レスリー・チャン 『欲望の翼』最終上映に向けて



欲望の翼は監督いわく、最初は2部構成合計4時間の大作となるはずでした。
香港で1990年12月15日~12月27日まで公開された時の広告には
   3千萬黄金製作  
   4百天不眠不休   
   6大巨星破天荒
      携手演出
これだけの製作費と時間をかけたオールスター映画だったわけですが
結局2部を作るには時間がかかりすぎて、1部の『阿飛正傳』だけが
公開されました。
3000万HK$と400日の不眠不休の製作日数をかけて6大スターが競演したのです。
さてこれから先は私の勝手な妄想でフィクションです(笑)
王家衛監督の60年代3部作を勝手につなげてみました。


1962年、チャウ(スマーク)はチャン夫人(スー・リーチェン)と香港で出会う。
チャン夫人の大家のスエン夫人は上海人で上海語で会話する。
作家を目指すチャウは小説の好きなチャン夫人と心を通い合わせる。
チャン夫人は彼にいとこの悲しい恋の話をする。

1960年、マカオから来たいとこは香港で若く奔放な青年ヨディに出会った。
ヨディはいとこに「今夜、夢で会おう」と言って立ち去る。
ヨディは毎日いとこのもとにやってきた。
「1960年4月16日午後3時1分前の1分間」は2人には特別な時間で
いとこはヨディに恋をした。
しかし恋は長続きせず、根無し草のようなヨディはいとこと結婚する気もなかった。
別の女性と一緒にいるヨディをあきらめきれないいとこは
彼の家の前で何時間も過ごしていた。
或る日ヨディは香港から姿を消した。
実母を探してフィリピンに旅立ったという話だった。

チャウはこの話を小説にしようとした。
いとこの名前をスー・リーチェン(チャン夫人)として
スーの夢の中の話のような「脚のない鳥」のストーリーを考える。
2人で楽しい小説創作の時間を過ごしてきたがやはり2人の恋は
続けられるものではなかった。
悲しい恋の思い出がここにもひとつ。
1963年シンガポールの新聞社にチャウはいた。
スーはシンガポールに行くがチャウとは会わずにいた。
1966年のカンボジア、チャウはアンコール・ワットの寺院の石壁の穴に
すべての秘密をささやき、そして立ち去る。

同じ年、香港に戻ったチャウは作家として仕事を始めるが
酒と女とギャンブルに溺れたような生活。
まるでヨディを体現するようなチャウの暮らし。
安ホテルの2046号室の隣2047号室で執筆をする。
彼の周りには彼の記憶を甦らせるような、さまざまな女性が現れ
彼は恋の記憶を呼び覚まされ、小説を書き進めていく。

小説の主人公は彼の思いを反映した若い男で
彼は小説のタイトルを『2046』とした。

 モノクロですが「欲望の翼」撮影風景 
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TOPは王家衛監督とレスリー、
フィリピンでのシーンのようです。
あの印象的な後姿で実母に顔を見せず毅然と後姿で去っていくシーンです。

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