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有田芳生の『酔醒漫録』

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劇団四季の「李香蘭」に感動!

2008-03-27 09:09:18 | 芸能

 3月26日(水)198 練馬区の中村橋駅前でマイクを持つ。少年事件、後期高齢者医療制度の問題を語ると立ち止まって聞いてくれる。事件の背景にはメディア(ゲーム)の影響だけではなく、背景に「家族」問題や自己に対する価値意識の低下がある。その具体例を「有田塾」で語ることにした。サンライフ練馬を下見。スタッフFさんの運転で都心に戻るとき、あちこちで花見の準備をするひとたちを見かけた。「昨年の桜」に「今年の桜」。早いものだ。埼玉県警に電話で取材。ある事実を確認するための作業。ところがその回答が「広報されたという事実はありません」とあまりにも「小官僚」的。そのいい加減さを指摘すると再度確認するとのこと。かかってきた電話では「いまはお答えできません」。これで事実があったことがわかる。家人と待ち合わせて劇団四季の「李香蘭」を観る。山口淑子さんの人生を日本と中国の歴史に重ねて描いたミュージカルの完成度は高い。中国の遊撃隊員たちが歌う「松花江上」を聴きながら浮かぶのは、テレサ・テンだった。天安門の学生たちを支援する集会で歌った「私の家は山の向こう」の原曲なのだ。抗日の歌声がやがて中国政府を批判する歌へと変わっていった。第二部で会場からすすり泣きが起きたのは、特攻隊員たちが「思い」を語り、それに続いて突撃シーンや累々たる屍の実写が延々と続いたときであった。「明日は自由主義者が一人この世から去って行きます」という上原良司さんの遺書を語る場面もあった。日本軍の非道を描いた「李香蘭」。映画「靖国」を批判し圧力をかける政治家たちはこのミュージカルをどのように観るのだろうか。あまりもの御都合主義は醜いばかり。88歳になる山口淑子さんは初日に観劇したそうだ。浜松町の「浜んこら」で食事。


心温まる「星屑の町」

2008-02-10 09:50:58 | 芸能

 2月9日(土)080209_22480001 午後から小雪。酒税法に関するルポを書きはじめる。何しろ果実酒を同居していない家族に渡しても違法だとする酒税法はおかしい。麹町のある蕎麦屋に入ったところ「自家製梅酒」がメニューにあった。これも違法ならば焼き肉屋の人参酒も違法とされる。現状にそぐわない法律は改正すべきだ。原稿は「週刊朝日」に掲載される。家人と新宿コマ劇場へ。「星屑の街 新宿歌舞伎町篇」は前川清さんたちの舞台だ。会場に入って思ったことは他の舞台との客層の違いだ。圧倒的に女性が多い。第1部は歌舞伎町で生きる人たちの人情物語。「赤羽ミミ(高橋由美子)とハローナイツ」というムード歌謡グループが聴かせる。左とん平、ラサール石井の演技は円熟。前川さんはとぼけた雰囲気がいい。ハッとしたのは「語る」ということ。左とん平さんが口にする台詞は身体とぴったり密着している。新党日本の訴えを東京都内のどこかで毎週行っているが、いつも不満が残っている。「何が足りないんだろうか」といつも思うものの、それがわからなかった。左さんの語りには無理がない。「これだな」とわかりつつ、うまく言葉で表現できない。銀座「てつ」で時々お会いする左さん。機会があればぜひ聞いてみようと思う。第2部は前川清さんのコンサート。流行らなかった「海鳴り」「雪列車」は名曲だ。とても素晴らしい舞台だが、いくつか気になることがあった。前川さんはとてもサービス精神の旺盛な方だ。歌っているときに最前列の男性二人と握手。そのとき身体を乗り出した男性が握手をしたまま身体を引いたのだろう。歌っている前川さんは「引き込まないでくださいよ」と語った。舞台から落ちる可能性もあるのだから危ないことはそのとおり。だからほとんどの歌手は舞台から握手はしない。「危ない」と思ったのだろうが、そこは気落ちを口にすることなく我慢してほしかった。もう一点。情趣豊かな曲が続くなか、客席から手を振るファンに、前川さんもしばしば小刻みに手を振っていた。渋さとコミカルの同居。素敵な歌唱がいささかそがれるように感じられた。そして携帯電話。演劇の最中に着信メロディーが2回鳴り響いた。いくつかの気になることはあったが、それでも楽しい舞台だ。演劇のなかの「要荘」。その壁には3月公演の都はるみさんのポスターが貼ってあった。心温まる気持ちで雪降る歌舞伎町を歩く。大分料理の「とど」へ。


