こどもは生まれた直後に鼻と口を使って呼吸をはじめる。
同時に産声を上げる。
声や音を聞くことは胎児に始まるらしい。
コトバの習得の始まりである。
呼吸は一人でできるが言葉の習得はまわりに話す人がいないとできない。
子供にとって母親が最初で最高の言語環境である。
わたしの最初の記憶が「子供の前で」という、母親が「外人」に言った片言のブラジル語 (ポルトガルのかつての植民地語)だったことは外国語習得のヒントになるだろう。
ひとは外国語に接するまでバイリンガルを意識することはない。
わたしが最初に外国語を意識したのは日本に来る船上であった。
12歳のわたしより一つぐらい年上のDさんちの女の子が日本の少年雑誌付録の英語辞書を見せて、日本では英語の勉強がある、と教えてくれた時だ。
そのときの船室の様子とたわいないエピソードを記す。
帰国移民の日本人はたいてい船底の3等船室で寝起きした。
船室とは名ばかりで実態は仕切りのない船倉B1階だった。
数万トン級の貨客船だったのでB1,2階は主として貨物室だった。
2人用の2段ベットが何列も並んでいて乗客は隙間なくつめこまれた。
父と母が下に居をとると一人っ子のわたしの居住空間は上になった。
大家族のDさんちの女の子がはみだしてわたしと同じベッドになった。
わたしは思春期前だったので何の違和感もなくぐっすり眠れた。
彼女はまわりから何か言われたのか2,3日で居なくなった。(つづく)
最新の画像[もっと見る]
-
イエズス会グアラニー布教区の興亡/グアイラ地方とバンデイランテ 2週間前
-
イエズス会グアラニー布教区の興亡/グアイラ地方とバンデイランテ 2週間前
-
イエズス会グアラニー族布教区の興亡/前史 グアラニー族とスペイン人の出会い 1ヶ月前
-
イエズス会グアラニー族布教区の興亡/前史 グアラニー族とスペイン人の出会い 1ヶ月前
-
皆既日食/Londrina で幼時に体験 3ヶ月前
-
「正義の戦争」と抵抗部族の根絶 ブラジル1550~1650 3ヶ月前
-
ブラジル史初期のレジェンド/ポルトガル人・先住民・マメルーカ 4ヶ月前
-
ブラジル史初期のレジェンド/ポルトガル人・先住民・マメルーカ 4ヶ月前
-
バンデイランテス余聞/二人のキング 5ヶ月前
-
マト・グロッソ/大いなる逆さまの藪 9ヶ月前
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます