秘密保護法が施行されたとき、最初に現れる効果は、大臣失言の報道が減ることではないかと思います。
大臣がむやみに失言することは、国家の弱点です。国家の弱点は国家機密でなければなりません。
何かジョークのつもりで言っても、話の部分、言葉の端くれしか捉えることのできない単語脳の記者たちは、ジョークであることに気付きません。
記者は書くのが仕事ですから、捉えた言葉に仕事上の都合にあわせた意味を持たせて書き上げます。
「事実を伝える」という仕事には懸命です。しかし、何を書かなければならないかの判断の根底が、給与計算と昇進作戦だとすれば、聞いた言葉を使って売れる記事に仕上げることが優先されます。
その記事が国家の弱点報道にならないかどうかなどという考えは、頭の隅にも浮かばないでしょう。
しかし、秘密保護法が施行されれば、これは国家機密であるぞと釘を刺されておいて聞いたことは、法を破ってまで書く行儀の悪い記事では売れ行きが落ちますから、よほど変わり者の記者以外は書きません。
大臣失言の報道が減ったとき、失言をしなくなったのか、報道が制限されたのか、そのときにはもうわからなくなっています。
その後、記事にされても差し支えのないジョークが報じられ、大臣さんの能力向上がわかることもあれば、変なところでまたポロッと何かが出てきて、記者たちの理解表現能力低下がわかることもあります。
法の力は、ただ何かを縛ったり罪を裁いたりするだけではなさそうです。