テレサ・テン北京進出にむけて

2008-02-08 08:21:50 | 芸能

 2月7日(木)170_3 役員会でこれからの活動について意見交換。昨日の都内街宣でも訴えたように、田中康夫代表は参議院本会議で地方財政法改正案に反対票を投じた。減収補填債を出し続けることは政府の「モラルハザード」(倫理観の欠如)ゆえに求められないという理由。マスコミは「造反」と報じたが、国民のための造反は当然のこと。なぜ反対したかは新党日本のホームページに説明あり。早稲田大学英字新聞会のWさん、Nさんがヘッドオフィスへ。「なぜオウム真理教は暴走したのか」との取材。オウムの歴史、信者の入信動機、麻原彰晃の生育歴などから説明。終わってから聞けば水島朝穂ゼミのWさんは事件当時9歳、女子学生のNさんは、何と5歳。一日中テレビに出ていた影響で、小学校2年生だった次女から「1メートル離れて歩いて」と笑いながらも半ば本気で言われたことを思いだす。どこを歩いていてもジロジロと見られるのがイヤだったようだ。そんな日々も遠い昔。紀尾井茶房である打ち合わせをしてから文藝春秋。表参道のジムに行って身体を動かす。優先順位から行動しているとどうしてもこの時間が後回しになるが、仕方がない。品川駅前の「築地玉寿司」で舟木稔さんと食事。今年のテレサ・テン企画について打ち合わせ。北京進出は政治状況からもう少し時間がかかりそうだ。テレサに関する新発見はどこかのテレビで取り上げてもらう予定。5月10日にはコガ・ミュージアム(古賀政男音楽博物館)で「アジアの歌姫 テレサ・テンの素顔」と題して私が講演する。命日の5月8日には『中国語で歌おう! 決定版 テレサ・テン編』(仮題)がアルクから発売。昨年はテレビドラマが放送されたからだろう。日本国内でのCD売り上げは例年より2倍増だったそうだ。いつものようにホテルパシフィック東京の「セラーバー」へ移動。舟木さんがポリドールを退社してトーラスレコードを立ち上げたときの「決断」を聞く。


「テレサ・テン物語」に酔う

2007-06-03 18:27:13 | 芸能

 6月2日(土)いつものように地下鉄で有楽町へ。JRに乗って「しまった」と思う。新橋方面に向っていた。日本テレビに行く習慣が無意識に足を運ばせていたのだ。新橋で降りて逆方向に乗り換えて東京駅。適当な新幹線に乗って京都へ。大丸の食品売り場で総菜を少し買って駅構内に入ろうとしたときだった。後から肩をたたく人がいた。振り向けば天木直人さんだ。日本政府のイラク政策を批判して外務省を辞め、言論活動を続けていることは知っている。初対面だった。ブログを見てくださっているそうだ。すでに知られていることなので書いてもいいのだろうが、参議院選挙に「9条ネット」から出馬するという。この組織は政党ではないので10人いないと立候補できない。比例区の供託金は一人600万円。したがって6000万円ないと立候補できない仕組みなのだ。これでは個人が無所属で比例区に出ることはできない。天木さんは10人を集めたそうだ。それに加えて選挙活動資金がいる。ある程度得票しないと供託金は没収されるから、立候補そのものが大変なのだ。もう少し緩やかな制度にすべきだろう。長岡京で降りて自宅へ。夕食を取りながら両親、弟とともに雑談。午後9時からは「テレサ・テン物語」を見る。4月に完成したものをざっと見ているのだが、これが本放送だと思えば真剣に見てしまった。今朝、自宅にいたとき電報が届いた。何事だろうかと受け取ったところ、高校の同級生だった田中成乃さんからでドラマ化を祝うという内容だった。京都に到着する前にも同級生からメールがあった。

