浅井久仁臣 グラフィティ         TOP>>http://www.asaikuniomi.com

日々の出来事から国際情勢まで一刀両断、鋭く斬っていきます。コメントは承認制です。但し、返事は致しませんのでご了承下さい。

運転不適格者

2005-07-13 10:52:53 | Weblog
 昨日、行きつけの料理屋に昼飯を食べに行くと、女将が私の顔を見るなり、前日に彼女の身に起きた出来事を話し始めた。
 近くの銀行のATM(機械だけがあるところ)にいたところ、突然の爆音(彼女にはそう聞こえた)がして、ガラスの破片と共に車が飛び込んできたという。女将の後ろにいた2人の客をなぎ倒したワゴン車は、彼女の足元から数センチのところで止まったとのことだ。彼女は飛んできたガラスで軽傷を負っただけで済んだが、他の2人は重傷を負った。
 運転していたのは45歳の女性で、下車して目にした光景に驚いたらしく、呆然としてしまったという。どうやらアクセルとブレーキを踏み間違えてパニック状態になり、突っ込んだようだ。幸い、現場から数十メートルの所に派出所があり、「爆音」を聞きつけた警察官が駆けつけてきて事後処理はスムーズに行なわれた。
 今や「一億総ドライヴァー」の時代である。だが、恐ろしいことに、運転に不適格と思われる人たちも多い。車庫入れがまともに出来ないとか、バックさせるのが苦手といった技術的な問題だけではなく性格的に運転に不向きな人が実に多いのだ。これは私の個人的な意見だけではなく、自動車学校の教官からも聞いた話だ。「向いてないというよりも、明らかに運転してはいけないと思える人もいるけど、われわれも立場上ハンコを押さないわけにはいかないんですよね」と教官は言い、不適格者にも免許証を与えている事実を認めた。
 女将が遭遇したこの種の事故は最近多発しているが、これもドライヴァーの利便性に目を奪われた行為の“当然の結末”であるような気がしてならない。今回事故を起こしたドライヴァーも女将の話を聞いた限りでは、運転に不向きな感じがした。
 車を運転する者が一番心にとめなければならないのは、「車が人を殺してしまう凶器」であるということだ。私自身30余年運転をし続けてきたが、日常的に乗っていると、とかくその「原点」を見失いがちになっていた。ひやりとしたことは何度もあった。街中では後続車に時に煽られるほど慎重な運転を心がけていた(それなのに速度違反で何度も捕まったのはなぜかって?スミマセン、高速道路では“高速”します)にもかかわらず、通行人をはねそうになった事がある。
 そして車を下りて「銀輪生活」をしている今、危なっかしい運転をしている「加害者予備軍」により頻繁に出会うようになった。ハンドルを握ると気が大きくなってしまうのか、自転車や歩行者を蹴散らすように走る車のナント多いことか。その他にもよそ見をしたりケータイで話しながら危険走行をする車など、とにかくその手の車を挙げたら枚挙にいとまがない。
 これをお読みの方の中で、自分の性格に自信のない方は、一度立ち止まって考えてみることをおすすめする。「診断方法」はいくつか考えられるが、簡単なのは、ヴェテラン・ドライヴァーに頼んであなたの運転する車に一度同乗してもらい、適性を見てもらうのだ。そして、もしその方から厳しい判断をされたら、この際、ハンドルを握るのをあきらめる方向で考えていただきたい。折りしも、原油高でガソリンの値段も急騰している。家計は随分楽になるはずだ。

英同時テロ捜査に危うさ

2005-07-13 10:46:56 | Weblog
ロンドン警視庁は12日、「同時多発テロ」の3件の地下鉄爆破と1件のバス爆破テロを起こした実行犯4人を特定したと発表した。犯人の特定は、キングズ・クロス駅の監視カメラで行なわれたようだ。4人の内1人は死亡したとみられ、残り3人も死亡した可能性が高いとみられている。
 発表の中で犯行方法の推定なり特定はなかったが、英BBC放送は地下鉄爆破3件は自爆テロの可能性が高いと報じている。捜査当局はこれまで地下鉄の爆破については、時限装置が使われていた可能性が高いと発表していた。
 キングズ・クロスは、地下鉄や鉄道、バスなど様々な交通機関が交錯するロンドンの主要駅の一つで、今回の爆破攻撃の起点になったのではと見られている。さらに、12日には英中部の都市リーズで6軒の家宅捜索が行なわれたが、リーズとキングズ・クロスは鉄道で結ばれていることからリーズが今回の事件の拠点として捜査線上に浮かび上がってきている可能性が強い。
 ロンドン警視庁にしては異例のスピード捜査である。もしこれらの情報に間違いがないとすると、英捜査当局は事件が起きる前にある程度グループの特定が出来ており、“泳がせて”いたのではないだろうか、との疑いが出てくる。それは、ロンドン警視庁が事件直後に行なった記者会見で「諜報機関が情報を見逃していたということはなかったと認識している」などと、諜報機関の存在を何度も強調しているのをみても分かる。だが私はそこに危うさを感じるのだ。
 このような公安活動では、英国の警察だけではなく他の捜査・諜報機関も当然関与している。中でも、皆さんに「MI5/6」として知られる英国の諜報機関が有名だが、映画「OO7」シリーズの影響もあってその「質の高さ」には定評がある。だが、その評判に比べ実態はというと、米国のCIA同様、いささかお粗末といわざるを得ない。70年代から80年代にかけて「日常化」した感のあったIRA(アイルランドの英国からの独立を標榜するアイルランド共和国軍武闘派)の起こす爆破事件には、ほぼお手上げ状態であったし、2年前にも対イラク戦争への参加の決め手となるイラクの治安情報(MI6から政府に提出された)がただの現地の新聞記事からの翻訳であったことが暴露されたばかりだ。
 「911」の時もそうであったが、国の根幹を揺さぶるような事件があった場合、コトの正確さよりも迅速さが勝負になると固く信じる指導者は少なくない。確かに、迅速に動けばマスコミ受けもするし、なんといっても国民の目に「われわれのリーダーは頼もしい」と映る傾向がある。しかし、これこそが諸刃の剣の典型で、一歩間違えばあらぬ方向に世論を導いてしまうことになる。「文明の衝突」を招かないためにも慎重な捜査をしてもらいたいものだ。