千葉県松戸市・新井税理士事務所のブログ

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役員給与の期中減額

2008-06-09 15:48:16 | 税理士
会社法が施行されて2年になります。

役員の給与は報酬であろうと賞与であろうと
職務執行の対価として「役員給与」と一本化されました。

これにあわせて法人税法も改正されました。

・定期同額給与

・事前届出確定給与

・利益連動給与

この3つが損金の額に算入されます。

多くの経営者の方も従前の考え方に慣れているので
この改正にいまだに馴染めないでいらっしゃるようです。


この改正後、「役員給与を期中に減額した場合」にも
損金不算入となることがあり、慎重に取り扱わなければならなくなりました。

一度決めた給与の支給額については変更を認めない!

という考え方になったのです。

改正前でも役員報酬の期中増額変更については
原則認められていませんでした。

利益操作を認めないという観点から
「当然」のことだったと思います。

しかし、現行法の減額の場合でも損金不算入となるのは
どうにもしっくりしません…。

法人税法施行令に損金算入となる定期同額給与が

「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」がある
場合によりされた定期給与の額の改定(減額に限る)

と定められています。

さらに通達にも

経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ず
役員給与を減額せざるを得ない事情があることをいうのであるから、
法人の一時的な資金繰りの都合や単に業績目標値に達しなかったことなどは
これに含まれないことに留意する。

とあります。

「著しく」ないとダメなのだそうですが
「著しく」とはいったいどういう状況をさすのでしょうか???

一時的な資金繰りの都合とありますが、どれくらいをさすのでしょうか???

単に業績目標値に達しなかった…
などと通達に無味乾燥に書いてありますが、
業績目標値に達しなかった場合の
会社の思いをわかっているのでしょうか?

単に達しなかったのであれば
自分の給与を下げるなんて考えないのではないでしょうか???

中小企業の社長にも自身の生活がかかっています。

給与が払えない期間がたとえ一ヶ月であっても
それは大変なことではないでしょうか?

中小企業の社長が自分の給与を減額する場合って
経営が悪化したからですよね…。


金融機関から融資を受けるため

得意先からの信用を得るため

なんとしてでも利益を出さなくてはと自分の給与を削るのですよね。

私はこれは企業の存続の危機と判断します。

「著しく悪化」しなければ自身の給与を減らすなんて
通常は考えないことだと思います。


条文だけ読んでしまうと減額すると何でも否認されてしまうと思いがちです。

こういう条文がある以上、税理士として当然
否認されないように検討しなければなりません。

その際に大切なことは!

ただ、条文にあるから否認されると考えるのではなく
まずは減額を決断した会社の状況をしっかりと考えること

だと私は考えます。

役員給与の期中改定については
会社の損益構造、財産状況をふまえた
慎重な検討が必要です!


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