またたび

どこかに住んでいる太っちょのオジサンが見るためのブログ

BUTTERFLY-11

2009-03-11 17:27:36 | またたび
 即答だった。
 僕はまた目を逸らしてしまった。
 会計は彼女が払い、外にでるとアーケードは昼間と変わらず明るく、人がたくさん行き来していた。
 僕は立ち止まり彼女に問いかけた。
 「どこか、いきたいところはある?」
 うーんとそう呟くと、博之くんに任せるといい、僕の肩をポンと叩いた。
 「わかった。一度は行ってみたい場所があるんだ」
 彼女が出来たら行きたい場所があった。
 でもまだ早い気がしたが、行く宛もなかったので、心に決めていた場所に向かうことにした。
 数年前に出来たわりと新しいビル。
 玄関近くのエレベーターはすぐに僕らを迎え、二人だけで中に入ることが出来た。
 トモはどこに向かうかすぐにわかっていたようだった。
 無音に近い状態の中、増え続けるカウントを見ながら、恐る恐る僕は初めて?と聞いてみた。
 「友達と来たときがあるよ」
 彼氏と来たときがあるといわれなかっただけ安心したが、友達という言葉が少し気がかりだった。
 ビルの頂上にある展望台は平日のせいか、そんなに人はいなかった。
 ベンチの隅でカップルが景色も見ずに抱擁したまま、動かなかった。
 僕らはそれを尻目に街を上から一望した。
 走る車のヘッドライトやアーケードの照明のごく日常が見る角度によって、非日常的な一つの芸術作品に姿を変えていた。
 たぶん独りで見たなら、何も感じはしないだろう。
 違う日にここに立ってみても、今とは違う感想になる。
 なぜなら、トモといるこの瞬間は二度と訪れない、今の高揚感はもう味わえないからだ。
 僕はトモの手を握りたかった。
 展望台は静かで歩く音だけが響いた。
 まるでそれは木霊のように反響していた。
 手をつなぐタイミングやそれを抑える感情で綺麗だねと会話はそれの繰り返しとなっていた。
 トモにはほかにこうして遊ぶ男友達がいる。
 自分から聞いといて、やりきれなさや、先に進もうという感情が強くなっていたが、その距離の埋め方が要領よくつかめていなかった。
 トモの横顔をまじまじと見る。
 アイラインの入った力強い目、そして、唇の下に遠慮しているかのようにある小さなホクロ。
 「何?」とトモが僕の視線に気づく、心の中では夜景よりも綺麗なものがあったよと、ロマンチックなことが言えたが、口に出すことは出来ない。
 だから、なんでもないといって、また視線を避け、遠くを見つめた。
 無言のまま時間だけが過ぎていった。

BUTTERFLY-10

2009-03-10 08:04:58 | またたび
 でもそんな彼女のことは確実に好きになり始めていた。
 好きになれば多少のことなら、目をつぶれる。
 いや、許せるといったほうが正しいのかもしれない。
 好きになる自分と新たなる感情に取り付かれている自分。
 一番輝いているのは彼女なら、僕は近くひっそりと輝くにいる小さな星でいい。
 「私がタトゥを入れた理由をはなしてなかったよね」
 一休みしたいと入った喫茶店で彼女はタバコに火をつけながら話し出した。
 「特に理由という理由はないんだけど、何か変われると思ったの。自ら、あと戻りできないようにしたっていうか」
 僕は何も言わず彼女の話を聞いた。
 「仕事もたくさん変えたのも、未だにやりたいことが見つからない感じのフリーターのままきちゃって、今のエステの仕事もそんなにやりたいことではないし、だって仕事は深夜までやるでしょ?好きでやっている仕事だったらやりがいを感じるのかもしれないけど、なんとなくやっているからね。でもいつかは見つけられると思う。私が羽ばたけるようなことがね。その時は背中に群青色の蝶のタトゥをいれてみたいの。蝶のように私も羽ばたいて、自由にいきていられる証になる気がしてさ。こんな考えの女はどう思う?」
 「まぁひとそれぞれだから、自分なりに生き方を見つけられるのが人生だと思うから。僕はいま大学生に通っているけど、やりたいことが見つからないんだ。専攻している心理学もなんとなくの部分もあってね。いま、二十歳で二年生だけど、来年にはもう就職活動しなきゃなんなくなるし、どうにでもなれっては思えないんだよね。フリーターにかなり抵抗がある。」
 最後のフリーターというところははっきりとは言えなかった。
 大学に入れるだけでもすごいよと彼女は言った。
 やれば誰だって出来るといいたかったが、イコールそれは彼女がやらなかった結果がフリーターであるといっているような気がして、言いかけたが途中で止めた。
 「…トモ…」
 さん付けでは壁があると思いトモと呼ぶことにした。
 僕のなかではかなりの冒険だった。彼女は笑ってなぁにと僕の目を見た。
 僕はいつも自信がないから人の目を逸らしてはなしてしまうのかもしれない。
 このときも目を合わせたつもりだったがだんだん視線は下へ落ちていった。
 「例えば、山を登るにしても色々な上り口があると思うんだ。斜面が急な道や平坦な道。だけど、上に登ることには変わりないんだ。…トモが仕事を転職し続ける道もある、今の仕事の道で山を登ることだって出来る。頂上に何があるかはわからない。結婚かもしんないし、やりがいかもしんない。それは人によるけど、でもどんな道を選んで進もうが前に向かっていると考えれば、少しは気持ちが楽になるかもしんないよ。それでも前に進んでると…ごめんね、年下なのに説教くさくて」 
 全然、彼女は首を横に振った。僕は残りのカプチーノを飲み干した。
 「あと、聞いていい?」
 「こうやって、二人で遊ぶ男友達はやっぱいるの?」
 彼女は少し黙って答えた。
 
