有田芳生の『酔醒漫録』

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横田めぐみさん生存情報の真偽

2013-10-05 10:55:31 | 参議院
 10月5日(土)横田滋さん、早紀江さんの憂鬱は、拉致問題の解決について、いっこうに先が見えないことだけではない。めぐみさんに関する情報が出てくれば、必ずメディアの取材が殺到する。北朝鮮が拉致を認めてから11年が過ぎた。しかしこれまでの情報でめぐみさんが生存していることを証明する確たる証拠はない。情報が流れれば内心またかと思いながらも取材には応じなければならない。それは「公のことですから」と滋さんはいう。それでもお二人とも体力の限界がある。総合的にいえば、この11年間、何の成果もない政権の責任なのである。「私たちは運動のためにやっているのではありません。めぐみが亡くなった確たる証拠がないから、生きていると信じているんです」と早紀江さんは語る。

 横田めぐみさんについても触れた貴重な単行本が発売された。張真晟『金王朝「御用詩人」の告白ーーわが謀略の日々』(文藝春秋)である。張氏は労働党の統一戦線事業部に所属し、体制を賛美する詩を書いていた。韓国に暮らす脱北者は2万5000人を超える。そのなかで政権中枢に近かった張氏の証言は、これまでにない内容が明らかにされている。韓国で発売された本が日本語に訳されたものではない。日本が最初の出版国である。張氏にはこれまで『私の娘を100ウォンで売ります』という詩集などがある。こんどの本のなかで横田めぐみさんに関する脱北者情報について、こう書いている。

 「めぐみさん生存の可能性についてはいろいろな脱北者たちの証言があるが、私の判断では、彼らは拉致問題に関わるような場所に近づくことは不可能な人々であり、主張も対南工作部署の生理とは異なっている。統戦部の経歴を持つ私に、いろんな人々がめぐみさんの生死を聞いてきた。そのつど私は知らないと、終始一貫、答えた」。

 公平な記述だ。最近も「横田めぐみさんに会った」などと売り込む日本人の荒唐無稽とはまったく異なる。ただし張氏は微妙な証言もしている。2003年はじめに金正日総書記が、めぐみさんが生きていた場合と死んでいた場合の損得を調べて分析せよ、という指示を出したという。これは「文書」と書いているが、詳細が不明だ。「生きていた場合と死んでいた場合」という表現も、どちらにでも取れる。いずれにせよ、脱北者のめぐみさん情報の多くが「拉致ビジネス」として使われていることは事実である。横田めぐみさんが生まれたのは1964年10月5日。49年前のことである。



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