あいりのCinema cafe

只今gooブログにお引っ越し(工事中)

ジョゼと虎と魚たち(劇場)

2004-08-26 17:26:00 | 邦画 (69)

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監督 犬童一心 原作 田辺聖子 
出演 妻夫木聡(恒夫)池脇千鶴(ジョゼ)
    新井浩文/上野樹里/新屋英子/板尾創路
                      2004年
私の街には近頃珍しい旧作を2本立てで見せる映画館がある。
そこで『ジョゼと虎と魚たち』を見た。

私はハンディのある人をテーマにした映画をあまり見ない。
それで感動したり涙したりするのが失礼な気がするから。
それって私の心がバリアフリーでないってことかしら?アラアラ
頭がこんがらがってくるので先ススミまっす。

それで『ジョゼ~』もパスしたのだけれど、ありがたいネットのお友達が絶賛していたので、見たくなってやっと劇場で見ることができた。
映画館は平日というのに満員で、車椅子の男性が介護の方と見に来られていた。

大学生、恒夫は自分をジョゼと呼ぶ足の不自由な女の子と知り合う。
彼女は年老いた祖母と大阪の川の側の下町で、ほとんど外に出ない生活をしている。
この不思議な少女は祖母が拾ってきてくれる古本を読むことを楽しみにしていて、サガンの「一年ののち」が愛読書なのだ。

サガン、私も学生時代に、大人の恋愛に憧れて背伸びして読んだっけ。
この映画の原作は田辺聖子さんの短い(官能的な)小説なのだそう。
田辺さんの本は優しさに満ちていて好きですが。
犬童一心という監督さんは調べてみると、吉本興業がプロデュースした映画に関わっている。

大阪育ちの私はこのジョゼとおばあが住んでいる場所がどこか、目を凝らして見たが。
田辺さんらしく台詞が関西弁なのも親近感が持てた。
映画はシリアスな場面になると、ヒョイッとジョゼのドスの効いた関西弁でコミカルなものへと変わる。
救われた気分になります。ホッ

池波千鶴イコールジョゼ!限られた本から得た知識で頭でっかちな大人な部分と、あどけない少女の部分が混在したジョゼ。
池脇千鶴さんなくしてこの魅力的なジョゼなしってはまり役に見えました。
恒夫が彼女の乳母車を押してスピードを出し過ぎて転倒。
抱き起こす恒夫にボソッと一言「殺す気か」。 爆

恒夫は今時の優しいけれど、ヘタレのふつう~の大学生。
彼を想う香苗が「あの人(ジョゼ)を愛してるなんて、恒夫はそんなにエラくない。おかしくって」

また、ジョゼに会い、恒夫を奪ったことをなじり頬をなぐる。
公平に自分の頬も殴らせるが香苗のほうが一発多い。汗
でも、昂然と言い返すジョゼに比べて、この事件で傷ついたのは香苗のほうかもしれない。自己嫌悪。。
おばあが亡くなって、恒夫はジョゼのところに越してくる。
ジョゼは虎と海、魚を見たがった。

ジョゼは言う。
前の私は海の底にいてた。そこは音も聞こえへんし、光も届かへん、真っ暗やった。
あれはあれで良かったんや。
もう、うちはあそこへは戻られへんねんな。
あんたがいてへんようになったら、また私は一人。
迷子の貝殻みたいにコロコロ、コロコロ転がる・・・またそれもよしか。
ジョゼには二人の幸せが長く続かないことが分かっていたのだと思う。
『またそれもよしか』諦めと肝の据わったジョゼらしい台詞に胸がチクッと痛んだ。

二人が愛し合う場面は自然のなりゆきなのだろうけど。
しっくりしない感じがしたのはなぜかな。
ありのままを演出したかったのだろうか、魚たちのシーンのようにもう少し綺麗に撮っても良かったのでは?と思う。

ここから結末に触れています。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

恒夫は郷里、九州での法事にジョゼを伴い家族に会わせようとするが、できなかった。
弟曰く「ひるんだと?」
恒夫はジョゼの身体の問題よりも、ジョゼのおばあ譲りの風変わりで強烈な個性も重かったのでは?と思う。
全てに責任を持てるほど恒夫は強くなく、大人でもない。

韓国映画「オアシス」がほとんど同じ時期に公開され、同じテーマだったのが偶然なんだろうけど、不思議に思った。
「オアシス」は徹底してリアルで、私はクタクタになりましたが。;

