あいりのCinema cafe

只今gooブログにお引っ越し(工事中)

アン・リー監督作品2 ウェディング・バンケット

2005-02-20 19:08:09 | 台湾映画 (5)

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監督・脚本 アン・リー
出演 ウィンストン・チャオ(ウェイトン)
   ミッチェル・リヒテンシュタイン(サイモン)
   メイ・チン(ウェイウェイ)ロイ・ション(父)
   グア・アーレイ(母)1993年、台湾/アメリカ

アン・リー監督がある家族の心理を丁寧に暖かい目で見た物語です。
ウェイトンはニューヨークに来て10年、帰化し、ビジネスマンとして成功している。
でも、実は彼はゲイでサイモンという恋人と幸せに暮らしている。
台湾の両親が結婚をせっついてくる。
特に、父は心臓が悪く軽い発作を起こしたが、孫の顔を見るという執念で持ち応えたらしい。

切羽詰った二人、ウェイトンは中国から来てグリーンカードを欲しがっている画家の卵、ウェイウェイと偽装結婚することにする。
豪華な披露宴で飲み過ぎた父の血圧が下がらず、飛行機に乗れなくて帰れない。
しかも、一夜の過ちでウェイウェイは妊娠してしまったからさあ大変。

サイモンは両親の前で、つい英語で怒り出す。
英語なら両親には分からない。
中絶するのしないの、男二人は別れるのどうのと、てんやわんや。

息子は母親には自分の秘密を打ち明ける。
「ゲイが心の通じる相手を見つけるのは難しいんだ。サイモンは僕の宝なんだ。」
この言葉、重みがあります~~。

サイモンが揉め事の中で、割りとアッケラカンとしているのは国民性の違い?と思ってしまう。
披露宴の最中もベストマンとして新郎の口元を拭いてやったり、料理は上手いし、とにかくいいヤツなのである。
両親も善良な人、ウェイウェイもまた心優しい娘だ。
しかし、台湾の結婚披露宴と新婚の部屋に押しかけてくる習慣って、、ある意味凄まじい。
披露宴の中に、アン・リー監督の顔を見たような気がするけど。。

ここでは書けないある心温まる意外なことが判明するのです。
そうかあ!そうだったのか!

孫を見ることを楽しみにして両親は台湾に帰ります。
空港で、去って行く老いた二人の小さな背中を見て、万感胸に迫るウェイトンの姿が感動的です。

以下、種明かし、未見の方は要注意です。(笑)
_________________________

思いがけないことに父親は○語が少しできて、最初から全てを知っていたのです!
空港で一瞬ためらう母親に代わって、父親はサイモンを固く抱きしめます。
父にとってサイモンは嫁!なのですね。胸が熱くなります。

男性二人は元のように幸せに暮らすでしょう。
ウェイウェイも二人の助けを借りて子供を育てるのでしょうね。

外国で映画を撮るアン・リー監督らしい少しアメリカン・ティストな希望に溢れるラストでした。


「第28回日本アカデミー賞授賞式 」を見て

2005-02-19 19:35:21 | 日記・エッセイ・コラム

作品賞「半落ち」(監督佐々部清)
主演男優賞 寺尾聰(57)「半落ち」
主演女優賞 鈴木京香(36)「血と骨」
監督賞 崔洋一監督 「血と骨」
助演男優賞賞、オダギリジョー(29) 「血と骨」
助演女優賞 長澤まさみ(17) 「世界の中心で、愛をさけぶ」
新人俳優賞 平岡祐太「スウィングガールズ」
脚本賞 矢口史靖 「スウィングガールズ」

毎年、アカデミー賞は楽しみに見ているけど、昨年は邦画の当たり年て感じだったから更に興味深く見ました。
女優さんたちの華やかで美しいこと、その中で一際、目だったのは竹内結子さんでした。
女神みたいに綺麗だった~。(大袈裟やん;)
俳優さんたちは緊張のせいか皆、言葉少なで長澤まさみさんはインタビューを受けても、ぶっきらぼうな返事でハラハラ。若干17歳とは若い!

