またたび

どこかに住んでいる太っちょのオジサンが見るためのブログ

ハイライト×ハイライト

2009-12-22 07:58:28 | Weblog
拍手と歓喜が部屋中を包んだ。
僕は鳥肌が立ち、一瞬寒く感じたけど、こみ上げてくるが感情が
すぐに体中を熱くさせた。

忘れもしない3月23日。

ワールドベースボールクラシックの決勝戦。

その日は仕事が遅番だったから、家を出るギリギリまでテレビの前から動かなかった。

会社に行く道中も携帯のワンセグで野球を観ていた。

会社に着くと皆が皆、インターネットで一球速報をこまめに更新していた。

僕は上司に「WBCがラジオでやっているので聞いていいですか?」
上司(ボス)からは「いいよ」と二つ返事の答えだった。
「あざっす」
すぐにラジオの電源を入れた。

想像力の必要なラジオの野球中継。
仕事に支障がない程度と言ったものの
手を合わせ、耳に全神経を注いでいた。
手に汗握りながら、一球一球を想像しながら聞いた。

僕が働いている部署は6月一杯で閉鎖が決まっていた。
http://blog.goo.ne.jp/axl-oyama1984/d/20090626

オリンピックもワールドカップも迎えることが出来ないのだから、
ここでこんなイベントを迎えられるものたぶん今日が最後だ。

ちょっとしたお祭りごとでも思い出を作りたい。
たぶん、そんな想いもわかっていて、ボスはラジオを許可したのだろう。

あの瞬間は野球が好き嫌いに関係なく、ラジオに耳を傾けている全員が
一つになった気がした。

日本がリードのまま最終回を迎えた。

そして、まさかの同点で皆の溜息と落胆の声があがった。

そして、
延長10回表 ツーアウト2、3塁
バッター イチロー

心臓の音が聞こえるくらいに高鳴っていた。

鼓動が最高潮の時に
刀をバットに持ち替えた侍が歓喜を呼ぶ、センター前ヒットを放った。

一瞬の静寂の後、歓喜が部屋中に拡がった。

歴史的瞬間が訪れた。

一斉に拍手と歓声があがり、僕は仕事中にもかかわらず、全力の声で
「よっっっしゃーーー」と叫んだ。(だと思う。興奮のあまりに覚えていない)

試合の終えるコールがスピーカーから聞こえたときに、安堵と喜びが心から沸いてきた。

ラジオを消しに行くとき、僕は泣いていた。
涙を流していた。
大泣きじゃないけれど、
頬に一筋の小さな川が流れていた。

紛れもなく、職場が一つになれた瞬間だった。
あの職場はもうないけど、今でもあの時の情景は目に浮かぶ。
マイナスなことしか待っていなかったけど、
午後の数秒間は幸福な瞬間であったことは確かだった。


2009年のハイライトの一つはこの3月23日だろう。






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