船の旅・・・それもクルーズとなると、ワシが思う「普通の旅」とは少し違うような気がする。
A地点からB地点への移動手段として、交通機関
を使うケースがほとんどで、移動した先に、何らかの目的があるのが普通。「旅」を純粋に「旅そのものを楽しむ」となると、移動時間も含め、全てが「目的」になっちゃうわけで、クルーズというのは、そういうものなのだろうなと感じる。
そりゃ安いか高いか?と聞かれれば「高い」のかも知れない。だって、今回最安値の部屋でも、2泊3日で9万円弱するわけだしね。そのくらいの金額があれば、沖縄あたりに飛行機+ホテルで1週間ぐらい滞在可能だもん。でも、船にいる時間そのものも(というより、そのものが)目的と思えば、それはそれでありなのだろうな。食事代は入ってるわけだし、オプションを省けば、いろんなエンターテインメントも入っているわけだからね。
26日夜船は既に清水港を出発。駿河湾から相模湾へ移動中である。そしてメインゲストの一人である北原照久さんのトークショーも始まり、ANNANチームは今回最終ステージのリハーサルへ。
ただ、どうしてもやりたい曲なのだが、船関係者からは「やらないほうがいい」と言われていた曲があった。「翼をください」である。なぜ「やらないほうがいい」かって?だって、赤い鳥(山本潤子さんも参加している)の曲だし、山本さんは今回のクルーズのメインゲストでもあるからね。
でも・・・どーしてもやってみたい!と思ったワシ。マネージャ氏に頼んで、山本潤子さんのマネージャさんと話してもらう。すると、リハーサル現場に山本潤子さんのマネージャさんが来てくれて、「山本と話しました。自分の曲を取り上げてくれて嬉しい。是非演奏して下さい。」との返事を持って来てくれた。感激である。
そんじゃ遠慮なしに、やらせてもらいましょ!って思って、リハーサルに取り掛かってたら、
数分後になんと山本潤子さんご本人が現れて、「今日22時30分からですね。私の曲をやってくださるそうで。ありがとうございます。」と直接にANNANチームにご挨拶頂いた。
なんていい人なんだぁ!どこの馬の骨とも豚の鼻とも
?わからんANNAN。無名の極地?のようなワシらANNANチームの会場まで来てくれて、ご本人自ら挨拶とは!!!すっかり恐縮するANNANチームだった。だって、山本潤子さんだよ!
というわけで、最終ステージの写真はこれである。あれっ?ピアノのふたが開いてるそれに気がついたあなたは偉い!そう、翼を下さいという曲。そして遠くで汽笛を聞きながらの2曲については、どうしてもピアノが使いたかったのだ。
さらに・・・ワシのピアノとUKさんのパーカッションだけでは、ちょっと弱いなと感じたワシ。PA(音響)エンジニアの通称たまちゃんが、ギタリストであることは前々から知ってたので、リハ現場に行く前にワシの部屋で声をかけてみる。
ワシ「たまちゃん、この曲知ってるよね?」
たまちゃん「はい、知ってますが・・・」
ワシ「この曲で、俺ピアノ弾きたいんだけどさ。」
たまちゃん「マイクセッティング増やさないといけないですけど、できますよ」
ワシ「うんうん。でねっ、ギターが足りないのよ」
たまちゃん「持ってきた3本で足りないんですか?」
ワシ「いやそうじゃなくて、ギタリストが欲しいんだな~、追加で
」
たまちゃん「俺は無理っすよ。だってエンジニアやってるんですから」
マネージャ氏「大丈夫だよ。たまちゃんがギター弾くなら俺がPAやるから
」
たまちゃん「いや、まずいっすよ・・・」
そんなこんなの話が続く中、黙々とコード譜を書くワシ。
ワシ「たまちゃん、コード譜できたよ。これで弾けるよね。
」
たまちゃん「わかりました
」
というわけで、たまちゃんも特別参加することになったこのステージ。
22時30分の開始時間お客さんは30人ぐらいしかいない
。
聞くところによると、北原さんのトークショーが長引いているらしい。でも、船としてはあまり遅くまで時間をひっぱるわけにはいかないということで、5分遅れでスタートした。ちなみにこのステージではこんな曲を演奏。
22才の別れ(かぐや姫/風)、なごり雪(かぐや姫/イルカ)、We Can Work It Out(The Beatles)、Stand By Me(Ben E King/John Lennon)、Crazy Little Thing Called Love(Queen)、白い冬(ふきのとう)、心の旅(チューリップ)、シクラメンのかほり(布施明/小椋佳)、遠くで汽笛を聞きながら(アリス)、翼をください(赤い鳥)、出発の歌(上条恒彦&六文銭)
この中で、Stand By Meと翼をくださいで、たまちゃんに登場してもらった。たまちゃんは確か32歳。なのに、この辺の曲を知り尽くしている。聞いたところによると、お父様がプロのミュージシャンだったらしい。今後ANNANのステージにも時々登場してもらうかも知れないので、お楽しみに。なかなかルックスもいけてるし、いい人だよん。
そうこうしてると、どんどん人が増えてくる最後の2曲をやっている頃には、観客数は100名近くになっている。しかも、皆さんガンガン歌ってくれる。ワシもステージから観客席に入ってゆき、マイクなしで盛り上げる。なんだか、本当に昔の(フォークコンサート+歌声喫茶)÷2って感じである。
多少時間オーバー気味だったが、アンコールまで頂いた
。船の側としては、もうやめて欲しい時間だったのだろうけど、お客さんからのアンコールであればやらないわけにはいかない。というわけで、戦争を知らない子供たちを1番だけ演奏させて頂いた。
このラウンジでの夜遅い企画では、こんなにお客さんが集まったこともなければ、アンコールが出たこともないらしい。にっぽん丸就航後既に17年近く経っているが、結果的に、ANNANチームはいろんな記録を作ってしまったらしい
のだ。まあ、時間オーバーの件とか、いろんなことで、マネージャ氏は船側から結構怒られたとのことであったが・・・
そして、船内スタッフ用の食堂で打ち上げ。
そこには山本潤子さん、北原さんをはじめ、船上のスタッフの皆さんが多数参加。ビール・ワインその他で盛り上がる。UKさんは山本さんチームのミュージシャン(沖縄出身)と盛り上がり、朝5時前まで飲んでいたらしい。
ワシは2時前には部屋に戻って、早々に寝てしまった
。翌日、横浜港に入港間近になり、マネージャ氏から、早く起きろ!といわれるまで、爆睡であった。