兵庫県 三田(さんだ)市 木器(こうづき) に、屋根に半鐘を置いた立派なお屋敷があります。
なぜ「半」の鐘と呼ぶのか、知りたい気もしますが、呼び名は慣習で落ち着くものですから、由来などといってもだいたいこじつけが多いので、それを深追いするつもりはありません。
太い棒で突くのが梵鐘、それより小さく槌で叩くのが半鐘、大ものはつつかれ、半端ものは叩かれるということでもないと思いますが。
警鐘に使われるのは半鐘のほうです。
急ぎの報せに、ぶら下げた棒に反動をつけてからついていたのでは間に合いません。
危急のときでもないのに、半鐘をむやみに鳴らすのは犯罪です。
国の名まで付けた組織が、石油価格急変のおかげである資金枯渇を怖れて、半鐘を鳴らした事件がありました。
自分の都合でタイヘンを告げられても、告げられたほうは大迷惑です。
あれは、普通の目でみれば、明らかに下手に作った造画とわかる絵を使って、200億もの身代金を吹っ掛けるという、子供じみた鐘の鳴らし方でした。
鳴らされた日には同じ絵をずっと出しっぱなしにして、同じことを何度も繰り返し繰り返し放送していたTVも、二日目以降はそのことについて知らぬ顔のはんべいを決め込んでいるかのようです。
半鐘には、一点と二点の交打一回という、鎮火信号の鳴らし方もあるようですが、今度の半鐘には、一点と二点の交打信号が鳴らされるときがくるのでしょうか。
一回では聞きそこなうかもしれません。