 「いるよ。ショック?」
 僕はタバコの煙を吐き出した。風のない店内で漂う煙が消えるまで黙っていた。 そんな予感はしていたが、はっきり言われると、気分がいいわけがない。
 「ショックだね。もう会わないでっていったら会わないでくれる?」
 「それは博之くん次第じゃない」

BUTTERFLY-9

2009-03-09 08:00:16 | またたび
 約束の日に彼女は寝坊が理由で一時間以上遅刻をしてきた。
 仕事で疲れているんだからしょうがないだろうし、そんなことを責めても時間が戻ってくることがないのだから、気持ちをすぐに切り替えた。
 駅の近くのベンチでクレープを食べた。その時また彼女が質問をしてきた。
 タバコを取り出し、僕の目を見た。僕は目を逸らして、遠くを見つめた。
 「タバコを吸う女性はどぅ思う?」
 電話で話したことがあったが、彼女はかなりのへービースモーカーらしい。
 実際にタバコを吸う姿はみたことがなかった。
 正直女性でタバコを吸う人は好きではない。
 しかし、それを彼女には伝えていなかった。晩冬の空が少し曇りだした。
 「吸ってストレス解消になるんだったら、吸いすぎなければいいんじゃない」
 僕はタバコを吸うことを否定しないつもりで言った。
 「違うの、聞きたいのはそんなんじゃなくて、博之くんが吸う人を好きか嫌いかを聞いているだけなの。嫌に思われたくないから聞いているんだよ」
 完全に裏目に出てしまった。
 僕は人に目を合わせるのが苦手だが、彼女の大きな黒い瞳にゆっくりと視線を合わせた。
 「ぶっちゃけると、あんまり吸ってほしくないかな。タバコの匂いの女性は苦手かも…」
 そう言うと彼女はにっこりと笑って
 「うん、わかった。なるべく吸わないようにがんばるね」
 始めから素直に言えばよかった。
 後悔しても過ぎたことは戻ってこない。
 戻ってこないなら、新しいものをつくればいい。
 「博之くんの地元はどんなところ?」
 二月の風は冬の匂いと彼女の匂いを運んだ。
 「すごく田舎で、港町で漁業が盛んなところかな。自然はあるけど退屈なところだよ。早くここを脱出したいなって思ってた」
 「でもそんな自然がたくさんあるところに行ってみたいな。行ったら案内してくれる?」
 「全然構わないよ。電車で片道二時間かかるけどね…」
 アーケードの入り口に友達がバイトしているファーストフードがある。
 僕はそこでたちどまり、彼女に言った。
 「友達のとこに顔出してもいい?」
 「でも、まだ彼女じゃないよ」
 また、見えないものがまとわりついた。
 勘違いしていた自分が恥ずかしかった。しかも、アパートに行きたいや、地元に行きたいなど、いいように振り回されていて、手の平で踊らされている。
 まさにそんな状態であったことは間違いではなかった。

BUTTERFLY-8

2009-03-06 08:06:03 | またたび
          4
 彼女とのメールのやりとりで何を聞いて、何を話題にすればいいかわからなくなってきた。
 自己紹介や最近あった出来事もそう長くは続かず、メールはいつも彼女の仕事の愚痴ばかりであった。
 電話で話をしても彼女はいつも質問か仕事についてのことばかり、電話が終わる頃は深夜二時を過ぎ、朝起きることが辛くなってきた。
 でも電話しないでとは言えなかった。
 いや、言わなかった。彼女が電話することでストレス発散になるのなら、それで構わないし、僕は違うときに睡眠をとればいいだけのことだ。
 「ねぇ、博之くんは親と仲がいい?」
 今日も彼女は僕に質問をした。
 「別に仲が悪くもなければ、よくもないよ。なんで?」
  彼女に対し、もう敬語はつかっていない。
 「話したこともあるかもしれないけど、結婚を考えていた人がいて、その人の家族とくらしていたのね。でも、その姑が嫌がらせみたいなのを毎日してきて、彼に言ってもマザコンみたく、あっちの肩ばかり持ってばかりで嫌になったの。そして別れたんだ。だからちょっと気になったの」
 いきなり親の話をされるとは思わなかった。
 実際、僕が彼女を連れてきたら、親は彼女にどう接するだろうか。
 テレビで見る嫌味な姑にはならないだろう。確証はないが、そのときは僕が彼女を守ってみせる。
 「大丈夫だよ。きっと」
 「まだ付き合っていないのに、へんなこと聞いてごめんね」
 まだという言葉が生ぬるく形のないものとして、僕の胸にこびりついた。
 「今度、博之くんのアパートに行っていい?」
 「えっ?え、あの…うーん」
 付き合っていないといった直後にその言葉。電話を左手に持ち替える。
 「やっぱ止めた。また街に行こう」
 彼女をいまだに掴めない。
 彼女の電話するたびにどんどん気持ちが膨らむ一方で、喜怒哀楽以外の感情が生まれようとしていた。
 「迷っているみたいだし、借りてきた映画を一緒に観ようと思ったんだけど、止めた」
 「わかった今度の月曜日にね」
 僕はいつでも遊べるようにバイトは月曜日を休みにするシフトに変えていた。
 彼女に振り回されている感じは否めなかった。
 人に聞いたら、うまくいっている証拠じゃないと言われた。
 本当にそうだろうか。
 二回目のデートのプランはあまり立てずに遊ぶことにした。

