久しぶりの水入り相撲、若い大型力士の対戦は、まだ技を持たない同士にしても、記憶に残る一番でした。
一番どころか、何番分もの力と気力と時間を使った勝負でした。
相撲の味はさしみにあって、それが楽しみでもありますが、さしみなどという小手先の技ではなく、はじめからがっぷり組んだ四つ相撲にも、噛みしめる味があります。
大きなサバを、弟と二人で一匹ずつ丸ごと食べた昔を思い出し、懐かしさを覚えました。
行司の声より先に勝負が決まってしまうようなイッキ相撲には、やはり味がありません。
ビデオがなければ記憶にも残らないでしょう。
人々の記憶に残らない取り口は、その日の星の色分けだけで、未来さえもありません。
突っ込んではパタン、寄りかかってはパタン、セコさどドンクサさの競争のような、こんなイッキ相撲が減っていけば、お面だけに集まっている観客も、相撲を観に集まるようになっていくでしょう。