休日の昼下がり、出かける用もないしその気もないし、こんな怠惰なときは飲むに限る。焼酎をアフリカつばき茶で割り、杯を重ね、脳も神経も緩めていた時、インターホンが鳴る。
宅配便か郵便配達か町内会費の集金かエホバの証人か、それ以外は殆ど訪れる人などない我が家。
誰かなぁ~と思いながら出る。
「はい!」
「あのうasagao 007様のお宅ですよね」
「そうですけど」
「突然失礼します。私弁護士の真下と言う者ですが yuugao 007様をご存じでしょうか?」
「えっ?yuugao oo7?」
心臓が飛び上がった、父の名前だった。戦後生まれの私なのに2歳の時戦死したと聞かされ後に実は離婚だったと知った一度も見たことがない父の名前だった。
「あ、今開けますから」
ドアを開けると50がらみの感じの良い男性が立っていた。名刺をもらい中へ通すとすぐ話し始めた。
「お母様はhirugao 007様ですよね」
「はい そうです」
「ああ良かった随分探しました。お母様は再婚しその方とも離婚されてますよね」
「はい そうです」
私は飲んだせいかだんだん顔が火照って来るのを覚え、そして何よりこの話がどういう方向へ展開していくんだ、何なんだ、早く云ってよと高揚していた。
「実はですね、yuugao 007様はお母様と離婚された後再婚され家庭を持たれお子様 にも恵まれ 幸せにお暮らしでしたが、先日お亡くなりになりました。」
「はぁ」
「それで生前より、幼くして別れたasagao 007様の事を非常に案じて居られまして 自分に何かあったときには財産分与をと・・・ええこの件はあちらのご家族様全ての方、快くご了解の事実で御座いまして・・・」
「!!! い、いくらなんですか?」
「一億円を・・・」
\(◎o◎)/!○_○(゜◇゜)ガーン
気持ちだけが幽体離脱したように、ほくそ笑む自分を見ていた。