 2時間半の放送のため黒糖焼酎を飲みすぎる(更新が遅れたのはそのせい。モバイル機能もなく、日本テレビの近くのスターバックスで夕方になり更新するつもりもうまくいかず。結局「ザ・ワイド」のスタッフルームで更新)。木村佳乃さんの熱演がよかったと再確認。眠る前にメールを見れば、服部真澄さんや北海道新聞文化部次長からも「よかった」との感想が届いていた。ドラマ化の話が動き出したのは2年前の秋。テレビ局の選定、キャストの選定など、紆余曲折を経たが、すべてうまくいったことを喜んでいる。新幹線に乗っているとき、長女から電話があった。アメリカでも放送されると伝えると、CS放送を探すと言っていた。テレビ朝日がどうしてここまで力を入れてくれたのかを聞いていないのだが、こんど担当者に訊ねてみるつもりだ。木村佳乃さんにとっても転機になるのではないだろうか。服部真澄さんの感想では往年の夏目雅子と重なって見えたという。いつも気持ちのどこかにあった課題が終ってしまうと寂しさもある。物事とはすべてそういうものなのだろう。大切なことは終ったところで人間的資産が残っているかどうかだと思っている。物質的なものではなく人間的資産。多くの人たちの心にテレサ・テンの真情と木村佳乃さんの演技力が届いていることだろう。原作者としてはそれが最大の喜びだ。放送をDVDにするという計画もある。今年から来年の北京オリンピックにかけては「テレサ年」になりそうだ。


木村佳乃からのメール

2007-06-02 09:37:49 | 芸能

 6月1日(金)時差のせいだろう。朝4時には眼が醒めてしまう。さわやかな感じでもないので、再びまどろむ。「テレサです!」というメールが来た。誰だろうと思えば木村佳乃さんからだった。「すっかり興奮しています」という表現が正直だ。彼女はテレビに新聞にと連日のように登場している。もちろん2日に放送される「テレサ・テン物語 私の家は山の向こう」について語るためである。木村さんにとってこれほどひとつの仕事が露出することははじめてのことだろう。2日は台湾だけではなく世界30か国でも同時に放送される。テレビ朝日がここまで力を入れてくれるとは予想外だった。はじめての原作経験。13年もかけて書いてきたことがこうして形になることへのうれしさがある。朝の「スーパーモーニング」でも木村さんが出演。舟木稔さんやわたしのコメントを折り入れて丁寧にテレサの生涯がまとめてあった。木村さんは「徹子の部屋」にも出ていたようだ。夕方、竹村文近さんに鍼を打ってもらう。最近はジムにも行けない生活だったので、久々の身体への刺激だ。タクシーで中野サンプラザへ。「テレサ・テン トリビュートコンサート」が午後6時半から行われる。楽屋でアグネス?チャンに挨拶。出演はアグネス、マルシア、en-Ray。わたしの役割はゲストとしてアグネスと対話をすることにある。最初は客席で拝見。舞台の背景にあるスクリーンにはテレサの映像が映るようになっている。マルシアが「ふるさとはどこですか」を歌い終ったところで舞台裏へ移動。