他の俳優さんも、とっても謙虚でした。緊張してるんですかね。笑

主演女優賞は個人的には「いま、会いにゆきます」に感動したので、竹内さんに獲って欲しかったけど、流石、貫禄の鈴木京香さんの手に。嗚呼。
未見だけど、やはり「血と骨」は強かった。

矢口史靖監督(ウォーターボーイ)(若い!)や三谷幸喜監督(笑いの大学)の顔も見ることができた。
監督の顔なんて普段見られないもん。
三谷監督は相変わらず、オチャメ。
印象的だったのはYOUのコメント。この場に立たれてどんなお気持ちですか?のインタビュアーの問いに、やや沈黙の後、あっさり「場違いです。」大笑いしました。
この自然体なYOUさんは貴重な存在ですねよ。

それからプレゼンターとして出た佐藤浩市さんのコメントがよかったとです。
「賞を獲ろうとあさましい考えで~」映画人としての本音と堂々としたスピーチに、単純おバカな私はうるっときました。
佐藤さんの目にも涙が。

そう言えば、去年の佐藤さんの『壬生義士伝』の撮影時を思い出しながらのコメントにもグッときた。
映画って、やっぱり素敵だわ。

邦画界よ、今年も頑張って♪

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映画賞さまざま

2005-02-16 19:00:00 | 日記・エッセイ・コラム
キネマ旬報2004年度賞

主演女優賞 宮沢りえ
主演男優賞 ビートたけし
助演女優賞 YOU
助演男優賞 オダギリジョー
新人女優賞 土屋アンナ
新人男優賞 柳楽優弥
日本映画監督賞 崔洋一
読者選出日本映画監督賞 是枝裕和
日本映画脚本賞 崔洋一、鄭義信
日本映画ベスト・テン 「誰も知らない」

第47回ブルーリボン賞

主演男優賞には寺尾聰(57)
主演女優賞には宮沢りえ(31)「父と暮らせば」

『オペレッタ狸御殿』が楽しみです。

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アン・リー監督作品1 恋人たちの食卓 

2005-02-15 20:03:00 | 台湾映画 (5)

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監督・脚本 アン・リー(ある晴れた日に)
出演 ロン・ション (父)
    ヤン・クイメイ(長女ジェン) ヤン・ユーウェン(三女ニン)
    シルビア・チャン(長女の親友) ン・シンリン (次女チェン) 
英題 EAT DRINK MAN WOMAN 1994年、台湾

一口で言うと、とっても美味しそうな映画でした。 
映画は元、一流料理人の父親の鮮やかな料理作りの場面から始まる。
ハスの葉包みの蒸しご飯が美味しそう!盛り付けなどは勉強にもなる。

台湾のこの一家では日曜の晩餐は家長の手料理がこれでもかというように豪華に並ぶ。
母親が亡くなった後、男手一つで娘たちを育ててきた。
父の心尽くしも大人の三姉妹には日曜の夜だというのに外出もできず、うんざり気味である。
父親の大切な味覚も落ちてきた様子。

独立して暮らしたいと姉妹は考えているが、誰が父と家に残るのか互いに牽制気味でもある。
大学時代に失恋した経験のある地味な長女、バリバリのキャリアウーマン次女、現代っ子の三女。
次女を演じたン・シンリンが香港の娯楽名作(笑)の『逃避行』の初々しい少女とは全く雰囲気が違って驚いた。

父親の不器用な娘への愛情の表し方が微笑ましく、言い出せないでいる娘たちの思い遣りがいとおしいようなユーモラスなような。
俳優が皆、腹芸が上手で凄いなあと思います。
亡くなった母親は次女にそっくりである。
日本にも少し前まで見られた家族の風景のようだ。

三女が妊娠して彼の家に越して言った。父親の寂しそうな姿はやはりかわいそうかな。
次に、意外にも長女が優しい男性と巡り会い、文字通り飛んで出て行った。。
実は次女は料理人になりたかったのだが、父の意向で学歴を積んだ。
次女はそれを不満に思っている。
彼女は面差しが母親似で性格は父親にそっくりで、お互いが素直になれないようだ。

