前に、抱っこひものことで「しっかりしたものを買って、しっかり抱きかかえるように、お母さん、気をつけましょう」と書きました。
「しっかりしたものを買って」というのは、縫い目が不確かで突然切れたり、はずすつもりはないのに留め金がはずれたりしないものをというつもりでした。
近ごろの生活用品には、肩にかけるベルトがわずかな衝撃でプツンと切れたり、ここからと表示のある場所を見つけて容器を開けようとしても爪の先も引っ掛からなかったりすることがしばしばあります。
どこで作ったのかをよく見ると、外国製品です。
廉価好好で買い集めてきて売っているものには、早くたくさん作ることしか頭にない人が、低賃金で仕事をこなした結果がよく表れています。
作る人も、買いつける人も、それをまた売る人も、数が勝負と思っていますから、検査などという商売への敵対行為は、たぶん悪だと思っているのでしょう。
そうなれば、量販店から物を買う場合には、買う人に検査の役割が回ってきます。
検査費用はかかりませんが、検査の手間は購買者持ちというわけです。
せめてベルト類ならグイと引っ張ってみる簡単なことぐらいは、やってみたほうがよいのですが、もしそれで千切れたら、お客さん商品を壊さないでくださいとも言われかねません。
物を移動させて収入を得るだけの仕事には、それがどういう品物なのかは責任の範囲外で、渡した側の責任ということにしておかなければ、やってられないよという感覚しか生まれません。
軽営商売の弁護と勘違いされては困るのですが、こんなばかげたことが市場の常識になってしまっているのも、ふた昔ぐらい前に海の向こうではやった、グローバルなんとかのおかげでしょう。
買うまでは気を付けても、買って使うときになると、モノの神様を信じきってしまっているお母さんは、そのひもの助けを借りて抱っこしているのが、だいじなだいじな自分の子どもであることを忘れてしまいます。
子どもを抱くときにはしっかり抱きかかえなければなりません。
子どもを抱いたらスマホには手をつけないよう、LINEに気をとられてずり落ちたら抱っこひもの構造欠陥だなどと考えないよう、けじめをちゃんとつけるようにしましょう。
抱っこひもは、子どもを縛りつけるものでも、ぶら下げるものでもないのです。