「花鳥-愛でる心、彩る技 <若冲を中心に>」(第3期)
2006年6月3日~7月2日
宮内庁三の丸尚蔵館
<渡来の中国絵画>
「花鳥-愛でる心、彩る技 <若冲を中心に>」の第3期は渡来の中国絵画が特集展示されていました。
「寺院等に伝えられていた古い中国画に影響を受けて発展していたわが国の花鳥画は,写実性の高い,色彩豊かな花鳥画を描く沈南蘋が来日してその画法を伝えて以後,また新たな展開を示しました。」宋元画の名品が並んでいるということが、伝わってきました。沈南蘋を鑑賞できて感激。
22 牡丹図 伝趙昌 1幅 元時代(14世紀)
23 竹粟に鶉雀図 伝李安忠 1幅 元時代(14世紀);竹の緑の伸びやかさ、鶉の羽の硬さも伝わってくるような繊細さ。先般、出光美術館で拝見した重文 漁釣図 徐祚筆(南宋時代)と葦と同様なタッチ。
24 松竹に鶴図 伝任仁発 対幅 元時代(14世紀)
25 墨梅図 王冕(おうべん)(1287?-1359) 1幅 元時代(14世紀);
手元の日本美術名品展(平成二年)の図録によれば、王冕は、「千花万蘂(ずい)」といわれる華麗な画風により墨梅に新生面を開いて明時代以降の規範になったといわれる。本図は、大石の背後に屈曲する梅の姿を墨気豊かに描いた王冕の代表作。図上の自題の詩は、この梅が杭州西湖の雪後の月光に映じる夜梅であることを示唆している。名古屋の万松寺に伝世した。
26 百鳥図 伝銭選 1幅 明時代(16世紀)
27 花鳥図 伝呂紀 対幅
28 餐香宿艶図巻 沈南蘋(しんなんぴん) 1巻 清時代(18世紀) ;多くの虫がまるで生きているかのように描かれています。蛙、青虫、蝶、蜂、蟷螂などなど。5期にも展示される。沈南蘋は、1731年に来日。沈南蘋の画風のその後の影響は、千葉美術館にて平成13年に開催された展覧会「江戸の異国趣味-南蘋風大流行-」の説明が分かりやすいので引用しておく。
(参考)麒麟図[きりんず] 沈南蘋(しんなんぴん)筆 18世紀 @長崎歴史博物館蔵(下記はSRCリンク)
(6月8日)
2006年6月3日~7月2日
宮内庁三の丸尚蔵館
<渡来の中国絵画>
「花鳥-愛でる心、彩る技 <若冲を中心に>」の第3期は渡来の中国絵画が特集展示されていました。
「寺院等に伝えられていた古い中国画に影響を受けて発展していたわが国の花鳥画は,写実性の高い,色彩豊かな花鳥画を描く沈南蘋が来日してその画法を伝えて以後,また新たな展開を示しました。」宋元画の名品が並んでいるということが、伝わってきました。沈南蘋を鑑賞できて感激。
手元の日本美術名品展(平成二年)の図録によれば、王冕は、「千花万蘂(ずい)」といわれる華麗な画風により墨梅に新生面を開いて明時代以降の規範になったといわれる。本図は、大石の背後に屈曲する梅の姿を墨気豊かに描いた王冕の代表作。図上の自題の詩は、この梅が杭州西湖の雪後の月光に映じる夜梅であることを示唆している。名古屋の万松寺に伝世した。
展覧会の趣旨 18世紀江戸絵画に吹き込んだ新しい風
享保16年(1731)、長崎に一人の中国人画家がやってきました。彼の名は沈南蘋しんなんぴん (1682~1760~?)。彼の画風は本国の中国ではやや時代遅れになりつつありましたが、その精 緻な描写と濃密で華麗な彩色により、当時の日本絵画に非常に大きな影響を与えました。直弟子 熊斐ゆうひ(1712~1772)を経て長崎から上方へ、そして江戸へと南蘋の画風は広まりました。 折からの博物学の流行もあって写実的な描写が喜ばれたのです。
その影響は「長崎派」と称される、南蘋風を専らにした画家に限りません。奇想の画家として 近年注目を集めている伊藤若冲いとうじゃくちゅう(1716~1800)も南蘋風を通過して自らの画風 を築きました。写実的でかつ装飾的な画風によって近代日本画の源流となった円山応挙まるやま おうきょも若い時期南蘋の画風に学びました。日本における銅版画の祖、司馬江漢しばこうかんも俳 人・文人画家として知られる与謝蕪村よさぶそんも一時的には南蘋風の絵を描きました。洋風画の さきがけである秋田蘭画も強く南蘋風の影響を受けています。松平定信まつだいらさだのぶ・増山 雪斎ましやませっさいといった大名たちも南蘋風の作品を描きました。秋田蘭画の主要画家の一人、 佐竹曙山さたけしょざんも大名です。
南蘋風の作品が多く残っているということはそれだけ支持されたということです。一番身近な 「異国」である中国の雰囲気を伝える沈南蘋の画風。ときにはもう一つの異国オランダへの興味 関心とも接近します。本展覧会は沈南蘋の画風が江戸時代の絵画にもたらしたものを総点数137 点で検証する試みです。
(6月8日)
>沈南蘋の画風が江戸時代の絵画にもたらした
非常に良い作品でしたが、
そんなに日本画壇へ影響を与えていたとは知りませんでした。
来日までとは…。
H13年の千葉市美術館の展覧会を見ておくべきでした…。