 アグネスに呼び込まれて舞台へ。テレサの素顔や天安門事件とのかかわりについてなどを15分ほど話をする。舞台にいていささか驚いたのはライトの強さで客席がほとんど見えないことだ。客席からは舞台は当然のこと、客席の様子もよく見える。ところが舞台からはよく見れば客席の前列あたりが見える程度なのだ。歌手は「見えない」客に向って歌っていることが意外だった。アグネスから「初日ですから」とお土産をもらう。お菓子や著作よりも漢方好きとしては霊芝がうれしかった。事業家アグネスをはじめて知るのだった。客席はほぼ満席。スクリーンから流れたテレサの歌声が懐しい。この催しは、5日には神奈川県民ホール、7日にはグリーンホール相模大野、11日には神戸国際会館で行われる。控室で関係者と雑談。そこに舟木稔さんが姿を現した。「じゃー少し行きましょうか」と二人で新宿へ。「朝日ジャーナル」で対談のまとめの仕事をしたときはじめて行った「美馬」へ。この店は都はるみさんたちにも連れていってもらった日本酒の美味しい店だ。エレベーターを降りると4月27日で閉店したとの張り紙があった。秋田公演中の中村一好さんに電話をして、ご主人が亡くなったことを知る。時間の流れはまた名店を失ってしまった。舟木さんと歌舞伎町を歩き、適当な店に入った。コンサートの感想、テレサに関するこれからの企画などを相談、深夜。


蜷川幸雄版「薮原検校」はすごい

2007-05-12 08:32:23 | 芸能

 5月11日(金)「AERA」の「現代の肖像」原稿をプリントして赤字を入れる。まずはこれで大丈夫だろうと自己採点。再び加筆訂正してから編集者に送る。ようやく肩の荷が下りはじめた。木村佳乃さんの所属する「トップコート」社長の渡辺万由実さんにも原稿を送る。すぐにいくつかの小さな訂正を指摘してくれた。ファンが思い込んでいる経歴にも間違いがあることを知った。これであとは編集部の判断だ。予定では5月28日発売号に掲載される。午後から近所の銀行に行って野暮用。話が終ったのが午後4時だったので担当者に「いつまで仕事なんですか」と聞いた。すると「労働基準法もありますから午後8時ぐらいまでですが……」と言って口を濁すのだった。「これからが本当の仕事なんです」という。「銀行残酷物語」という単行本があったことを思い出してしまった。1円でも計算が合わないとずっと残業だと書かれていたはずだ。池袋東武のイワキ眼鏡で調整をしてもらい文房具売り場へ。まず鳩居堂で金魚の絵柄の豆うちわを買う。アメリカ文化のなかにいる長女に日本の雰囲気を送るつもりだ。伊東屋で「RHODIA」のメモ用紙No14を入手。「ザ・ワイド」の準備のために使っているものがなくなりかけている。1回の番組コメント用に1枚のなかに情報をまとめている。この小さな紙片がないと仕事にならないのだ。時間を見ると午後5時を過ぎていた。昼食を取っていないので「おもろ」に行く。この店には土曜日に時間があるときに顔を出すことが習慣になっている。ところがここ最近は週末にずっと仕事が入っている。そこで変則的な行動を取ることにしたのだ。

