あいりのCinema cafe

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トーチソングトリロジー TORCH SONG TRILOGY (ビデオ)

2005-07-31 20:20:43 | アメリカ映画 (40)

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監督 ポール・ボガート
原作 ハーベイ・ファイアスタイン         
脚本 ハーベイ・ファイアスタイン
出演 ハーベイ・ファイアスタイン(アーノルド)
    アン・バンクロフト マシュー・ブロデリック(アラン)
    ブライアン・カーウィン カレン・ヤング 
    チャールズ・ピアース 1988年、アメリカ

随分前に、ビデオで見た忘れがたい映画です。
ユーモアの効いた場面にクスクス笑い、気がつけば涙で顔がクシャクシャになっている。

ゲイの人の愛を描いた映画だけれど、それは男女の愛となんら変わりはないと思い知った映画でもある。
アーノルドは子供の頃から自分が人と違うことに気づき母親もそれを知っている。
子も子なら親も親のユニークな親子だが、意見の対立、確執はある。
愛しているけれど、理解しようとするけれど、理解しきれない母と息子。

しかしアーノルドは世間が何と言おうと堂々と、パブで立派な”歌姫”(かなり恐ろしげな歌姫だけれど、笑)として働いている。
ウイットに富み愛嬌のある彼は売れっ子だけど、心の中では本当の愛を願っている。
現実の女性よりも女らしいかもしれない。
献身的に愛した彼、エドにあろうことか女性の彼女ができて失意の日々。

そこへアランというキュートな若者が現れ。
アランの一人ぼっちでNYで生きるためにはゲイになるしかなかった。
この台詞は衝撃的だった。

マシュー・ブロデリックは可愛い顔でゲイの役に挑戦、アーノルドを優しく愛する男性を演じてとても魅力的♪
二人の前に金髪のハンサムな青年がやってくる。
アランは彼とつい危ない火遊び。
この時のブロディリックの髪を整える仕草に、ゲイの男性ってこんなふう?とドッキリ。

Will You marry me?

ようやく、二人は”結婚”し、ニューヨークのアパートで幸せに暮らすのだが、
アランの優しさは悲劇を生む。
他人を救おうとするアランの表情と、アーノルドの虚脱と絶望の姿は心に焼きつく。
こちらの心まで痛かった。

ハーベイ・ファイアスタインは実際にゲイであるらしいが、ゲイであること、生きることの哀しさと喜びを演じて素晴らしい。
彼はこの映画の脚本も書いている。
『ミセスダウト』でもチラリと元気な姿を見かけましたよ。

母親が言う。

「心の傷は指輪のように少しずつ身体の一部になっていくの」
「貴方の父さんの思い出もそう・・・」
残念なことに、先ごろ亡くなった大女優アン・バンクロフトにこう言われると納得させられる。

アランと相談して貰い受けた養子の一人息子のママでありパパであるアーノルド。
息子もママ?に負けず軽口を返す年頃になった。
こういう幸せもまたあるのが驚きでもあった。

この映画に出会えて良かった。
そんなふうに思える映画だった。

今日もアーノルドは客を笑わせ、恋歌(トーチソング)を歌う。

TB送信:映画の心理プロファイル


アンディ・ラウ特集2 リー・ロック伝/大いなる野望 PART I 炎の青春

2005-07-28 18:46:35 | 香港映画 (57)

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監督 ローレンス・アモン
脚本 チョン・マンキョン
撮影 ジゴ・リー アンドリュー・ラウ 
出演 アンディ・ラウ(リー・ロック)チョン・マン(グレース) 
   チンミー・ヤウ(ローズ)ン・マンタ(ラード) 
   チョン・プイ(ガントン部長) 1991年、香港 

ローレンス・アモン、この監督には馴染みがないけれど、実在したリー・ロックという警官の物語。
青年期パートⅠ、壮年期Ⅱと見ると、かなり見応えがあり娯楽作としては面白いと思う。

1949年、リー・ロックは警官となる。
当時は賄賂や歓楽街の店からの上納金をかすめとる悪徳警官がはびこる時代だった。
若きリー・ロックの清純な恋人をチンミー・ヤウが演じているのも珍しい。
清純なチンミー・ヤウ!なんと!
アンディ・ラウは若き警官役(『欲望の翼』を思い出す)を地のままで、のびのびと楽しんでいるように見える。