そして二人の同棲生活は終わった。
理由はただ一つ。
恒夫が自分で言うように「僕が逃げた」

再び、香苗と歩きながらも恒夫には彼女の声は聞こえていない。
往来で、堪えきれずに泣き出す恒夫。
しゃあないな。
あんたはふつ~の男なんやから。けど、哀しいな。

ジョゼは一人で電動車椅子で颯爽と買い物に行く。
彼女はおばあからも解放され、もう少女ではなく綺麗になった。
一切れの魚が焼けるのを見つめて・・

またそれもよしか。

相変わらず台所仕事が終わったら、椅子からドスンと床にダイブする場面で、映画は唐突に終わり、
この唐突さが妙に心に残る。


マッハ!!!!!!!!(劇場)

2004-08-07 12:23:21 | その他の国の映画/オーストラリア・アジア
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監督 プラッチャヤー・ビンゲーオ
出演 トニー・ジャー(ティン)
ブワマーリー・ヨートガモン(ムエ)
ペットターイ・ウォンカムラオ(ジョージ)
             2003年タイ
当てにならない好き嫌いオススメ度 ★★★★☆90点
『マッハ!』見て来ましたよ~! 
!が8個ついているだけに、久~しぶりに手作りの土の香りのする?アクション。
スカッとします!笑えます!ほのぼのします!?
とにかくトニー・ジャーが(27歳)若い!
彼のアクションは正に命がけ、エッ!今の本当?人間技とは思えない。笑
古来ムエタイの型が決まると美しくて、ブルース・リーの再来を思わせますね。
リーには翳りを感じるが、ジャーは陽性な感じ。
リーが竜ならジャーは虎か。
そう言えばタイガージャーって魔法瓶の宣伝があったような。。若い人は知らないでしょう汗;
これは香港では当たったでしょうねえ。あのどこまでも元気な時代の香港アクションの匂いがするもの。
早回しはしていないらしいが・・ん?ホントか?肉体を極限まで酷使、ホント痛そうです;
お話は単純なのだけど、のどかなノンプラドゥ村では仏像は大切な村人の守り神である。
そのオンバク像の頭が盗まれた。
僧侶からムエタイの奥義を授けられた真面目で純朴な青年ティンに、オンバク奪還の白羽の矢が立った。
仏像奪還に命がけ?と軽くみてはいけないらしい。
信仰深いタイの人々にとって仏像は神聖で大切なものなのですって。
ティン!ムエタイは決してむやみに使うな!
仏像を盗んだ男はバンコクのマフィア、麻薬密輸団の手先だった。
バンコクで彼らはムエタイの違法な賭け試合を開いていて、ティンは意思に反して戦うハメになる。
彼を挑発する巨人を体当たり一つでKOしたティンの動きには目が覚めます。わっ!凄。
マフィアたちとティンとの追跡の様子が面白い。
ティンは自動車なんてひとっ飛び、その跳躍力たるやオリンピックに出たら優勝間違いナイ;
街を走る珍しいオープンカーならぬオープンタクシーで抜きつ抜かれつ。
工事中のハイウェイが途切れて絶体絶命に陥るところは映画『タクシー』を意識したか。笑
タクシーは派手に破壊されるわ爆発するわ、留まるところを知らず。
バンコクで友達になり、「ポッと出」の彼の手助けをするジョージとムエの二人が良いです。
ムエは広末涼子にそっくり(笑)目に力があるのはムエのほうが上かな。
タイ国も面白い映画を撮るね。『運命を変えた男』『アタック・ナンバーファイブ』
いやあ、J・リーも落ち着いた昨今、期待の新人が現れたもんです。
どこまで伸びるかタイガー・ジャー!いや、トニー・ジャー!

ラストのお約束もきっちり楽しんで下さいね♪
監督の笑う顔が見えるよう、してやったり!


月とキャベツ(ビデオ)

2004-08-06 11:30:00 | 邦画 (69)
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監督 篠原哲雄
出演 山崎まさよし(花火) 真田麻垂美(ヒバナ) 
    鶴見辰吾(理人)             1996年
好き嫌い当てにならないオススメ度 ★★★★☆90点
篠原哲雄監督の『深呼吸の必要』を見て、この『月とキャベツ』に辿り着きました。
見た後だんだん効いて来る映画。

花火は1年以上前にロックバンドを解散し、それ以来曲を書く気になれず苛立っている。
緑が美しい自然の中ででキャベツを作りながら、古い廃屋の校舎で隠遁生活のような暮らしをしている。
或る日、白いワンピースの不思議な少女が、野原で一人踊っているのに出くわす。
バスに荷物を忘れたという。
それから、少女は花火の家に借りたお金を返しにやって来る。
少女は「ヒバナ」、花火のファンだと言う。なかば強引に花火の家に住み着く。
ヒバナはダンスが得意で、花火のピアノに合わせて踊ることが好きだった。
それから塀の上で月を見ることが好き。
少しずつ花火は変わって、曲を作り始めるが。
「花火の夏休みも終わりね。夏休みはずっと続かないから・・」
或る日、来た時と同じようにヒバナは消えて行った。
高校生のダンスコンクールにバスの事故で来られなかった少女がいた。
彼女は最後まで大好きだった花火の曲を聞いていた。
花火のオジ理人は二人の良き理解者。鶴見辰吾はこんなに良い味を出す役者だった?
好きな場面。
二人が丸ごと茹でたキャベツを食べるところ。キャベツがこんなに美味しそうに見えたのは初めてだった。
月に向かってヒバナは言う。、「私に力をください・・」
真田麻垂美、初めて見たが、かげろうのような儚い感じがする。
山崎まさよしは台詞は少なくても、アーチストとして才能のある人だなあ。
お伽噺の夢のような色彩が懐かしくて、胸が熱くなる。