 店に入ると店主のヒデキさんとクマに「どうしたの?金曜だけど」と言われる。ビールと泡盛で大学教授の常連と雑談。渋谷へ。家人と待ち合わせてBunkamuraシアターコクーンへ。井上ひさし作、蜷川幸雄演出、宇崎竜堂音楽の「薮原検校」を観る。希代の大悪党の物語だ。この8日が初日だったけれど、前日のゲネプロ(本番と同じように舞台を演じる最後のリハーサル)を蜷川さんがやめてしまったという噂を関係者から聞いていた。この「薮原検校」はかつて新宿の紀伊国屋ホールで観たことがある。その演目を蜷川さんがどのように演出し、役者陣がいかに演じるのか。そこが最大の注目点だ。盲目の「杉の市」を演じた古田新太の存在感。師匠の女房「お市」を演じた田中裕子は優雅で色っぽい。残念だったのは梅沢昌代の役割だ。この女優の明るさが発揮できるテーマではないからだ。井上さんの多弁で複雑な「言葉遊び」を覚え込む役者はすごい。最後のシーンはさすが蜷川演出でハッとさせられた。幕が降りたのは午後10時10分。渋谷の街を歩いていたら長男から銀座にいると連絡があった。銀座「はら田」に連れて行き、誕生日を祝う。深夜の日比谷。タクシーをとめようとしたが乗車拒否3台。いずれも個人タクシーだ。バブル時代もこういうものだった。あの熱気は日本が衰退に向う乱痴気だったのだろう。


テレサの命日を大阪で過ごす

2007-05-09 08:08:31 | 芸能

 5月8日(火)昨夜はホテルに戻り、京橋あたりに出没するかとおもったがガマン。駅前には美味しい立ち飲み屋があるのだ。冷蔵庫の缶ビールとウィスキーを飲みながらお笑い番組を見る。やはり関西は比較的だが笑いの質が違う。意外性から笑いが生じるならば、多くの「お笑い」はたんなるドタバタなのだ。今日はテレサ・テンの命日。今年は台湾に行くことができなかった。そのかわりでもないのだが、「Jキャストニュース」に彼女の想い出を書いた。その内容をネットで確認。午後からの講演準備。「AERA」原稿のために木村佳乃さんから取材したノートを読み返して加筆を続ける。昼前にチェックアウト。南海電車で貝塚へ。午後2時前から市役所主催の「憲法週間」講演会で話をした。内容はテレビがいかに人間を変えたかという実態と問題点を語ったのだが、やはり最初に憲法問題に触れることにした。歴史的事実としてGHQによる「押し付け」という単純な経過ではなかったこと、憲法研究会など、日本人の努力があったことなどを具体的に伝えた。そもそも憲法改正などにエネルギーを注ぐよりも、日本にはもっと切実な問題が山積している。戦争経験なき、あるいは戦争経験を身体を通して学ばない「オタク」政治家ではどうにもならないと思うのだ。昨夜、大阪の鶴橋で食事をしたとき、周りの人たちが「アベちゃんではなあ」「だってアベちゃんじゃあ仕方ないよ」などと何度も言っているので誰のことかと耳を澄ませば、安倍晋三総理のことだった。愛称としてではない。軽すぎるというのだ。

 首相として靖国神社に供え物をしたと報じられたが、問われても説明をしない。一国の最高責任者が自分の行動を説明しないというのだから驚く。特攻隊員だった松浦喜一さんの思いもそこにある。松浦さんによれば、戦後50年のときの政治家と60年とでは大きな違いがあるという。「戦場体験と九条護憲を考える 生き残った特攻隊員 八十三歳の遺書」(松浦アヤ子「長崎の原子爆弾 私の被爆体験記」も収録)は「編集室ふたりから」(電話03-3985-9454、ファクス03-3985-9434)で購入できる。送料ふくめて1000円だ。八十二歳のときの「遺書」は、朝日新聞の「天声人語」でも紹介された。現行憲法は城山三郎さんが語っていたように、戦争で亡くなった人たちの遺産なのだ。講演を終えたところでお土産をいただいた。泉州名物の「水茄子」だ。糠も入った箱詰めなのでとても重いけれど、うれしい。おまけにもっともジューシーな馬場茄子のもぎたても10本持ってきてくれた。講演が終ったらどこかで買おうと予定していたので助かる。関西空港へ。17時45分のJAL186便で東京。神戸プリンのお土産を持って銀座「はら田」。常連の家族、製薬会社の人たちと雑談。自宅に戻って日生劇場でテレサ・テンを演じているen-Rayのアルバム「何日君再来」を聴く。テレサの7曲と日生で歌った「川の流れの始まるところ」が収録されている。とても心に染みてくるお薦め。音楽関係者がよく口にする「いいな、いいな」という感想だ。


「××」は「○○」なの?

