Adamasアコースティックギター好きなら、好き嫌いに関わらず、一度は弾いてみたいと思うのが、Ovation Adamasではなかろうか?
Ovationそのものが、もともとヘリコプターのローターブレード(そう、ヘリの上でぐるぐる回るヤツ)等を、カーボングラファイトやファイバーグラス(んっ?日本語だとグラスファイバーだっけ?)で作っていたKaman Corporationの子会社。Kaman Corporationの社長であり、プロ級のギタリストだったCharles Kaman氏が、1960年代に「自分の好きな音を出せるギターが欲しい!」と思ったのがきっかけで、ギターの研究を始めた。そしてまず出来たのが、ワシのBlogでも既に紹介した、通常ラインのOvation。
ギターの源流はリュートだが、リュートはマンドリンのように、ラウンドバック(裏が丸い)。「ギターが結局ハコ型になったのは製造の容易さがその理由じゃなかろうか?」というわけで、裏が丸いギターを作ったのだ。サイドバックにグラスファイバーのような素材(OvationではLyrachord、リラコードと呼んでいる)を使い、表は通常の木を使っている。裏がリラコード、表は通常の木ってのは、通常のOvation製品ラインとして、もちろん今も存在する。
で、それだけではまだまだ満足できなかったCharles氏。次なる秘策として、開発に取り掛かったのが、Adamasというシリーズである。通常のギターは、弦の圧力が一番かかる部分に穴(サウンドホール)が存在する。そのために、ギターのブリッジ下の部分が膨らんで、逆にサウンドホールの周りがへこむという現象が生じる。これは通常のOvation製品ラインでもそうだし、ワシの私見では、一般メーカーよりもOvationのほうがそういう不具合は顕著に多い。
そこでCharles氏が考えたのが、表板素材を「もっと薄く、もっと強く」できないか?ということと、サウンドホールの場所を変えることで、不具合を少なく出来ないかということだった。今度はカーボンファイバーの布(みたいなやつ)を2枚、バーチ(カバ材の一種)の薄~い板の両面に貼って、それをギターの表板にしようという、これまた奇想天外な発想。そんで、70年代中盤に出来上がったのがAdamas(通称Super Adamasとも言う)である。発売当初、日本では南こうせつ氏が弾いているのを見て「なんじゃこりゃ?」と思った人も多いだろう。ワシもかぐや姫再結成のコンサートの写真集で見て、そのデザインにビックリ仰天したのを覚えている。
確か当時の国内定価は960,000円。Martin D45と高レベルでの争い
をする価格帯であった。それから数年して、飾りを少なくし、ネック仕様の異なるバージョン(これをAdamas IIという)が出てきた。それでも確か60万近くする値段設定だったと思うが・・・
で、ワシはAdamas(高いほう、つまりSuper Adamas)を昔弾いたことはあるが、それほど当時はピンと来なかった。ってゆーか、そんな値段のギター買える訳ないジャン!で去年、大分に帰省し、大分の名物ラジオ番組だった「ぶんごミュージックれえだあ」(大分のアマチュア音楽しかかけないという番組)の同窓会ライブで演奏した後に行ったパブ「B-FLAT」で、たまたま置いてあったAdamasを弾き、そして・・・
気に入った!その後、楽器店めぐりをするが、なかなかいいAdamasが見つからない。置いてあったとしても最近は異様なまでに高い!
そこで、廉価版のAdamas IIに目をつけたわけだ。しかし、店の人曰くAdamasのほうがAdamas IIよりもいい音がするらしい。まあいいか・・・ワシとしては、このAdamas IIで十分に気に入ってるし、しかもライブ用として割り切ってる部分もあるので。
ワシのAdamas IIは1995年製らしい。プリアンプにチューナーまで内蔵してるので、使い勝手はとてもよい。しかも、今まで通常のOvationで物足りなかった高域音も、かなりいい感じで出ているし。このギターはこれからもANNANのライブでは結構使うことになると思う。同じOvationのCustom Legend(前述)も、Elite(後日登場予定)も、レコーディングにはちと厳しい(というか、正直使えない)代物だった。が、これは意外とレコーディングにも使えそう。今度使ってみようっと。