監督:チェン・カイコー
撮影:ピーター・パウ『グリーンディストニー』
特殊効果:フランキー・チャン
出演:真田広之(光明) チャン・ドンゴン(昆崙)
セシリア・チャン(傾城) ニコラス・ツェー(無歓公爵)
リュウ・イエ(鬼狼) チェン・ホン(満神)
2005年、中国
愛で運命(プロミス)を超えられるか
運命(プロミス)に翻弄され、それでも愛に向かって進もうとする男女の物語
>>生きる術さえも持たず、空腹に震える幼い少女・傾城の前に、運命を司る美しき神“満神”が現れた。「この世のすべての男からの寵愛と、不自由ない生活を約束しましょう。その代わり、お前は決して真実の愛を得ることはできない。
無敵を誇る大将軍・光明、お前が心を動かし、涙を流す時・・それは死を意味する。
水の結界を抜けると、そこは雪国だった・・?
映画が始まって驚いた。何なんでしょう?
漫画みたい。『カンフーハッスル』じゃあるまいし!
韋駄天(一応、神さま)って言葉が頭の中をぐ~るぐる。
天下のチャン・ドンゴンさまを笑い者にする気?と思いつつも自分が笑ってしまった。汗
それにしても四つん這いって。。
それもそのはず、特殊効果は『カンフーハッスル』も手がけた人なんだ。たはは
チェン・カイコー監督は人間の本質を鋭くえぐり、深い哀しみを描いた、あの『覇王別姫』を撮った人ですよね?
でも、怒涛の漫画場面が終わり、真田さんとチャン・ドンゴンが対面した時は感動に似た興奮を味わいましたです。
いいんです。こんな映画もあっていいのではないでしょうか?
ファンタジーですから。
この映画はチャン・イーモウの『HERO』を思い出させますね。
『HERO』は雰囲気はよかったのだけど、私にはお話が少々分かりづらかった。
チェン・カイコー監督もイーモウ監督みたいな映画が撮りたかった?
死者が蘇り、河が遡り、時間が逆行しない限り、運命(プロミス)は変えられない。
昆崙の頭上を騎馬の傾城と光明が飛び去っていく。
あぁ、すれ違った!
この辺りから、さっき見た漫画は私の頭から消し飛びました。
ところで、この主役三人、時々鼻血出てませんでした?変。
口元にするとか、どうにかして欲しかったような気もします;
これがアンディ・ラウだとお約束なんですけどね。
もう一つ、とても気になったことがありました。
一つの場面が終わる時、急にとぎれたように暗転になるのが不自然で、余韻を断ち切られること、しばしば。
私の気のせいですかね。
見た後も、こっそり思い出し笑いができるという楽しみもあります;
でも、4人の運命がすれ違い、もつれあい、哀切感を盛り上げる音楽の”繰り返し”(しつこいくらい)もダイレクトに心に響いて、気がついたら夢中になって見ている自分がいました。
私って単純ですね。(今さらですが;)
真田広之は成熟した男、チャン・ドンゴンは青年、ニコラス・ツェーはまだ青臭さの残る若者。
三者三様、キャストの妙を堪能できます。
何も持たない、傾城への想いを伝えられない、奴隷の身では愛さえ手にできない昆崙。
美貌の奴隷なんて、存在だけでも魅惑的なのに、チャン・ドンゴンはやはり”目”が印象的。
まっすぐでひたむきな人間性が表れて、
予想はしていたけれど、奴隷からどんどん立派な(美しい)青年になっていきます。
真田広之は絶対に世界に通用する人だと思っていたので、中国語も、監督も納得にこなしたのには感服しました。
傾城が戻らないと、じれる姿、しぐさに大人の色気と美しさを感じました。
セシリア・チャンは吹き替えだったようで、いつもの声じゃないと最初は彼女だと気づきませんでした。
パンフレットに書かれていて驚いたのはニコラスの役を監督はレスリー・チャンに演じてもらうつもりだったとか。
妖艶さ屈折、成るほど~。ため息。
ここにもレスリー不在の影が・・
でも、ニコラスは輝いて不良暴君みたいで、十分魅力的でした。
この人の殺陣にはスピードとキレがあって華麗です。
華があります。
血筋とは言え、実力がありますよねえ。
鬼狼は『中国の小さなお針子』『恋の風景』のリュウ・イエだったのですね。
配役を見るまで、気づきませんでした。
傾城という名前が面白い。
傾城とは:
(1)〔漢書(外戚伝)「一顧傾二人城一、再顧傾二人国一」から。君主がその色香に迷って城や国を滅ぼす、の意〕美人。美女。
(2)遊女。近世には太夫・天神などの高級な遊女をさす。
ちょっと確認。
それから、あの綺麗な花の咲く海棠の木はりんごの花だったのです。
ここから結末に触れています。
******************************************
最後に無歓の秘密が明かされます。
・・オレの奴隷になるか・・
少年は欺かれて、一生、飢えたように奴隷を追い求めることになった?
思えば、この少女のついた嘘が彼女と三人の男の運命を変えてしまったのかもしれない。
言の葉・・言葉はひとたび、口から出てしまうと魂を持つといいます。
一番不幸だったのは無歓だったのかもしれません。
チャン・ドンゴンは勿論、ニコラスのファンも増えるでしょうね。
これをレスリーが演じたら・・見たかった。
・・行ってやれ、あの人はきみを待っている・・涙
・・生きるんだ、懸命に・・
光明は昆崙と同じ言葉を口にします。
もう一度、選ばせてあげよう。
運命(プロミス)は変えられるのです。
無極とはこれだったのか。
TB送信:ミチの雑記帳、