報じない、それを隠蔽することで、世論を操作する。そして、自分達の歪んだ欲望を充たそうとする。それがマスコミの手口である。
「政権交代」は国民の手により為された。
結果的に中川を屠ったのもまた国民である。国を愛し国を護ることに命を捧げた人に、国民は涙することもなかった。
その一部始終を侵略者達は見ている。
嬉嬉として国家を弱体化させた国民が、最期に手にするもの。それは侵略者の餌食となった家族の屍である。抜け殻となった国家である。
2600年を越えて続いたことは、明日もまた続くことの保証にはならない。国家はこうして滅びる。「善良にして無知なる国民」の手によって滅ぼされる。その時、どれほど悔いたところで、もうあの日には戻れないのである。