2007-05-07 07:16:00 | 芸能

 5月6日(日)東横線のある駅で降りる。「ザ・ワイド」の柳ディレクターと待ち合わせて松浦喜一さんと会う。特攻隊員として出撃したものの、隊長の命令で生還した方だ。「有田が行く」で取り上げることをお願いする。道を歩きながらテレサ・テンの「空港」を口ずさんだのは、きっと雨が降っていたからだろう。池袋の東武百貨店。食品売り場でほうれん草などを買う。舟木稔さんから電話。またテレサが亡くなった8日がやってくる。これからの打ち合わせを済ませたところ「どうでした」と聞かれたのは、日生劇場の「何日君再来」の評価だった。第一部は「どうなるんだろうか」と不安だったけれど、第二部で現代史のなかにテレサを置いてくれたため、フィクションとはいえ、とても骨太な物語になったと伝える。テレサ本人の歌声も「恋人たちの神話」「何日君再来」の2曲が効果的に使われていた。その会場でのマナーについてブログに書いたことが、「2ちゃんねる」で話題になっていると知った。賛否両論いくつものコメントが寄せられた。もう少し詳しく情況を書いておく。あのときわたしの左横には女性客がいた。その隣3つの席が空いていた。舞台が暗くなったところで前方左手出入り口から3人が現れ、席についた。前後に男性を従えた女性は帽子を目深にかぶり、大きな眼鏡をかけていた。「タレントなのだな」とすぐにわかった。劇場などではよくあることだ。このとき疑問が浮かんだ。どうしてわざわざ目立つように前方出入り口から姿を見せたのだろうか。第一部が終る前に3人は前方に進み、左手出入り口に姿を消した。問題は第二部だ。劇がはじまったが3人は現れない。「何だ最後まで見ないんだな」とわたしが思っていたときに再び3人がやってきた。そして物語の最大の山場、筧利夫さんが緊迫した台詞を涙ぐみながら機関銃のように語っているときに3人はまたまた前方へ進み、左手から出ていった。

 舞台まではたったの3列。舞台の照明によって確実に視野に入る行動であった。まさに台詞を語っている筧さんの前だ。それが誰の判断による行動であってもよくないことだとわたしは思った。その非礼は熱演する役者に対してであり、最大の集中力を働かせて舞台を見ている観客に対してである。有名人がファンへの対応から舞台が暗くなってから席につき、まだ観客が席を立たないうちに退出することは、よくあることだ。浅丘ルリ子さんが噂の恋人と新橋演舞場に来ていたことがある。わたしのすぐ前に座っていた彼らは、幕が降りてカーテンコールが続いているときに席を立った。日生劇場の「3人組」もそこまでガマンをすべきだった。あるいは舞台に近い出入り口からではなく、後方から出て行くべきであった。観客に顔をさらすことを避けるための目深な帽子と眼鏡なのだから、何の問題もないはずだ。さらにいえば、そもそもそこまで人目を避けたいのであれば、中二階にあるグランドサークル席を求めればよかったのだ。そこなら舞台にも観客にも迷惑をかけずに済ますことができる。著名人が自己防衛することは仕方がない。しかし、そのための行動は最大限周囲に配慮したものでなければならない。それにしても驚いた。わたしはそのタレントが誰であるかがわからなかった。だから「××」と書くしかなかった。ところが「2ちゃんねる」では特定個人名が書かれていた。本当に「××」はそのタレントなのだろうか。いまでもわたしには判断などできない。だって帽子を目深にかぶり大きな眼鏡をかけ、そのうえ顔が見えないようにうつむいていたんだから。それでも「あの」タレントだとわかるというのが、スゴイ!