気仙沼ラーメン!?

2009-03-05 13:44:12 | 偏食日記
この前、アリオ亀有で初めて「ちばき屋」に行きました。

「ちばき屋」の社長 千葉憲二さんは気仙沼出身で以前、新宿ゴールデン街の「気仙坂」でお会いしたときがあります。
その時、ちょこっとお話しをさせていただきました。
あっしのすんでいる近くに「ちばき屋」がなく、機会があったら行こうと思っていたので、ラッキーです。

さっそく支那そばを注文!
どれどれ…


あっさりしていると思いきや、コクが深いスープでめちゃめちゃうまい!
普段あまりスープは飲みませんが、これは飲めてしまう!!
いやぁ~、ほんとにうまかったです。

久々に食で満足した昼下がりでした。




風に吹かれて

2009-03-04 08:04:50 | 東京日和

とりあえず帝釈天を歩きます。
寅さんの映画のワンシーンを思い出します。

実際にロケをしたことがある「とらや」で団子を食べました。

う~ん微妙!
やわらかいけど…なんていうのでしょうか。
でも雰囲気は味わえました★
通りを歩き続けると待ちかまえているのは

これまた映画で馴染みの

帝釈天題経寺です。
土曜日に東京をプラプラと散歩するのですが、亀有といい、柴又といい全然人がいません。
そんなもんですかね。

もちろん『寅さん記念館』にも行きました。
ここも人がガラガラでゆっくり自分のペースで展示物が見れました♪

矢切の渡しです。
あっちは千葉県です。ずいぶん遠くまできたもんだ。

風が冷たく春の予感を微塵も感じさせません。
ここから見える景色は美しいです。
そう思うともっともっといい景色が見たくなります。
もしかしたら寅さんも同じ事を考えていたのかもしれません。
日本でまだ見ぬ美しい四季折々の景色を求めて旅を続けた。

風に吹かれてどこまでも…

Mr.TIGER

2009-03-03 07:57:55 | 東京日和
ゲームパークの中には

派出所があって、

両さんの机もあります。
こんな遊んで仕事できるなんて幸せですね。

直筆サインもあります。
こち亀にちなんだ。UFOキャッチャーがあり、人形はそほど欲しくなかったのですが、ノリで挑んでみると…

簡単にとれてしまいました(笑)
調子に乗って隣の台でも…

使う機会はすくないだろうなー

あんまり亀有では見るところがなかったので、下町といえば避けても通れない場所があります。
それは…

葛飾柴又です。
柴又といったら、100人中500人はこう答えるでしょう

寅さん!!!
あっしは爆笑問題の影響で寅さんを見るようになり、日本人の人情を寅さんで学びました。

あっしゃ、根無し草よ。
風が吹いたら、そちらの方向へ。さいころを振って出た目だけ進む。


寅さんがもし生きていたら、なんて寂しい、侘びしい日本になっちまったと嘆くでしょう。憂いに満ちた目で遠くを見据えたながら。

葛飾ラプソディー

2009-03-02 08:23:34 | 東京日和
暖かい日はまだ訪れません。
というわけで題名を見たらわかると思いますが、

亀有に行きました。
亀有といえば…

りょーーーーーーーーーさーーーーーーーん!!

そうです。
「こち亀」でお馴染みの亀有です。

なにやら、道路マップがあるらしくそれに沿って歩きました。

またまた両さんはっけーーん!
粋な姿です!

下町っていうかなんでしょう、寂しいアーケードです。

っていうか「とんちんかん像」がなーーい
ロードマップを見たけど、わかりにくく、配布がないから目的の場所が発見できなかったです↓
しょうがないから、アリオ亀有のこち亀ゲームパークにいきました。

意外と写真をネタがあるので、二日間に分けて紹介したいと思います。

観光で人を呼びたいなら、もっと親切な案内がほしいです。
ロードマップは駅前にしかないし、看板もほとんどない。
まぁ、ネームヴァリューで亀有に人はくるかもしんないけど、
もうちょっとやさしさがあってもいいんでないかい?



口ずさむ葛飾ラプソディー
半分音が外れているのがあっしのいいところ
なんてね