焼きそばに載った刻み紅ショウガが嫌だという子がいます。
たこ焼きの上でゆらゆら動く削り節が嫌だという子もいます。
スーパーで酢豚を買った人が、パイナップルが入っているのを見つけて店に文句を言ったら、その店では棚の酢豚を全部回収したという話がニュースになっていました。
その店では、回収した酢豚をどうしたか、従業員は、店の夕食に酢豚食べ放題で、思わぬごちそうに喜んだらしいです。
パインの入った酢豚を食べたことがない人は、それを異物と思うのでしょう。
見るだけのものはゴチャゴチャしたものを好み、食べものは単純で混ざりものがないのを好むという、奇妙な嗜好のバランスのとり方もあるようです。
菓子の袋は、頭がおかしくなるほど激烈な図柄なのに、中身は至ってシンプル、単一色、単一味、混ざりもののないものが好まれます。
しかし、中身が単一に見えて、実は素材にも味付けにも、名前も知らないような、数えきれない多種多様の材料が使われていて、異物のかたまりのようなものであることには関心は届きません。
酢豚の中のパイナップルを怖がった人は、顔見知りの人以外には、声をかけられても素知らぬ顔でいなさいという習慣が、食べ物の選び方にも滲みこんでいるのでしょうか。