説明を抑えてその代わりに「物たち」が語りかけて来る。
ヒバナが摘んで来た彼女のような白い野の花、黒板、ピアノ、白いカーテン、西瓜、天体望遠鏡。
白くひんやりした月はヒバナ、陽の光を浴びたキャベツは花火。
ヒバナは行ってしまったが、月夜にはふっと現れる。
花火が彼女を卒業するまで・・・






運動靴と赤い金魚 (劇場)

2004-08-01 19:25:00 | その他の国の映画/オーストラリア・アジア
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監督/脚本:マジッド・マジディ
出演 アリ ミル=ファロク・ハシェミアン 
    ザーラ バハレ・セッデキ       1999年
好き嫌い当てにならないオススメ度 ★★★★80点

イランでは、映画制作に規制がかけられているようだ。
子供世界のお話なら良いとのことで、子供たちの映画は製作されているが、子供の世界を通して大人たちの社会が見えて来る。

アリとザーラは小学校に通っている。
父親は、今より収入の良い仕事が見つからず、母親は赤ん坊を抱えて腰痛に悩まされている。
アリはたった一足しかない妹の靴の修理を頼まれるが、よそ見をしていて無くしてしまう。
二人は両親にそれを言えず、兄の運動靴を交代で履いて学校に通うことにする。
毎日二人は一足の運動靴を履き替えるために走り続ける。
ザーラ役の(子役ではなく、映画のために抜擢された)女の子が兄を学校に遅刻させまいと懸命に走る姿が可愛い。
妹は学校で自分の靴を履いている女の子を見つける。
どこかで拾ったのだろうが、兄妹は、その子の家に靴を帰してもらおうと出かけるが。
女の子の父親は、目が不自由だった。
黙って靴を諦める二人。
この思いやりがなんともいじらしい。

学校でマラソン大会の「第二位」の賞品が運動靴だと聞いたアリは大会に出る。
走って、走って、走り抜いてついに優勝してしまう!
第一位の賞品は運動靴じゃないのに。
子供たちがとにかく可愛い。
大人たちの苦労を子供なりに察して。
純粋な子供たちの姿。
観終わった後、暖かいものが心に満ちてきて、優しい気持になれます。

アリもザーラもがっかりするが、ラストには嬉しい結末が待っているのでした♪





ショコラ (ビデオ)

2004-08-01 19:20:00 | アメリカ映画 (40)

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監督 ラッセ・ハルストレム
出演 ジュリエット・ビノシュ(ヴィアンヌ) ジョニー・ディップ(ルー)

フランスの片田舎に、一陣の風とともに若い母親と女の子がやって来る。
二人の真っ赤なマントは愛の象徴?

村は考え方の古い議員の実権の下にあって排他的である。
しかも、あいにく断食の季節にヴィアンヌはチョコレートのお店を始める。
ヴィアンヌの手で魔法のように(魔法かも笑)次々と作られていくチョコレート、その美味しそうなこと。
村人は誘惑に負けてヴィアンヌが悩みを持つ人それぞれに合わせて勧めるチョコレートを食べて幸せになっていく。

ジプシーのルーが村に立ち寄り、ルーとヴィアンヌは互いに惹かれ合う。
ジュリエット・ビノシュとレナ・オリンが「存在の耐えられない軽さ」以来の共演で嬉しかった♪
ジュリエットの変わっていないことには驚きである。

ジプシー姿のジョニー・ディップがはまり役でso cool!!
頑なだった村の人々の心も、チョコレートとビィアンヌの真心と共に開放されていく。
特に例の議員の心を開いていく様子は見応えがある。

ヴィアンヌもまた、彼女の母と同じく放浪の民に属していて風が彼女の旅立ちを促す。
けれど、彼女は留まる決心をする。
ジプシーの人々の他にもこういう風に放浪する人があちらにはいるのだろうか。
同じように人を幸せにするという映画に『アメリ』があるけれど、母親である私は「ショコラ」のヴィアンヌに共感できたな。

見終わった後、自分も幸せのおすそわけを貰ったような気分になれる、そんな映画でした~~~★