貧しくとも賄賂を一切受け取らない潔癖なリーだったが、恋人の父親に結婚を許して貰いに行く。
嫌われ者の警官であるリーは父親に侮辱され、娘を嫁に欲しいならと大金を要求される。
その時から彼は金を稼ぐことを胸に誓う。

チンミー・ヤウとアンディの二人が貧しいながらも、親に内緒で窓越しに愛を確かめ合う姿が可愛い。

その後、恋人は実家の火事で行方不明となり、リーも田舎に左遷される。
映画中、こののんびりした田舎での場面が愉快。
家畜が被害にあったとの苦情整理と昼寝が仕事のとぼけた毎日。
アンディ・ラウってこういうコメディ風の役柄のほうが似合うかも;

そんな中で、リーは九龍の大親分の一人娘と縁あって結婚。
その頭の回転の速さと度胸と後ろ盾で、黒社会と警察の世界ともにメキメキとのし上がっていく。
このあたりが見ものです。

引退した恩義のある刑事部長を助けるため、敵対するガントン部長の鼻をあかす銃撃戦も面白い。
全体にシリアスでなくコメディタッチなのもいい。

ただ、リー・ロックという実在した警官の人物伝としてはなかなか見応えがあるけれど、惜しいかな最後が少し物足りない。
パートⅡでリーの壮年編へと繋がるのでこれでいいのかな。
アンディ・ラウはリー・ロックを好演、彼をアイドルとして見た批評家には賞の対象にはならなかったようだ。
Ⅰ、Ⅱと見ればかなり値打ちのある映画だと思うんだけどね。

この後、アンディ・ラウは無冠の帝王として苦悩の俳優人生?を歩むことになる。^^

さて、ここからは結末です。
*****************************************************

リーにとっては全てが順風満帆、わが世の春かと思われた時、忘れもしないあの恋人ローズに出会う。
彼女と生き別れになって数年、彼女は幼い”男の子”の手を引いていた。
この男の子こそリーの息子であった。(エッ!そうだったの?)
パートⅡ壮年編ではリーと彼を逆恨みする息子(アーロン・クォック)との反目と和解の泣かせる物語となります。

アンディがしっかり中年に見えるのに感心。
では、パートⅡはまたの機会に。。。 終

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アンディ・ラウ特集1 『神鳥伝説』 九一神[周鳥侠侶 The Saviour Of The Soul

2005-07-23 19:34:34 | 香港映画 (57)
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監督:デヴィッド・ライ ユン・ケイ ジェフ・ラウ 
製作:デヴィッド・ライ 
脚本:ウォン・カーウァイ 
撮影:ピーター・パウ 
出演:アンディ・ラウ(ティン)アニタ・ムイ(クワン、姉、二役) 
    アーロン・クォック (ナン・ウー/シルバーフォックス)
    グロリア・イップ (チェンの妹)ケニー・ビー(チェン) 
    カリーナ・ラウ(チョン婦人)デヴィッド・ライ 
                   1993年、香港
ANDYLAU.COM 
何しろアンディ・ラウは100本以上の映画に出演。
でも、最近邦画の『生まれてはみたけれど』を見て、突貫小僧(青木 富夫)がやはり100以上の映画に出演していたのを知った。
世の中にはこういう凄い人がいるのですね。

アンディの作品には五つ星映画から五つ?な映画まであるわ、あるわ。(笑)
それを半分は見ている私って。。

この人は1990年辺りで一つの頂点を極めた感じですね。(私もこの辺りの勢いのある彼が一番好みだったりしますが;)
1988年、ウォン・カーウァイ初監督作、『今すぐ抱きしめたい』で注目され。
この映画はカーウァイ監督の初めての映画として荒削りではあるけれど、新鮮で、切ない普遍性を持つラブストーリー、名作となっています。
アンディも迷いのない直球演技でモンコックのカルメンならぬチンピラの悲劇を演じました。

1990年に『欲望の翼』『逃避行』、『獄中龍』に出演の快進撃!
その後、『リー・ロック伝』、『神鳥伝説』、『スター伝説』、『極道追跡』へと続きます。

日本を舞台にしたアン・ホイ監督の社会派映画『極道追跡』では日本に滞在。
長期ロケをしていますが、当時はこの俳優を知る日本人は少なかったことでしょう。

さて、『神鳥伝説』はアンディ・ラウが自ら設立したプロダクション、天幕の記念すべき第一作。
脚本をあの!ウォン・カーウァイ氏が書いたというのにはびっくり。
映画はシティー・ハンターに似ているとか。
私はそのドラマを知らないけれど、全体にコミックっぽいかな。
香港映画にはごった煮的な魅力があるのだけど、その中でもこの神鳥伝説はどのジャンルに入れたものか?
ファンタジーアクション&純愛路線かな?(笑)