黒木メイサのカッコよさ!

2007-05-05 07:53:58 | 芸能

 5月4日(金)テレサ・テンを聴きながら手紙を書いた。相手は特攻隊員として鹿児島の知覧に近い万世飛行場から沖縄の米軍艦隊に飛び立った松浦喜一さん。先日「みどり荘」で線香をたむけた碓井義夫さんは、途中で海上に墜落、亡くなった。生存した松浦さんに「ザ・ワイド」として取材を申し込んでいる。そのためにインタビュアーとしてのわたしが単行本『X』への思いとともに特攻隊員への気持ちを記したのだった。神保町の「壹眞珈琲店」で「ザ・ワイド」の柳ディレクターと打ち合わせ。手紙などを託し、この企画は8月の終戦特集に実現しようと話し合った。反戦も非戦も観念ではない。事実を基本に置かなければ政治的相違による「空中戦」に終わり、あまり意味はない。「伊峡」でタンメン。店主から言われた。「天下りの実態をもっと取り上げてくださいよ」。「やります」と答える。東京堂書店。佐野衛店長に「どうしていたんですか。さっぱり顔を見せないで」と言われてしまった。文庫ではなく単行本の『私の家は山の向こう』が売れていると聞いた。きっとテレサのCDが付いているからだろう。筆者としては単行本での誤りを正した文庫本を読んでいただきたいのではあるが、仕方ない。井野瀬久美惠さんの『興亡の世界史16 大英抵抗という経験』(講談社)を買う。時間ができたので森まゆみさんに電話。白山の喫茶店で雑談。近くにある白山神社に連れていってもらった。へー、こんなものがと驚いたのは孫文が座ったという石椅子だ。公園でこれからのお互いの執筆テーマについて語り合う。『自主独立農民という仕事』(basilico)という新刊をもらった。森さんとしては「草の匂いのする牛乳」というタイトルにしたかったという。サインを求めたところ「名前を書くと売れなくなるから」と言われた。献本された者の名前があると古本屋で安くなるからだ。売らないよといってサインをもらう。

070504_16520001  地下鉄で日比谷。日生劇場で家人と待ち合せ。「何日君再来」の初日。会場には若い人たちの姿が多かった。きっと「モーニング娘。」の石川梨華ファンなのだろう。結論からいえばスパイ「リン」を演じた黒木メイサのカッコ良さに圧倒された。物語はテレサ・テンをめぐる中国と台湾の暗闘をまったくフィクション仕立てにしたもの。イメージからいえば、つかこうへいさんの舞台によく似ている。筧利夫さんの生命力あふれる演技にはいつも感嘆させられる。すべての役者が輝いているのだ。ところどころでわたしの本の内容を使ってくれているので、筆者冥利に尽きる。とてもうれしかった。テレサに接触した関鍵記者役まで登場するのだから。最後のシーンでは筧さんのまぶたには涙が浮かんでいた。宝塚の月組トップスターだった彩輝なおも素敵な女性だ。第二幕の盛り上がりはすごい。幕が下りたところでテレサを演じたen-Rayの楽屋へ。テレサが亡くなって10年が経ったときに台湾の墓地ではじめて会った中国出身の歌手だ。劇中で歌った曲を収録したCDをもらう。演出の岡村俊一さんと立ち話。初日の打ち上げは辞退して銀座へ。それにしてもあれは何だと思ったのは、わたしの左手に座った若い女性タレントだ。館内が暗くなってから男性2人に伴われて席に座った。しかも後の入り口からではなく、前方左手から。そして幕が降りる前に再び出て行く。二幕も同じ。失礼だなと小さな怒りさえ浮かんだのは、クライマックスで筧利夫さんが熱演し、大事な台詞を語っているときだ。またこそこそと会場の前に進んで出ていった。ずっと眼鏡をかけて帽子を目深にかぶったままで。ファンに見つかるのがイヤなのはわかる。面倒なのだろう。しかし、ファンあってのタレントじゃないか。それ以前に舞台で演じている俳優たちに失礼だという意識がないことに驚く。××の自意識過剰な歩き方は、大きな勘違いを身体全体で表現しているのであった。こりゃーダメだ。テレサ・テンのテレビドラマを弟のジム?テンはとても喜んでくれたという。台湾で完成品を見せた舟木稔さんの報告だ。この11日には中国の桂林でテレサ・テン公園が正式にオープンする。テレサ・テンの催しはこれから6月まで続く。秋田料理の「なまはげ」で食事。人生にはとても意味ある一日があるものだなと日本酒を飲みながら思うのだった。


