廃棄物も、大きな塊になれば、もう廃棄物ではなく堆積物になります。
堆積物には、目に見える堆積と見えない堆積があります。
目に見えない堆積で最も始末の悪いのは、言わずと知れた放射性廃棄物の放射能です。
目に見えないものは、言葉の使い方次第で、始末の悪さを酷くも甘くも表現できます。
こんな説明がありました。
「使用済み核燃料や、それを処理した際に出る放射性廃棄物の処分法は技術的に決着している。専門家は地盤の安定した地層に埋めれば、安全に処分できると説明している」
「放射能は、時間を経ると減り、1000年で99.95%が消滅する。有害性が消えない水銀など重金属の廃棄物とは事情が違う」
原発から2012年末までに出た使用済み燃料は、NUMO:原子力発電環境整備機構の資料によれば、ガラス固化体にして24,800本に相当するそうです。
前の説明の、1000年で99.95%消滅は、1000年経っても5%は残るということですから、24,800本の5%1,240本分の放射能は、それでもなお消えてなくならないのでしょう。
その程度の放射能はないに等しいとするのが技術的決着ということであれば、話はどんどん進められます。
しかし、1,240本どころか、そのまた1%に満たない10本でさえ、自分の屋敷の庭の片隅なら埋めてよろしいと言う鷹揚な人がどこかにいるでしょうか。