いつの時代かアンディ・ラウ(ティン)、今は亡きアニタ・ムイ(クワン)とケニー・ビー(チェン)の三人の傭兵がいた。
ティンとクワンは心中では両想いなのだが、ティンは愛を打ち明けられないうちにチェンに先を越されプロポ-ズされてしまう。
ケニー・Bが爽やかな好青年を演じてます。

クワンは過去に悪者を逮捕し、悪者が悶死したことから(自業自得なのだけどね)復讐を誓う弟子のナン・ウー/シルバーフォックスに命を狙われていた。
チェンはナンの手にかかって殺される。
クワンは双子の姉の助言もあり、このままでは愛するティンも巻き添えになると、ティンの待望のプロポーズを拒絶、チェンが忘れられないと嘘をつき身を隠す。

ごめんね、すべてはあなたのためなの。。涙

アニタの二役の姉は最初は彼女が演じてるとは気がつかなかったほど。
腕に覚えはあるが女らしいクワンと、どこか性別不明(ごめん)なキテレツな姉を思いっきりコミカルに演じ分けている。
魔女姉は妙な新兵器を発明しては一人でボケ、ツッコミ。
この映画で一番冴えているのはアニタかも。汗
ああ、アニタは永遠なり。スイマセン取り乱しました。汗

美術、セットにもこだわりが感じられ、不思議な空間を作っている。
トイレがなんともカッコよかったり;
長い布を駆使した場面も中国映画らしい雰囲気。
紫(アンディの好みらしい)を基調にした服装等、色使い、映像も綺麗。

死んだチェンの妹をひとり立ちさせるべく、と言っても傭兵になるための特訓って。。どうなのよ;

アーロン・クォックはこの銀狐役で俳優としても一躍有名になったらしい。
「恐怖の天使」なる兵器が意味不明なのだけど、それを使う度にアーロンの顔が真っ白になって美少年ぶりがあがる。爆
クワンの命も風前の灯火と思われし時、一度はアンディに袖にされ怒ったあの、どの?天下一の名医、チョン婦人が。
これがまた、カリーナ・ラウ!う~ん豪華な配役やいかに!
カリーナ、まだ頬がぷっくりしています。

チェンの妹もひそかにティンを慕う。
アンディ、モテモテ。
アンディ・ラウはこういう役がやりたかったのか。
彼のトレードマーク、シャツの半分もろ肌脱ぎもいなせです。
熱いな、アンディ!映画青年!(この頃はまだ青年;)
愛に向かって突っ走れ!?

ここから結末に触れています。
****************************************************

その後ティンととクワンの姿を見たものはない。
何年も後に、二人がチベットに現れたと聞いた。

ティンとクワン二人が手に手を取って、夕日を背に山のかなたを目指して歩む崇高な姿がなぜか切ない。

二人は伝説となったのだ。

アニタ・ムイもまた、逝ってしまった・・

TB送信:Lovely 電影生活







Book Baton   [本]

2005-07-20 18:40:56 | 本と雑誌
にこさんからBook Batonを貰いました。ありがとうございます。
さてさて、お若い方には古めかしい本と作家が並びますが。

■Book reading right now (今読んでいる本)
ダビンチ・コード ダン・ブラウン
ダビンチの暗号と訳すのかしら。最後の晩餐、モナリザの謎、仏教徒の日本人には驚きの内容です。

■The last book I bought (最後に買った本)
壬生義士伝 浅田次郎 
本が絞れるほど泣かされました。

■Five novelists(or writers) I read a lot, or that mean a lot to me
(よく読む、または特別な思い入れのある5人の作家、または小説家)

1.夏目漱石
軽妙な内容と深遠な内容の本、共に私の人間形成に多少影響したかな。(笑)