「桂春団治」の放蕩生活

2007-04-14 09:08:06 | 芸能

 4月13日(金)思い入れの深い「アエラ」原稿を書く。たまった実務をこなしながらなので、たった3枚で終ってしまった。あと13枚。プロの筆者は半日もあれば完成するだろうが、わたしの場合はそうはいかない。亀のような歩みで原稿を書くからだ。推敲、推敲、また推敲。それできれいな文章になるわけでもないのだろうが、自分で満足できるかどうかなのだ。フジテレビを見ていたら保阪尚希さんの「出家」を無批判に報じていた。昨日の日記では書かなかったが、おそらくそう遠くない時期に、保阪さんを「霊能者」的に起用するテレビ番組が出てくるはずだ。保阪さんが儀式を受けた六水院では、院主に相談するのに多額の金額が必要だという。社会的問題を生じる宗教かどうかを判断するには、金銭問題は基本だ。テレビ各局がオウム事件の反省も忘れ、霊能番組を垂れ流すことは、霊感商法の社会的土壌を耕すものだ。たとえば江原啓之さんの「天国からの手紙」は、統一教会のビデオセンターで使われている。霊界の先祖が呼びかけることを前提とする番組は霊感商法への導入になるからである。霊感商法被害弁連が2月2日にテレビ各局に申し入れた要望書は、冒頭でこう書いている。

 
近時テレビの超能力や心霊現象などを喧伝し、安易に霊魂観や死後の世界についての特有の考え方を断定的に述べて、これを視聴者に植えつけかねない番組が目立ちます。これらの番組は、いわゆる霊感商法的手口による消費者被害や宗教的破壊カルトへの入信被害の素地となり、また、現実生活からの逃避的自殺の一因となっていると考えられます。

 午後から新橋演舞場。家人と「桂春団治」を観る。春団治を演じるのは沢田研二。その妻は藤山直美。一幕、二幕は観客としては不完全燃焼。ジャンルとしては人情喜劇なのだろうが、藤山の能力が十全に発揮できていないような脚本に思えたからだ。笑いも乾き気味でホロリと来る場面もなかった。それでも藤山はしぐさ、歩き方、ちょっとした表情で人間の喜怒哀楽を表現していた。すごい。沢田研二も春団治の放蕩をうまく演じているのだけれど、どこか破綻がない。実生活で苦境に立ち、そのどん底から形成された感情がなければ、「人間の苦悩」を語ったところで、なかなか伝わってこないのではないか。それでも熱演であることは確かだ。木村佳乃さんが尊敬しているのも藤山直美さん。天性の能力というものはあるのだろう。第3幕までの休憩時間にFMのJ-WAVE「JAM THE WORLD」のインタビューに電話で答える。テーマは統一教会幹部がパラグアイで誘拐された事件について。統一教会の南米進出の目的、現地での反発などを語った。そして演舞場の第3幕。よくできていた。沢田研二と藤山直美のよさがうまく表出されていたからだ。脚本の難しさ、面白さを感じた一夜。春団治の落語を聞きたいと思った。カーテンコールでは「ジュリー!」という掛け声。銀座へ。長男と合流して寿司幸本店。杉山衞さんにワインを選んでもらう。