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私の視点 首相辞任から考えた草の根民主主義

2008-09-02 10:40:46 | Weblog
 福田首相が職を辞した。

 メディアは福田氏の辞任の仕方を面白おかしく様々な形容を使って報じているが、彼の辞任は規定路線、時間の問題であった。その辞め方に驚きと共に怒りを禁じ得ない人も多かろうが、これが永田町のサル山の実態であると考えるしかない。

 そう。サル山のボス猿共の頭には、普段から民衆の前で彼らが口にする「国益」「国民のために」などというフレイズは残念ながら意識としては存在しない。自分たちにどう利益を誘導するかということしか彼らの頭の中にはないのだ。

 それにしてもふざけた政治だ。ここ一年を取って見ても、安倍晋太郎氏の首相辞任劇、福田氏選出の経緯、自・民大連立構想、内閣改造と幾つもの節目があったが、どれを取ってもそこに国民の存在はない。

 唐突と取れる今回の辞任劇だが、公明党の横暴ともいえるわがまま(民主党が次期国会で矢野元公明党委員長への嫌がらせ問題で池田大作氏の証人喚問請求を含めた動きがあり、それに公明党は異常なほど神経質になっていた)や民主党の激しい揺さぶりがあったにせよ、国会運営を中心にした「自民党にとっての勝利の可能性」という視点から考えると、時期はやはり「今」しかなかったのだろう。

 これ以上福田政権が「悪あがき」をすれば、女房役である幹事長・麻生太郎氏の人気に傷をつけかねないとボス猿たちは考えたのだ。マスコミは解散・総選挙の時期を連日報道していたが、自民党の幹部の多くは以前から「福田で総選挙を戦えるわけがない。小沢に勝てるはずがない」と考えており、解散を許す空気はなかった。彼らは毎夜のように集まって、「いつ福田を辞めさせるか」を話し合っていたのだ。

 一ヶ月前の内閣改造の時、「私の視点 麻生人気に警鐘を鳴らす」の中でも書いたが、「福田→麻生」はサル山においては規定路線であった。そこに今回は公明党が前述したことに関連したことで大きな動きを見せ、福田氏はサル山が予定していたスケジュールを前倒しして辞任したのではないか。

 今後お馬鹿なマスコミはボス猿たちに踊らされて「麻生か小池か?小泉の動きはどうなる?」とポスト福田を巡って狂騒曲を大音量で日本列島の隅々にまで届けていくだろう。その騒音が程度の差こそあれ選挙民に影響を与えることは間違いない。

 ボス猿たちは今やそこにしか「小沢に勝つ目はない」と見ている。マスコミが自民党総裁争いを連日報道して新総裁が誕生し、幾つかの人気取り政策を発表して支持率を上げれば、その先は解散・総選挙に一挙に突入する。

 では、選挙民である私たちはどうしたらいいのか。

 選挙は、この世が議会制民主主義である以上、自分たちの権利を政治に反映させる唯一と言ってもいい絶好の機会だ。これからは家族や友人・知人と政治談議に大いに花を咲かせ、投票所に足を運びたい。「選ぶ政党、政治家がいない」と思って投票所に足を運ばずにいたら未来永劫その人には国政参加の機会は来ないだろう。

 自分たちで代表を送り込むのも一つの手段だ。たとえ一回で当選しなくてもいい。何度も挑戦を続けて仲間を増やしていくのだ。また、仮にそういう活動が無理にしてもグループで政党や地元選出の候補者に質問書を送る方法も考えられる。そのやり取りを自らのブログやHPなどで発表していけば、「輪」も広がるだろう。そうして選挙民の意識が高まることが、政治家や引いては政党に緊張感を与えていくことになる。サル山のボス猿たちを困らすことになる。そう、それこそが今、我々が実践できる草の根民主主義なのではないだろうか。