最後に、この父親は隅に置けない人であったという心温まるお楽しみが待っている。
これにはびっくりした!
ン・シンリン良いです。カッコ良いです。アニタ・ムイみたいにならないかな。(笑)
そして、最後に、見事な料理の腕前を見せる次女と二人の場面がしみじみと胸にせまるのです。

ロン・ション、(『不夜城』にも出演)この素敵な俳優さんも先頃この世を去りました。
暖かい父親像を見せて貰えたことに感謝してご冥福をお祈りします。


少林寺三十六房

2005-02-13 19:19:32 | 香港映画 (57)
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監督:ラウ・カーリョン(劉家良)
出演:リュウ・チァフィ(劉家輝)
          1978年、香港

この映画は随分以前にTVで見かけて面白いなあと記憶に残っていたのですが。
色彩も綺麗なDVDになっているのを見つけました。
ショーブラザースという香港の映画会社が製作した映画だそうです。
ブルース・リーのカンフー映画と同じくワイヤーやCGは一切なしです。
鍛え抜いた身体一つで勝負の面白い武道映画だけど、あまり話題にはならないのが不思議。
監督のラウ・カーリョン(劉家良)はカンフー映画の武術指導としても知られた人らしいです。

17世紀の中国、清は明を滅ぼし、中国全土を制圧しようとしていた。
清の将軍が率いる軍隊は、暴行、殺害を繰り返し、巷は騒乱の中にあった。
乾魚問屋の息子、劉裕徳(リュウ・チァフィ)は明の再興を目指す秘密組織の一員である何広漢が開く塾の塾生だった。
或る日、この抵抗運動が天達将軍の知るところとなり、同志、塾生たちが次々と捕らえられ、殺される。

混乱の中で、チァフィの父の店も襲われ(父親は後に亡くなってしまう)チァフイは強くなろうと決心し、少林寺に逃げ伸び、
俗界から閉ざされた少林寺にあって入門を許され、三徳と名前を貰ったものの寺掃除以外は何も教えられずに一年が過ぎ、やっと三十五房の修行が許される。それは厳しいものであった。

まず、川に浮かんだ丸太の上を渡る「平衡房」。
これを飛んで渡らねば、食事をさせて貰えない;汗
チァフイは来る日も来る日も、ずぶ濡れになり、先輩の食べ残しの少しの粥しか食べられない。
が、或る日、コツを会得し、見事丸太を軽々と飛んだ!

次は水を満たした桶を両手で持ち、細く不安定な足場を歩く「臂力房」。
腕に刃を付けているので、桶の重さに耐えかねて腕を下ろせば身体が傷つき痛む。
初めはへっぴり腰だったチァフイも顔を傲然と上げ、楽々と桶を運べるようになり、他の修行生の手助けまでできるようになる。
「腕力房」「眼力房」「頭力房」それぞれがなんともユニークな修行で、頭突きや王選手も真っ青、動体視力の訓練だったりします。(笑)

いよいよここからは剣や棒を使った実戦の修行で、華麗で見応えがあります。
撮影中は俳優たちは打ち身、アザだらけだったでしょう;
「拳術房」「腿術房」「刀術房」「棍術房」
劉家輝は小柄な人だけど、その体技は胸のすくカッコ良さです。
少し前まで、香港映画で脇役として見かけたりしたけど、なんと『キルビル』に出演しているそうです。

三十五房全ての武術ををチァフイは異例の三年の速さで会得、少林寺の高僧に三十五房のうちいずれかの僧(指導者)になるように言われるが。
彼はそれを断り、僧だけでなく一般の人々も武道を学べる三十六房を作ることを願い出る。
これって少林寺創立の真実のお話なんだろうか。

悪人退治に俗界に戻るチァフイに高僧は言う。武道は自分を守るためだけに使えと。
果たして、彼はは宿敵天達将軍を倒せるのか。。は見てのお楽しみです。

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