アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

街なかピアノ(空港の場合)

2019年01月02日 | ピアノ
昨日、テレビをつけていてたまたま目に入った「空港ピアノ(マルタ島)」という番組を途中から見ました。

    にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ←さりげなく弾けるレパートリーがあるといいよね

空港ロビーに、誰でも弾けるようにグランドピアノが置かれていて、ふと通りかかった人が弾き、
たまたまそこに居合わせた人が聞く。

弾き終わったよ、という感じになるとそれなりに拍手が起こったり…

そういう、ゆるい感じのところ、定点カメラで映しているんです。さぁ撮影しますよ、ってなると構えちゃうからね。

プロとしてピアノを演奏する人も、
ピアノを習ったことさえないというアマチュアの人も、

成り行きで「ピアノ弾きたい気持ちになって」なんとなく弾く。

ジャズっぽい曲をさらさらっと弾いて(パブかなんかで演奏の仕事してる人らしい)
誰か歌える人いない? なんて周りに声をかけると、
じゃ、フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーンを、といった通りすがりの大学生がきて、
こんな感じ? とさわりを弾くと
ちょっとキーが高いわ。
それでちょっと低くして、歌う。

こんな場合に、突然びっくりするようなうまい歌を披露されたら…まぁそれはそれで素晴らしいことだろうけれども、
そんな必要はまったくなくて、
訥々としたアンサンブルもまた良し。

音楽を楽しむ心がある、ということが素直に聞こえて、
もちろん周囲の人がどのくらい今音楽なキモチなのかってことは実際のところ様々だろうけれども、
トータルではプラス、というか、なんとなく場が和む。

なんの準備もなく、ふと荷物を下ろして弾き始めるわけで、
楽譜を広げて弾いてる人はひとりもいない。

なのでポップスや、ジャズを弾き流す感じに弾く人が多いけれど、
ガチのクラシック曲を弾く人もいた。ショパンのスケ2とか、ドビュッシーの月の光とか。

月の光を弾いたのは、ずっとプロサッカー選手めざしていたのが、大怪我で挫折して、そのころからピアノを弾くようになった(独学)という人。弾き方は、もしレッスンに持って行ったらどこもかしこもダメ出しされそうな感じなんだけど、そんなこと問題じゃないというか、この人にとって今は音楽が何か生活に必要な(大切な)もののひとつになっていることがわかるし、なんかこれはこれでいいんじゃないかと思える、味のある演奏だった。

私がきちんと練習して、楽譜を見ながら月の光を弾いたら、この人よりずっとスタンダードな(ダメ出しされるところの少ない)演奏が(たぶん)できるけれど、いったいそのことには意味が(価値が)あるだろうか? 別にそうしたってプロ並みの完璧演奏ができるわけでなく、仮にできたところで、そのこと自体にたいした意味はない。ただ単にきちんとした「月の光」が聞きたいならYouTubeでもCDでも、なんでもいいわけで、そんなものは既にいくらでもある。さらにいえば、練習や心構えや楽譜なしに突然では弾くことすらできないんだからね。

やはり、その演奏に足を止め耳を傾け、楽しいとかおもしろいとか和むとか、さらには感動するとか、この世界に音楽というものがあってよかったと感謝するとか、そういうことが起こるためには、

「その人が、その場で、あえてその曲を選んで、そしてこう弾きたいと思って弾いている」

人とか、曲とか、場とかに必然性、自然さ、説得力、ストーリーとかなんかそういうものがあるってところが大事なんじゃないかな。

その伝わりやすさのためにはもちろん、ある程度の演奏技術が必要(少なくとも望ましい)んだけれど。

空港ピアノで、赤ちゃんを抱っこ紐で前抱っこしながら、ショパンのアンダンテスピアナート…を弾いてた人がいた。生まれ故郷でコンサートをした帰りのピアニストということだけれど、赤ちゃんを前抱っこしてたら手の動きが不自由なので、空港ピアノではコンサートみたいに弾いてるわけではない。途中で赤ちゃんがピアノ弾きたくなってジャンジャンジャンジャン♪、鳴らしている間はお母さんお休み(笑) それが収まったらまた続きを弾いたりとか。こんな「演奏」も、コンサートとは違う何かが伝わっておもしろい。弾いたあとの彼女もなんかとても嬉しそうだしね。

ふと街なかにピアノがある、という光景はとてもよいものだ。加えて、空港ピアノの場合は誰も「どこそこに街なかピアノがある」といってわざわざ弾きに行くことはないし、たまたま近所に住む人が通りかかってということもない。みんなどこかからどこかへ(しかもずいぶん遠くへ)行く途中なのでそれぞれにドラマを背負っている。それがまたおもしろい、と思った。

にほんブログ村 ピアノ  ←ぽちっと応援お願いします
にほんブログ村 ヴァイオリン ←こちらでも
にほんブログ村 中高一貫教育


「はじめての中学受験 第一志望合格のためにやってよかった5つのこと~アンダンテのだんだんと中受日記完結編」ダイヤモンド社 ←またろうがイラストを描いた本(^^)


「発達障害グレーゾーン まったり息子の成長日記」ダイヤモンド社
コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« レパートリー・ページ | トップ | 速く弾けないのは指が回らな... »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
国立市 (ばっかいず世話係)
2019-01-08 20:15:39
今、国立の街中にピアノがあるよ〜。

http://streetpianos.com/tokyo2018/

昼間行ったことがないので、誰がどんな感じで弾いてるか、知らないけど。
返信する
> ばっかいず世話係 (アンダンテ)
2019-01-08 22:20:49
おぉ~
動画いくつか見ました。ゆるい楽しい感じで、いいねぇ。都心じゃないところがまた良し。
返信する
Unknown (マーリン)
2019-01-18 15:28:35
浜松の駅に1年間だけピアノがあったんですよね。
1) 中日新聞記事
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/photo-news/CK2018121602100006.html
2) 浜松生活
https://hamalife.info/pse-11275

一昨年の秋に(ずっと念願だった)楽器博物館に行ったとき、駅にピアノがあるのでほんとうに驚きました。誰もいない一瞬を見計らって、ちょっとだけ(弾くというほどではなく)音を出してみました(^^;)。たぶんブルグミュラーとかああいうのを。
返信する
> マーリンさんへ (アンダンテ)
2019-01-21 12:01:14
楽器博物館!! 駅ピアノ!! いいなぁ~
浜松なんてそんなに遠いわけじゃないんだから、行けばいいんですよね、考えてみたら。

今は「家にウイルスを持ち込まない」を至上命題としていて地味に生活していますが(笑)、春になったら(よい春が来たら)もうちょっとあちこちでかけてみたい…

浜松の駅ピアノを牛田くんが弾く様子がNHK「「蜂蜜と雷鳴」若きピアニストたちの18日」で映されていましたがあれはかっこいい曲でたくさんの人が聞いてて拍手喝采でしたね。
返信する

コメントを投稿

ピアノ」カテゴリの最新記事