浅井久仁臣 グラフィティ         TOP>>http://www.asaikuniomi.com

日々の出来事から国際情勢まで一刀両断、鋭く斬っていきます。コメントは承認制です。但し、返事は致しませんのでご了承下さい。

真夏の夜の散歩

2005-07-18 12:55:12 | Weblog
 「深夜の公園」にはまっている。
 黒装束に身を固め、愛を囁くカップルの背後から…てなことではなく、近くの公園で身体を動かす心地良さがたまならないのだ。その公園には、数は少ないものの「有酸素運動のための器具」が置かれ、鉄棒もある。折れた足のリハビリには丁度良い(病院にはギブスが完全に取れてから行っていないので適正な方法かは確かめていない)運動が行なえる。
 昨夜も腰の重い家人を、終わった後美味しいものを買って上げると誘って出かけた。家の外にはわれわれを待ち構えているジミーの姿があった。熱帯夜に飼い主でもない私たちを待つ猫など世界中探してもいないよ、等と馬鹿な声がけをしながらジミーを抱くわれわれも他人から見たらさしずめアホ面の猫好きといったところだろう。そこからジミーは犬のように数10メートルついてきた。だが、どうやら、自分の支配地域というものがあるようで、「一線」は越えないようだ。
 公園には夜11時を過ぎているというのに、子犬を連れた中学生と思しき男子2人とベンチに座る男女判別不明の2人がいた。
 私が運動のひと通り“メニュー”をこなし休んでいると、中学生の1人が犬を連れて近くを通った。頑固親父とすれば、彼らが遠くで空き缶を植え込みに蹴りこんでいるのを見たし、こんな夜遅くいることを注意したい気持ちもあったが、子犬を連れ歩いているのが何か無性に可愛くて看過した。いや、正直に言おう。彼の犬を抱いてしまった。
 途中、1台のタクシーが止まり、運転手が「用足し」をしていった。その公園のトイレを利用するタクシー運転手は多いが、全てとは言わぬまでも、用足しをした後、多くの人が腕を大きく前後に回しながらまた車に乗り込んでいく。タクシーの運転手にとってトイレは深刻な問題で、こういう公園がとても助かると前に聞いた事がある。「タクシー運転手のオアシス」とでも看板を掲げておこうか。
 汗の引かぬまま近くのコンビニに行った。中に入ると、その涼しさに身体が鋭く反応した。もちろん入る前には、その煌々と光り輝く明るさに目が拒否反応を起こした。これも私が田舎育ちのせいだろうか。近頃の子どもや若者達に聞くと、暗闇にコンビニを発見するとホッとするという答えが返ってくる。コンビニで化学物質のたっぷり入った菓子を買うなど、お前は偉そうに環境問題を語っているくせに…とお叱りを受けそうだが、ごめんなさい、確かに「コンビニの乱立が日本の街をだめにした」と言いながら私はたまにこんなことをしてしまうのです。
 アイス・キャンディと杏仁豆腐を買って帰路に着く。行儀の悪い私は、歩きながらアイスをかじる。おぼろ月夜の中、たわいない話をした。家族のこと、仕事のこと、はたまた友人にまで話題が広がり、「まだジミーはいるかな」と最後はまたジミーの話になった。
 案の定、ジミーは待っていた。われわれの顔を見ると、鳴き声を上げた。その姿に2人とも「この家から他に移れない」と同時に思った。