徒然なるまままに

展覧会の感想や旅先のことを書いてます。

ルノワール+ルノワール展

2008-02-05 | 絵画
ルノワール+ルノワール展
2008年2月2日から5月6日
Bunkamuraザ・ミュージアム

 ルノワールは、好きな画家ではない。確かにジョルジョット・シャルパンティエ嬢を見ると微笑んでしまうのだが。あまりに幸せそうに人物を描く。《田舎のダンス》がポスターになっており、その1点しか来日していないのではという気もして、ほとんど期待しないで向かった。

 冒頭に説明がある。この展覧会は、2005年にパリのシネマテーク・フランセーズの館長であるクロード・ベッリ氏の主導のもとに開催された展覧会を元に構成されたとのこと。

第一章は、家族の肖像画
 ピエール=オーギュスト・ルノワール(1841-1919)と妻アリーヌ・シャリゴ(1859-1915)、3人の子供たち、すなわち俳優ピエール(1885-1952)、映画監督ジャン(1894-1979)、そしてココという愛称で呼ばれた陶芸家クロード(1901-1969)の肖像画がならぶ。
 フィラデルフィア美術館所蔵の《アリーヌ・シャリゴ》(1885)。セザンヌ風にちょっと傾いた田舎娘。アりーヌは、《田舎のダンス》(1882-83)にも描かれているし、昨年も見た《舟遊びの人々の昼食》(フィリップコレクション)(1880-81)にも描かれている。
 ジャンが撮った映画「ラ・マルセイエーズ」(1937)で、ピエールはルイ16世を演じている。食べっぷりが凄い。

第二章は、モデル
 《闘牛士姿のアンブロワーズ・ヴォラール》、《スペインのギター弾き》(1894)(デトロイト美術館)は、スペイン趣味の作品。ジャンの「黄金の馬車」(1952)は、スペイン風のエキゾチックな画面。代わる代わる顔を出す芸人たちの場面は、服装のみならず、動きが楽しい。

 このほかに女性をモデルにした肖像画が並ぶ。

第三章は、自然
 《陽光のなかの裸婦(試作、裸婦・光の効果)》(1875-76年頃 オルセー美術館)が来日していた。第二回印象派展で腐りかけたと肉体と酷評を浴びた作品。
 その作品へのオマージュとして、ジャンの「草の上の昼食」(1959)。池で水浴する若い女性は、印象派そのものの画面。また、ジャンの「ピクニック」(1936)の舟遊びをする様子も、印象派の世界。

第四章は、娯楽と社会生活
 《ぶらんこ》(1876年 オルセー美術館)も来日していた。《ムーラン・ド・ラ・ギャレット》(1876)とともに第三回印象派展(1877)に出品された作品。ジャンの「ピクニック」(1936)のブランコする様子と対比される。
 
 《アルフレッド・ダラス夫人》(1872-73 オルセー美術館)とジャンの「女優ナナ」(1926)が対比されている。女優ナナの主演は、ピエール=オーギュスト・ルノワールの最後のモデルのデデ。ジャンはこの女性を父の死後妻に迎えた。そして、ジャンは映画を撮り始め、カトリーヌ・ヘスリングという芸名で女優になる。

 最後にジャンの「フレンチ・カンカン」(1954)と「恋多き女」(1956)が《田舎のダンス》(1882-83 オルセー美術館)とともに上映されている。

 オルセーからこんなに多くのピエール=オーギュスト・ルノワールの作品が来日。これほどの量のルノワールを鑑賞するのは、もしかするとはじめてかもしれない。その意味ではお薦め。いずれにせよ、ジャンの映画の前で人だかりができてしまうので、なるべく空いていそうな時間を狙っていかないと。
コメント (1)
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