またたび

どこかに住んでいる太っちょのオジサンが見るためのブログ

WHATEVER-18

2009-07-31 08:21:50 | またたび
 「お前の部屋けっこう広いな」
 靴を並べずにドカドカと入っていくんだね。
 私はまだ入っていいとも何とも言っていないのに。
 それで何?趣味で集めているぬいぐるみまで文句を言う気なの?
 「寂しがり屋だな。お前は…」
 何もわからないくせに、一番の理解者みたいな言い方をするのはやめて。
 あなたに一体私の何がわかるの?お前の趣味がよくわからないって、
 誰と比べて言っているわけ?
 「俺でよければ、その寂しさを受け止めるよ」
 男の体温が伝わるようで背中に悪寒が走った。
 「やめぇて、離して、もう出て行って、出て行って」
 「何だよ、お前が家に来てもいいっていうから来たのに出て行けってどういうことだよ。意味わかぁんねぇーよ。マジで。」
 やっぱり私は馬鹿な女。意味もなく涙が出てきちゃう。
 「泣くなよ、わかった。出て行くよ。じゃーな」
 ケンは私にいつも尽くしてくれていた。
 それじゃ、私はケンに何かしてあげられていたのかな。
 ごめんね、ほんとに、ごめん。そんなこともわからないで付き合っていた私。
 こんなことを言える立場じゃないけど、もう一度会いたい。
 会って何を話していいかわからないけど、もう一度ケンと会いたい。
 ケンと電話で話す事は出来なかったけど、伝えたい事は伝わったかな。
 まだ胸の鼓動が収まらない。
 それともケンはあの娘と付き合っているのかな。
 それはそれでしかたがないことで割り切る。
 割り切らなきゃ。月がとても綺麗。ケンも同じ月を見ているかな。
 一年の中でこの風景と時間が一番好きだって、ケンが言っていたっけ。

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