雑感 独り善がり

日々の思いや怒りを自分勝手な考えで綴る

伊藤若冲 ”千載具眼の徒を俟つ”

2016-04-26 22:17:06 | 伊藤若冲

私は絵が下手だ。
絵心が無いというのは私みたいな人間のことをいうのだろう。
音楽が好きだから小さい時からクラッシックのコンサートはよく行った。
でも美術館に自ら進んで絵を鑑賞に行くということはまずなかった。
そんな私が最近興味を持っているのが”伊藤若冲”。

最初の動機は不純だ。
嵐の大野さんが好きで、その大野さんが若冲を敬愛していて、以前 彼がナビゲーターをやる
というので、NHKスペシャルを観た。
何度かに分けて放送されたそのシリーズで、こういう言い方が正しいかどうかはわからないが
若冲が半端な絵師ではないということはよ~く分かった。
その絵の美しさは言うまでもなく、その美しさを表現する為の技法?テクニック?がすごいのだ。

今東京で展覧会やっている。すごい人気みたい。私も近ければ観に行きたいと思うのに。
今若冲のブームなのかな。
私は”動植綵絵”の”群鶏図”が好きだ。圧倒される。鶏たちは生きている!

先日もNHKで又、前とは違う”若冲”スペシャルをやっていたので観たのだけれど、
絵そのものに関しては私なんかは”スゴイっ!”とか”圧倒されるっ!とか”美しい~!”
くらいのことしか言えない。
第一、私なんかが評価するようなことではないし。絵の感想は専門家に任せよう。

それよりも今回、私が更に若冲に興味を持ったのは、その”人”そのものに、である。
若冲は、”千載具眼の徒を俟つ”と言ったそうだ。
”私の絵は千年後に理解される”とか
”千年後に自分の絵を理解してくれる人が現れるのを待つ”という意味だそうだ。
これ、すごいね~。
こんなことが言えるなんて本当にすごい人だと感心した。

若冲の絵はいわゆる”超細密画”と言うらしい。
今その若冲の絵は、科学の力で解き明かされる。
X線を使って、2億画素の超高精細カメラを使って。

・輪郭に縁取りしない
・線の細さは0.2mm
・線の間隔は一定
・下書きも無し
・ミスも書き直しもない
非常に高度なテクニックだという。
どうしてそんな難しいことが出来るのだろう?
集中して一気に描き進めるのか?
それほどの精神力なのか?
そしてどれほどの根気?忍耐力?執念?なのか

色に関して言えば
・人間の目で認識出来ないレベルの描写
・脳の中で認識させ 微妙な色合いを作り出す
そして
・日本で使われたことのない絵の具を使い
・照明のない時代に計算されていた光の反射
何故限られた絵の具の数で圧倒的な色彩を生み出すことが出来たか?
・色を何度も重ねる
・裏からも描く
ありとあらゆる手法を講じている。
それは拡大して拡大して、初めて発見されたこと。
その執念?執着?やいかに。

・型破りと言われ
・流派に属さず
・誰に師事もせず
・弟子も居ない
・手紙も日記も残されていない

若冲という人はとてつもなく頭の良い人だったのではないだろうか。
今解析されていることを見る限り、彼の絵を描く手法・技術は計算し尽されていると思う。
自分が生きている世の中で、誰にも気づかれないほどの細かくて隠れた作業を黙々とこなし
いつの日か、私のこの絵を評価してくれる時代が来るに違いないと信じたのだろうか。
いつの日か、誰かがこの絵の凄さを明らかにしてくれる日が来ると思ったのだろうか。

繊細さも色の豊かさも美しさも躍動感も、そして哀愁も、若冲の絵には全てが備わっている。
と私は思う。とても心魅かれる絵だ。
おそらく身も心も一生をも捧げて、その燃え盛る情熱を絵に注いでいたんだろうなと思わせる。

若冲さん、1000年待たなくてもあなたの絵が凄いってこと、もう皆気付いたよ。
凄いとしか私は表現出来ないけれど、そんなありきたりの言葉で申し訳ないけれど
でも、絵に興味のなかった私が惹かれるというのはやっぱり凄い。
どんな思いで絵を描いていたんだろう。
どれほどの時間と労力とかけて絵を仕上げていたのだろう。
やはりすごい精神力というしかない。
江戸時代に、1000年先を見据えたこんな人が居たなんて、時空を超えたロマンだ。
こんな美しい絵を残してくれて有難う。
日本の宝であり財産です。
美しい絵を堪能させていただいてますよ。





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1 コメント

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千載具眼の徒を俟つ (えるて)
2016-05-04 10:16:18
はじめまして ^_^

千載具眼の徒を俟つ。

物をする人は
日々くじけそうになることって
多いと思うのですが、
自分の中の善き何かを信じて
揺らがない。

胸を突く言葉です。

そんな言葉を言わなければならない程
若冲は孤独だったのでしょうか。

99.9%の人はいつも
誰かの後を追いかけているわけで、
先頭を走っている人は
いつも自分で切り開かなければならないのです。

孤独上等。
それが日常の風景なのでしょう。

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