Chef's Note

『シェフの落書きノート』

ボージョレヌーヴォー

2005-11-22 | 美味しいお話
ボージョレヌーヴォー…。
今やコンビニでも手に入るワイン。

オイラがシェフになって数年後…。
このブームが日本での第一期が到来だったのかな…?

この時、やや小さめの樽で…購入したのだが…。

解禁日の数日前…
「手違いにてイベント当日に到着するのかわからなくなった」との業務連絡が入った。

常連のお客様には、ダイレクトメールを配布し…。
快く予約を入れて頂き…ほぼ満席状態!

ところが、主役の『ボージョレヌーヴォー』が届かないかも…。
との連絡。

「勘弁してよ…」
ってな感じ。

予約を入れて下さったお客様に今更…
「届かなかったです」
なーんて言える訳もなく。

大量に買い占めた別ルートから調達。
事なきを得たのだが…。

このボージョレヌーヴォー…
決して安い値段ではないですよね。

お祭りだから…
ってことで許される値段なのかな。

この事件以来…。
積極的に売ろうとは思わないのが…。
『ボージョレヌーヴォー』

ずいぶんと質の良いワインが安く、日本国内で売られるようになってから…。

オイラの考え方は、変わった。

ボージョレヌーヴォーを飲むなら…
イタリアのサンジョベーゼを飲んだほうが、もっと安くて美味しいのではないか?

…と考えてしまうのです。

今年、出来た葡萄で作ったワイン。
みずみずしく若々しいワイン。

コンビニに『ボージョレヌーヴォー入荷』
ってデカデカといたる所に、貼られているポスターを見る度に…。

今年、うちの店で売るのはやめようと…
素直に思ってしまう。

メーカーや輸入元の違いはあるにせよ…。

同じ値段で仕入れた、ブルゴーニュの赤やイタリアの赤のほうが絶対に旨いと思ってしまう。

絞ってから速攻で発酵させて瓶詰めされて…
ラベルを貼られて…
荷詰めされて…
空輸してくる『ボージョレヌーヴォー』よりも…

時間と人の心の温もりで育まれ、ゆっくりと運ばれた同価格のワインの方を選んでしまう。

空輸された運賃が大きく上乗せされ、解禁日にあわせた『ボージョレヌーヴォー』と…

海路で運ばれた『ボージョレヌーヴォー』との価格差は、歴然としている。

海路で運ばれたワインは、日本に着くまでに通常…赤道を2回通る。
そこで温度管理の問題というリスクが生まれる。

しっかりしたメーカーや輸入元は、ここに大きく神経を使う。

品質の劣化が無いように…。

スエズ運河を通るルートを選ぶとマラッカ海峡付近が赤道の緯度にあたり…
ここを1回通過するだけで済む。

このルートを通ってくるワインは品質管理にこだわったもの。

このルートを通ってくる『ボージョレヌーヴォー』もあるはず…。

空輸で運ばれたものよりも、もしかしたら品質は確かかも…?

何故なら、各メーカーも各輸入業者も解禁日に間に合わせるために、必死になる事は確か。

品質管理よりも、店頭に届けるほうが何より優先する訳でしょ?

まあ…今年できたばかりの葡萄ジュースがアルコールを含んでいるといったワインだから…

それほどまでに、神経質にならなくても良いのかもしれないけど…。

船便で送られてきた『ボージョレヌーヴォー』を解禁日と同じ価格で売る販売店。

これは…ちょっと違うのではないですか?
…と言いたくなる。

空輸で運ばれてきた『ボージョレヌーヴォー』を仕入れて…
レストランのメニューにのせると…
決して安くはない値段になってしまう。

この価格で売るのなら…
もっと美味しいワインをその価格でお客様に提供したいと素直に思う。

あわせる料理もしっかりした料理は…どうなの?
って感じでしょ?
ワインが若すぎるから…。

それだったら…
ワインショップや酒屋さん…または、コンビニ…
そこで気になった『ボージョレヌーヴォー』を買って…
好きなチーズやハム等も買ってきて…
気軽に手軽に…お家で好きな人と『ボージョレヌーヴォー』を楽しむほうをお薦めしちゃうのです。

そんな飲み方が一番似合うのが…このワインなのだとオイラは思う訳。

だって…オイラが自分でレストランに行って…
「ボージョレヌーヴォーを下さい!」
なーんて注文は絶対にしないから…。

だから…今年、『ボージョレヌーヴォー』は仕入れていません。

ごめんなさい…。
ボージョレ村の皆さん…。

今日も、「ボージョレヌーヴォーないの?」
とのお客様の声に…
「こちらの方が美味しいですよ…」
とお気に入りのミディアムボディをお薦めしてしまいました。

そのお客様…
ミディアムからフルボディのワインを4人で3本あけて下さいました。

自分が良いと思ったものお薦めして…
そして喜んで頂けると…嬉しいですね。

自己満足にならないよう…
謙虚に謙虚に…
頑張りまーす!


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