2.志賀直哉 暗夜航路、
多感な時期に心打たれ、彼が暗夜航路を執筆した尾道の家を見て来ました。

3.遠藤周作 女の一生・キクの場合 沈黙
神とは?存在するのか?深いテーマとロマンチシズムと人間を見る暖かい目。

4.ヘルマン・ヘッセ 知と愛 春の嵐
華麗な文体が精神世界へと導いてくれ、魅力的です。

5.司馬遼太郎 竜馬が行く 燃えよ剣
  
おまけ トマス・ハーデイ テス 塔上の二人

■Five books  I read a lot, or that mean a lot to me
  (よく読む、または特別な思い入れのある5冊の本)

1.誰も知らない小さな国 佐藤さとる 
コロボックル伝説、小学校の図書館で夢中になって読みました。

2.我輩は猫である 夏目漱石
しいたけを齧って前歯の折れる寒月君が愉快。

3.若草物語 ルイザ・メイ・オルコット
小学生の時、気がつくと自分はジョーになったつもりで読んでいました。

4.風と共に去りぬ マーガレット・ミッチェル
壮大な歴史ロマン。

5.竜馬が行く 司馬遼太郎
竜馬に会いたかったと思える本でした。

おまけ Yの悲劇 エラリー・クイーン ミステリー中のミステリー
     窯変源氏物語 橋本治 男性の目で見た源氏物語
     三国志 吉川英治

皆さんにはBook Batonはもう回っているかもですが、ど~れと思われる方はどうぞ受け取って下さいませ。
ブログでもホームページでもよいと思います。


1000の瞬き LOVE AND THE CITY 都市情縁

2005-07-14 19:43:09 | 香港映画 (57)
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監督:ジェフ・ラウ 
脚本:ジェフ・ラウ 
出演:レオン・ライ(モウ)ン・シンリン(ジョジョ) 
   ン・マンタ リズ・コング
            1994年、香港(日本未公開)

歌謡界では四天王の一人として人気を誇る、レオン・ライ。
出演映画数はそれほど多くないけれど、出演した映画では必ず輝きを放つ人だと思う。
ラブソング』『天使の涙』『ヒーローネバーダイ』『終極無間』など。

ン・シンリンが彼女のデビュー作『逃避行』の役名、ジョジョとして出演しているのも嬉しい。
レオン・ライは貧しさと反抗心の強さから道を踏み外していく青年を持ち前のクールさで好演。
この人、上背があるのでスクリーンの中で映えて美しい。
ン・マンタがいつものコミカルな役柄と打って変わって孤独な父親を侘しく演じているのも珍しい。

映画は些細な心のすれ違いが重なり断絶してしまった父と子が再び心を通わせるまでを、モウとジョジョの恋を絡めながら描いた感動作。

父親は男手一つでモウを育てるが、ある日、モウは他所の子にお菓子を奪われる。
貧しく、卑屈に見える父親はモウに我慢させたが、負けん気のモウには納得できなかった。
どんどん悪の道へと走る息子を父は成すすべもなく、自ら見限ってしまった。
護送車の中で、世をすねて虚空を見つめるレオン・ライは目を引きます。

会うはずのない二人、住む世界の違う二人、モウはジョジョに出会ってしまった。
互いに強く惹かれあうが、ジョジョには大金持ちの婚約者がいた。

1000回瞬きをしたらまた、あの人に会えるような気がする。女心ですね。
再会できた後、モウは尋ねる。また会えるかな?
ジョジョ「”縁”があったらね」

前科者のモウは殺人容疑をかけられ、警察から追われ、父親さえ信じてはくれない。
柱にしがみついて待ったのに、桟橋にはジョジョは来なかった。
彼を目の敵にする警官にボロボロに殴られ、懇願し、それでもジョジョを待とうとするレオン。
首輪までかけられて。涙
レオン王子なりふりかまわぬ熱演。

2年後、あることから息子の無実を信じた父親は訴え続け、モウは容疑が晴れて釈放された。

やはり親と子なんだな。
暖かい情が二人の間を通う。
この場面はいいです。

ジョジョは結婚して幸せに暮らしてるだろうか?
生まれ変わって(気品漂う爽やかさ!うふ)真面目に働くモウはやはり彼女が忘れられない。

ここからの二人の心のゆき違い、すれ違いに見ているこちらはやきもき。
伝言メッセージのオペレーターたちの間でこのすれ違いの恋は注目の的となり、彼女たちが二人の恋の成就の手助けをしようとする。
彼女たちの喜んだり涙する姿が優しくて可愛い。

ここから結末に触れています。
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最後の伝言の電話を彼女たちの機転で直接モウに繋ぐことができた。

 縁があったらあの桟橋で会いましょう。