レスリー・チャン 1988年のお仕事  張國榮純影集


張國榮純影集  Leslie Cheung Stark Impressions
                 Photographed by Kevin Orpin
                 Art Directed by Charles Chau
                 A PBI Publication

レスリーの引退前の代表的写真集。
香港での写真集のイメージを覆す芸術的な編集で話題を呼んだ作品。
香港のファンサイト「サイバーワールド」に当時の明報の記事など
詳しく紹介されています。
またカメラマンの Kevin Orpin のコメント、写真などもあります。
記事はこちら

印象に残った写真とひとこと(クリックで画像拡大)

韓国版アルバム(レコード)「To You」に封入されていた
「To You」の楽譜にこの写真が使われていました。
まだ純影集を見たことがなかった頃、
この写真がとってもお気に入りでした。


レスリーの自宅だといわれています。
それよりもこのインテリア!
家とインテリアに大きな感心を持っていた
レスリーらしいセレクト

ガラスブロックの壁、縦型の白いブラインド
黒で統一されたイタリア製と思われる家具

この椅子も照明もデザイナーズ物
みごとに生活感のないインテリアは
レスリーの好みだったのでしょうか?


写真も光と影のコントラストが効いています

この写真と奥付でどうやら撮影中に映像(Video)も
あるのでは?と思い始めています。
私の勝手な想像でしかありませんが
あったらいいなあ・・・という妄想です(笑)


レスリーの引退後「純影集」は新たなカバーと
レスリーのファンへのメッセージ(手紙)をつけて
「張國榮純影集再版」として再発売されました。

 引退後に発売された純影集再版のカバー表紙





 同じく再版のカバー裏表紙
このカバーには「告別前的一年」としてレスリーの主な活動が
記されていますが、それはそれは殺人的なスケジュールでは
なかったかと想像されるものです。



さて「サイバーワールド」の記事をいくつか読んでみると
この写真集は stark(明確)impressions(印象)と名付けられました
ひとりのアーティストの美と芸術を簡潔に美しく表現するもの。
準備に1年、撮影だけに2週間、撮影されたフィルムは2万枚以上という。
香港では非常に珍しい、商業主義に基づかない
アート(芸術作品)としての写真集を目指して製作されたもの、
また香港の出版界にも新しい道を切り開くものである、ということ。
そして私のイメージとしては、映像を通してレスリーのみならず
香港の都市の一面(イメージ)を表現しようとしているような印象を
強く持ちました。
やはり彼は都市の建物や景観に強い関心があったのではないでしょうか?
それが旧いものであろうと、新しいものであろうと。

ここまで来て、私はやはり 初版「慶」のことを思わずにいられない。
あれは彼が純影集の次に作りたかった作品ではなかったのかと。
日本での「レスリー・チャンのすべて」は純影集の壮年版のような
感覚がつきまとっているけれど、初版「慶」は違う。
使われた写真がすべて(レスリーが写っていないものでも)
中国という国の都市の歴史的なイメージと彼の芸術性を融合させる
力を持った構成になっていた。

新しいアートの可能性をいつも模索していたレスリーの
作品(仕事)らしいな、とあらためて感じた作品でした。


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